book926(2018年8月から3割負担も。介護保険制度の改正。)

 
介護保険制度の改正が2017年5月26日の参議院本会議で可決し、成立しました。4月に衆議院で審議され、5月に参議院での審議が終わり、正式に改正法が成立。

主な変更点は、3割負担の導入、介護納付金(一般的には介護保険料のこと)に総報酬制を導入。この2点です。


介護保険を利用する場合は、現状では1割負担、もしくは2割負担になりますが、2割負担している人の中からさらに3割負担の区分を増設し、3段階のメニューに変更されます。施行されるのは、平成30年(2018年)8月から。

年金収入が280万円未満だと1割負担、280万円以上だと2割負担、さらに340万円以上の場合は3割負担。

介護保険の受給者は全体で496万人で、そのうち2割負担になっている人が45万人(全体の1割強)。さらに、3割負担となる人は、約12万人と想定され、その割合は全体の3%です。年金収入で340万円以上というと、月あたりでは28万円以上ですから、一般的なサラリーマンに近いぐらいの収入です。


健康保険の場合は、原則が3割負担で、例外的に2割、1割という扱いがあります。

一方、介護保険の場合は、3割負担が例外的なポジションで、2割負担と1割負担がメインメニューとなっています。2割以下の負担率になっている人が97%ですから、今回の3割負担導入で影響を受ける人は僅かです。

 

保険料の負担に関しても変更があり、「総報酬割」というものが導入されます。健康保険制度は大きく分けて4つあります。国民健康保険、協会けんぽ、組合健保、共済組合健保、この4つがそれです。

協会けんぽだと、2017年6月時点で、介護保険料は1.65%ですが、他の健康保険制度だと保険料が違います。組合健保だと企業ごとに異なりますが、平均で1.35%。共済組合の健康保険だと1.11%となっています。つまり、協会けんぽに加入している人の介護保険料は高めで、その他の健康保険制度に加入していると低くなる。そういう状態でした。

これを、制度の違いに関わらず、平準化しようというのが総報酬割というものです。

総報酬割が導入されると、協会けんぽに加入している人の介護保険料は少し下がり、その他の健康保険制度に加入している人の介護保険料は少し上がります。その結果、どの健康保険制度に加入していても、同じ介護保険料になり、制度間の不均衡が解消されるのです。

総報酬割の導入は、協会けんぽに加入している人にとっては負担が減りますので、歓迎されるものです。一方、他の健康保険制度に加入している人にとっては負担が増えますので、あまり嬉しくないと感じるところでしょう。



健康保険組合の数は減りつつあり、平成19年には1518組合だったのが、平成28年には1399組合まで年々減っています。

健保組合から高齢者医療への支援金、今回の総報酬割による介護保険料の平準化。組合健保の旨味が失われているため、健康保険組合は徐々に減っているわけです。

協会けんぽではなく組合健保を選ぶ理由は、健康保険料が安くなるところにあります。加入者が若くて健康であれば、医療費は少なくなりますので、自ずと保険料も安くなります。協会けんぽは加入者を選べませんが、健康保険組合は企業ごとに管理されているため、若い社員を重点的に増やせば、その結果として保険料も安くなる。これが組合健保の保険料が安くなるカラクリです。

加入者を選別できるとしても、高齢者医療への支援や、介護保険で総報酬割を導入されるとなると、組合側では対処できませんので、組合健保の旨味が損なわれていくわけです。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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