コンビニの労務管理は伏魔殿

 

http://mainichi.jp/articles/20170131/k00/00m/040/122000c
セブン加盟店 バイト病欠で罰金 女子高生から9350円



病気で欠勤して高校生が9,350円の罰金をお店に取られたとのことですが、こんなことが本当にあったのかと疑いたくなるほどの内容です。

まさに前代未聞で、病気で休んでペナルティなんて今まで聞いたことがありません。

労働基準法91条には減給制裁に関する規定がありますが、制約が厳しいです。私も、今回のケースほどではないものの、遅刻で減給制裁された経験がありますが、減給額はごくわずか(確か10分相当の賃金)です。

減給は制約が厳しく、制裁というよりもちょっとした罰金程度にしかなりません。

今の時勢を考慮すれば、金額が僅かでも減給そのものが反発を招く可能性があり、よほどのことがない限り減給なり罰金は避けたほうが良いでしょう。



病気で休むことに対して、ペナルティが課されるとなると、無理に出勤してくる人が出てきます。インフルエンザでも仕事に来る。感染性胃腸炎だけど出勤してくる。

コンビニという場所ならば、同じ場所で働く人だけでなく、お店にきたお客さんまで巻き込んでウィルスをバラ撒くことになります。さらに、コンビニには食べ物もありますから、胃腸炎の人が取り扱った食べ物がお客さんの口に入って、、、。

労務管理でヘンなことをすると、あまり良いことは起こらないものです。



コンビニでは、加盟店が独自に労務管理をしているため、店のオーナーが労務管理に対して理解が浅いと、こういうトラブルが起こります。

本部が指示しているというよりも、加盟店のオーナーにムチャクチャな人がいて、そういう人が問題を起こしているのが実情でしょう。

お店を開業する時は、コストや収益、運営の仕方など、商売に関連することは学ぶ機会があるでしょうが、労務管理についてはあまりシッカリと学ぶ機会がないのかもしれません。

こういう問題が起こった時は、内容をオープンにして、本部を巻き込んで連帯責任にし、加盟店を指導するような形に持っていくのが最善でしょう。店舗レベルでモチャモチャしていても解決しないでしょうから、フランチャイズ本部を間に入れて解決しないと埒が明きません。



カツカツの人員で勤務シフトを組んでいると、「休むならば、代わりに出勤する他の人を探して」と無茶な要求をされます。

なぜ、ギリギリのスタッフ数で仕事を回すかというと、余剰人員を抱える余裕が無いから。なぜ、余裕を持って人を採用しないのかというと、儲からないから。なぜ、儲からないのかというと、ロイヤリティ負担が大きい、商品を値引きして売れないなど、間接的に本部にも責任があると言われかねない。


自分が休むとき、代わりの人を見つけられなかったらペナルティと言われても、そういう場合は会社側で代わりに出勤する人を用意しないといけません。退職するときも、「辞めるんだったら、代わりの人を連れてきて」なんて言われたりもしますよね。

私も、コンビニではありませんが、学生時代にこういう職場で働いた経験があります。「休む場合は他の人と交代してもらうように」と求めてくる職場で、休みたくても簡単に休めない雰囲気でしたね。

私の場合、強引に電話で休むと伝えて休んだのですが、向こうが無茶な要求をしてくるのですから、こちらも強行突破です。もちろん、ペナルティなんてものはありませんでした。

代わりの人を用意するなんて、要するに企業側の都合の良い「勝手ルール」なのです。

交代の人を要求されても、「そんなこと知ったこちゃない」と図太く跳ね返す態度を持っておくべきです。もちろん、ある程度は配慮してもいいでしょうが、強引に要求されるようなことではないですので、ときに図太く、ときにノラリクラリとかわしていく。それぐらいタフになって欲しいところです。




とはいえ、人がいないとお店も困りますから、何らかの解決策が欲しいところです。

病気でスタッフが休むとか、学校のテストで休む、部活で休む、サークルで休む、帰省で休むなど、色々と人が足りなくなるイベントがありますが、これらにどうやって対処するか。


学生とそれ以外で給与に差を付ける。
住んでいる場所で給与に差をつける。
出勤の柔軟度で給与に差をつける。

人はインセンティブに反応しますので、自分の働き方によって給与が変わるとなると、選択も変わってきます。



例えば、学生でなければ時給がアップするようにする場合。学生は、高校生だと中間テストや期末テストで休みを取りますし、大学生だと前期と後期のテスト、あとはサークル、長期休みのときに実家へ帰省するなど、イベントに応じて休みを取る時があります。

一方、学生でなければ、テストやサークルで休むことはありませんから、勤務シフトが安定します。

そこで、学生の時給は、例えば850円で、学生でない人の時給は950円にする。こうすれば、学生のスタッフが減り、それ以外のスタッフが増えます。

お店によっては、募集段階で「学生不可」という条件を付けているところもありますから、そういうお店では、上記のようなイベントで休まれたくないという事情があるのでしょうね。



他には、職場の店舗に近い場所に住んでいれば時給アップというのも面白いです。

お店に近いということは、必要なときに出勤しやすいですから、もし誰かが休んで勤務シフトに穴が空きそうなとき、「ちょっと手伝いに来てくれないか」とお願いしやすい。

例えば、店舗から半径500mに自宅がある場合は、時給を100円プラスする。こういうインセンティブがあれば、欠員が出たときに代わりの人を探しやすくなります。



あとは、他の人が休んだときに、優先的に出勤してくれる雇用契約ならば時給アップというのもアリです。

雇用契約を締結する際に、特約として、「欠勤で人員が不足した場合に、他の人よりも優先的に出勤する」という類の条件を決めておき、他の人よりも高い時間給で雇う。

言うなれば「優先出勤条項」というようなものを使って、他の人と差をつけるわけです。

他の人の代わりに出勤する可能性が高い雇用契約なので、他の人よりも給与が高くなる。これならば働く人も納得できます。



さらに、優先出勤をカウントして、他の人の代わりに何回出勤してくれたかの実績に応じて時給を変えるのもいいですね。

6ヶ月単位で、何回、他の人に代わって出勤してくれたか。例えば、6ヶ月間で、14回、代替出勤を店側から求めて、14回全て応じてくれたのか。それとも、14回中、9回だったのか。14回求めて、応じた回数は0回だったとか。そういう実績に連動して、その後の時給を変動させるような仕組みにする。

14回全て応じてくれた人はさらに時給アップ。1度も応じてくれなかった人は時給ダウン。こういうインセンティブを設けるのも面白いでしょう。



ポイントは、仕事の習熟度ではなく、柔軟に出勤してくれるかどうかで賃金に差をつける点です。

仕事の習熟度と賃金が連動するのが普通なのですが、何もこの点にこだわらずに、どこを重視するかは店によって変えていいでしょう。

仕事が上手いかどうかよりも、必要なときに必要なだけ出勤してくれる人を評価する。そういうコンビニがあってもいいですね。

評価軸を変えて、欠員が出ないようにする。これも労務管理での工夫です。

 


 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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