book892(仕事でマスクの着用を禁止できる?)

 


2010年だったか、2009年だったか、インフルエンザが流行しているとニュースで頻繁に報道され、猫も杓子もマスクを着用している風景になりました。

致死性のウィルスでも蔓延しているのかと思えるほど、右にマスク、左にマスク、前も後ろもマスク、マスクと、もう異常な光景でしたね。

私は、インフルエンザはただの風邪だと思っているタチなので、マスクなんて要らないだろうと考え、付けなかったのですが、周りの人はそういう感じではありませんでした。

あれだけ需要が盛り上がると、供給が追いつかなくなり、お店でマスクを買うことすら難しくなって、欲しくても手に入らない人がいたほど。今考えてもおかしい話ですが、そういう時があったのです。


今では、あのときほどマスクを付けている人はいませんが、それでもチラホラとマスクを着用している人は見かけます。これを書いている今は、4月ですので、花粉対策でマスクを付けている人もいらっしゃるかと思います。他には、風邪やインフルエンザのために着用している方もいらっしゃるでしょう。

しかし、人によっては、何も健康上の理由がないのにマスクを付けている人がいます。いわゆる「伊達(だて)マスク」です。

私も、冬の寒い時期には、マスクを付けることがあって、あれは防寒目的です。口元がホンワリと温かく、自転車やバイクに乗る時は重宝します。口周りを覆う防寒具は少なくて、安くて使い捨てできるマスクは都合が良い。

マスクには他にも不思議な効果があって、付け続けていると精神的に安心する効果をもたらします。私も冬の時期にはこの効果を体感します。マスクを着用していると、周りの人と壁で隔てられている感覚が得られ、何だか気分がラクになります。

何と表現すべきか、コソコソと隠れている感じというか、人から見つかりにくいように煙幕を張っている感じというか、軽く透明人間になったような感じというか、自分の存在を薄くする効果があるんです。

あなたの周りにも何人かいるでしょう。ずーっとマスクを付けている人が。「何でアイツはずっとマスクを付けているんだ? 病気でもないのに」と思えるような人が。

私生活でマスクを付けるのは本人の趣味というか趣向というか、好みで完結しますが、仕事でマスクを付けられると、ちょっと不都合な職種もあります。

食品加工や医療機関、何らかの工作作業など、マスクを付けないと仕事にならないものは良いとして、お客さんと直接に接する職種でマスクを付けられると、周りの人の印象が良くない。

例えば、飲食店で、マスクを付けて接客されたら、「ここの料理に何かバイキンが入っているんじゃないか」と思ってしまいますし、「マスクを付けないといけないような人がお店に出てきているのか」とも思ってしまいます。ノロウィルスに感染した人が料理を作ったり運んできたら、そういう料理を食べたいとは思わないでしょう。

想像してみて下さい、ラーメン店の人がマスクを付けて注文を聞きに来たら。レストランで、マスクを付けた人がビーフシチューを運んできたら。寿司屋の職人さんがマスクを付けて寿司を握っていたら。

ほら、何だかイヤでしょう?



お客さんと直接に接する仕事では、理由もないのにマスクを付けられると、お客さんからの印象が悪くなり、お店に来てもらえなくなることもあります。

となると、理由もなくマスクを付けるのは禁止したい。そう考えるところです。

マスクは服装の一部ですから、就業規則で決める身だしなみルールで制限できます。マニキュア、香水、髪の色、髪の長さ、爪、髭などと同じように、マスクも制限の対象となります。

マスクを付けなければいけないならば、そもそも出勤しない。何らかの病気でどうしてもマスクが必要ならば、病気が治るまで休む。一方、出勤するならばマスクを付けてはいけない。

マスクを付けてまで仕事をしなくても良いので、その場合は休む。出勤するならば、マスクは禁止。

無茶な注文ではありませんし、誰も困るようなルールでもありませんから、マスクについてはこういうルールが必要でしょうね。

惰性でマスクを付ける人がいなければ、労務管理で対処することもありませんが、他者とのコミュニケーションを遮断するように伊達マスクを付けるとなると、制限するのもやむを得ないのです。






山口正博 社会保険労務士事務所
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