ブラックな職場を取り締まる職場がブラックという皮肉。

 

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170527-OYT1T50134.html
「強制労働省」返上へ、厚労省が午後8時に消灯


 厚生労働省は7月から、午後8時に庁舎を一斉消灯する取り組みを始める。

 毎年1回以上行う方針で、働き方改革の旗振り役として長時間労働の是正に取り組む姿勢をアピールする。

 最初の一斉消灯は7月28日の予定で、同じ庁舎(中央合同庁舎第5号館)に入る環境省の協力を得て実施する。消灯後はオフィスを施錠し、原則として業務ができないようにする。

 厚労省は、職員1人あたりの国会答弁数、質問主意書件数はいずれも主要省庁の中でトップクラスとされる。業務量が多く労働時間が長いことから、霞が関では「強制労働省」とやゆされており、まずは一斉消灯への取り組みで汚名返上を目指す。

 厚労省ではこのほか、会社以外の場所で働く「テレワーク」やフレックスタイム(時差勤務)などの利用を後押しする「柔軟な働き方支援員」を人事課に配置し、労働時間の短縮を目指す。

 

 


職場を消灯して強制的に仕事の時間を短縮する方法は、民間企業でも採用されています。電気が消えてしまえば仕事を続けられないので、無理やり職場をシャットダウンする効果があります。

省庁での長時間労働が発生する一番の原因は、国会待機です。職員の働き方が原因というよりも、外的な要因である国会待機で時間を浪費するため、長時間の労働になるわけです。



国会待機の実情 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト


原因に対処しないと問題は解決しないものですから、今回の場合だと国会待機という原因に対処しないと問題は解決しないでしょう。

国会待機とは、国会で開催される衆議院予算委員会や参議院法務委員会などで質疑をするための下準備のための待機です。国会議員からの質問通告を受け取り、その質問に応じた回答を省庁の職員が作成し、担当の大臣に回答内容を説明する。その後に、委員会の場で、議員から質問(事前に送られた質問通告と同じ)をされ、それに答弁(省庁で作成した回答)するわけです。

ナントカ委員会というと、NHKで中継しているのを見た方もいらっしゃるはず。質問と答弁の繰り返しで構成される合議の場です。色々と質問がされ、それに国務大臣などが答えていますが、あれは政治家が自分で内容を決めて話しているわけではないのです。質問内容は予め省庁に伝えられ、回答内容も作成してから委員会を開催します。

参加者のアドリブで丁々発止とやりあっているのではなく(アドリブ回答も中にはあるが)、事前に準備したとおりに話しているので、いうなれば脚本に基づいた演劇のようなものです。



野党議員からの質問通告がなかなか省庁に届かないため、回答を作成する時間も後にずれ、さらに大臣に説明する時間もズレていく。その結果、職員の拘束時間はドンドンと延びる。

これが省庁で発生する長時間労働の原因です。

好き好んで長時間労働しているのではなく、やむを得ずというのが実情です。省庁側に原因があるのではなく、省庁の職員を待機させる議員からの質問通告が遅いために、ドンドンと帰宅時間が遅くなるのですね。

この問題を解決するには、質問通告に期限を設けて、それ以降は受け付けないようにするのが妥当なのですが、未だにそういうルールは設けられていないようです。

電気を消すのではなく、質問通告の受付にリミットを設ける方が問題解決に近づくと私は思います。

ただ、職場を消灯して施錠してしまえば、質問通告への対応もできなくなりますから、自ずと締め切りを設定できる(「あぁ、電気が消えてしまったんで、もう無理ですわ〜。スンマヘ〜ン」)という効果を狙っている可能性もあります。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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