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book880(休暇制度を全て廃止しよう。)

 


休暇を増やすと労務管理は複雑になる。


休暇のメニューを増やすと、さも労務管理が充実しているかのように感じますが、私はあまりオススメしません。

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/101216_03.html
人と企業を活性化する休暇制度を導入しましょう

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_03_h28.pdf
社員と会社が元気になる休暇制度 導入事例集 2016



上記の事例集を見ると、これでもかというほど色々な休暇制度があって、よくまぁここまで作れるものだなと感心します。

ただ、休暇のメニューを増やせば、それだけ条件設定なり使い方を決めなければいけませんので、労務管理は複雑になります。

条件に合わなければ休暇は使えませんから、どういう人が対象になり、どういう人は対象外なのか。さらに、休暇の日数は何日なのか。年に何回使えるのかなど。1つの休暇制度に対して、個別に条件を決めていかなければいけません。


目的に合わない人にとっては面白くないもので、例えば、結婚休暇。独身の人には何もありません。結婚する本人は嬉しいのでしょうが、周りの人は休暇で休めるわけではありません。

他にも、リフレッシュ休暇というものもあります。しかし、何をもってリフレッシュとするのか。家で寝転んでスマホのゲームで遊んでいるのもリフレッシュなのか。寝転んでテレビを見ているだけでもリフレッシュなのか。ずーっと布団の中で寝ているだけでもリフレッシュなのか。

リフレッシュの定義から始めないといけないので、実にメンドクサイ。


誕生日休暇なんてのもありますが、最近は個人情報の取り扱いで色々と制限があって、自分の誕生日を人に教えない人もいるぐらいです。会社の人も、他の人の誕生日を知らないなんてことは普通にありますし、履歴書などの書類には生年月日は書くものの、個人的に誕生日をホイホイと教える場面は多くはないのです。


話しは逸れますが、年賀状が減った理由は、相手の住所が分からないのもあるはずです。年賀状そのものに興味を失っているという理由もありますけれども、相手先の住所が分からないことには送れません。

誕生日なり住所なり、個人情報をあまり人に教えなくなってきたため、自分の誕生日であっても休暇を利用しない人もいそうです。



資格取得休暇というのもありますね。簿記とかファイナンシャルプランナーとか、そういう類なの資格を取るための休暇なのでしょうが、資格に興味のない人には使えない休暇です。


さらに、お葬式やお通夜、四十九日法要などに利用する弔事休暇もありますし、どういうときに何日休むのか。なぜ1日だけなのか、3日ぐらい欲しい。こういう要望が出てきて、キリがありません。さらに、有給にするのか無給にするのか、これも決めないといけません。

 

休暇制度を作ると、条件を1つずつ設定していかないといけないですし、制度を作った後は運用もしないといけないので、後になって「何でこんな休暇制度を作ったんだ」と後悔する羽目になりかねません。

休暇制度を増やせば、労務管理が充実するどころか、むしろ複雑になっていく。働く人のために作った制度なのに、何だか違った方向に向い始めている。そういう残念なことになっている会社もあるのではないでしょうか。



「じゃあ、どうするんだ?」と思うところですので、解決策を提示してみましょう。

 




 


休暇は1つだけで必要かつ十分。


解決策は単純です。休暇制度を有給休暇に一本化するだけです。

有給休暇の最大の長所は、理由を問わず使えるところ。先ほどのように、個別の休暇メニューを作ると、条件に当てはまらないと利用できませんが、有給休暇はどんな理由でもOKなので、汎用性が高いのです。



勤続年数に応じて有給休暇の日数は決まっています(労働基準法39条2項)。

6ヶ月:10日
1年:11日
2年:12日
3年:14日
4年:16日
5年:18日
6年以上:20日



この日数を増量します。

例えば、単純に2倍にしてみましょう。

6ヶ月:20日
1年:22日
2年:24日
3年:28日
4年:32日
5年:36日
6年以上:40日

日数の半分は法律で決まった有給休暇として、さらに、それと同日数を上乗せする。


この上乗せされた休暇を、誕生日なり結婚式なり、お葬式やお通夜、四十九日法要なり、色々な用途で使えば良いのです。

資格取得のために使っても良いですし、寝坊をごまかすために有給休暇を使うなんてのもあるでしょうね。

二日酔いでお酒臭いので、今日は有給休暇で休んでおく。こういう使い方もアリです。

あとは、女性の生理休暇を有給休暇に変えて、周りの人に分かりにくくカモフラージュするためにも使えそうですね。労働基準法68条には生理日に関する規定がありますが、会社に申告しないといけないので、女性の気持ちとしては「ちょっと」という感じ。上司が男性だと、なおさらです。

一口に生理といっても、体への負担は個人差があり、程度が軽い人もいれば、重い人もいて、前者ならば生理休暇を利用する必要もないが、後者だと体が動けないほどになって休まないといけない。同じ女性でも差が出てくるのが悩ましいところです。

有給休暇ならば自分の体調について詳しく説明せずに休めますので、特に男性が多い職場では有給休暇で生理日を隠すのは有効な手法ではないかと思います。無給の生理休暇とは違い、有給なのも良いところです。

さらに、自分が持っている有給休暇の残日数を使うので、休暇を利用しない人との差もありません(使わなければ休暇は減らない)から、この点でも生理休暇よりも有給休暇は勝っています。



計画有給休暇制度と組み合わせて、連休制度を作るのも良いですね。日数が2倍に増加していますから、連休も組み上げやすいでしょう。

http://www.growthwk.com/entry/2017/02/10/132629
book879(有給休暇で連休制度を作る)

 


あとは、日数の調整も本人次第です。会社が決めた日数だけしか利用できないものではありませんから、例えば、お通夜とお葬式を4日で終わらせても、1週間かかっても、有給休暇ならば日数が固定されませんので、どちらでも対応できます。


さらにダメ押しの一手として、休暇を一本化すると、有給休暇そのものの取得も促進できます。休暇を利用する敷居が下がりますので、上乗せ分の休暇だけでなく、法律で決まった部分も積極的に消化されます。


 

  1. 休暇の汎用性が高くなる。
  2. 有給休暇の取得を促進できる。
  3. 労務管理がシンプルになる。

この3点の理由で休暇制度の廃止を私はオススメします。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所