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book874(高校生の就職は自由競争ではない)

 

大学生と似ている。


http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148337.html
平成30年3月新規高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等について


高校生の就職も色々と決まり事があります。

現時点が平成29年1月なので、来年、平成30年3月に卒業する高校生、今だと高校2年生に該当する人ですね。

ハローワーク経由の求人受付が平成29年6月1日から。高校に求人情報を企業が持ち込むのが7月1日からとのことです。

求人に応募して、選考が始まるのが9月となります。


就活の時期が指定されるのは高校生も大学生と似ていますね。

 

 


応募倍率が1倍になるように調整する。


私が高校生の頃も、企業が高校に求人票を持ってきて、生徒はその中から好きなものを選べるようになっていました。

仕事を探すときは、求職者が動くものというのが一般的なのですが、学生は特殊な扱いを受けます。求人側、つまり企業から「こういう条件で何人募集しています」と求人票を学校に持ってきます。求人票には会社名や所在地、仕事の内容や給与、休日など、働くにあたっての条件が書かれています。

学生は自分で仕事先を探さなくても、企業の方からオファーが集まってくるのですから、随分とラクなものです。

求人票がザザーッと集まると、その中から好きなものを選べるのですが、ここで条件があります。条件というのは、成績の良い生徒から先に選べるようになっていて、成績が悪いと残りものから選ぶことになるんです(私が在籍していた高校の場合ですが)。

私の高校は公立の工業高校でしたから、求人は多かったですね。卒業予定の生徒数が約240人のところ、求人が確か800人分ぐらい集まっていたと記憶しています(この点は曖昧)ので、希望した人は全員が就職できる環境でした。



高校の就職には他にも特徴があり、それは、求人数と応募数を事前に合わせる作業があります。例えば、大阪ベアリング工業株式会社(仮想の会社です)という会社が求人を学校に持ってきて、募集人数が4人だった場合。この求人に応募するのは学生の自由なのですが、応募人数が制限されます。

もし、募集枠が4人のところに、17人が応募してしまうと(応募倍率は4.25です)、採用されるのは4人ですから、13人は不採用になってしまいます。

高校の就職担当の人にとっては、希望者を全員就職させるのが目的ですので、不採用という結果はマズいわけです。さらに、求人票から希望先を選ぶ方式だと、1度不採用にされた場合、残った求人票から選ばないといけなくなり、生徒の選択肢が減ります。

生徒数の約3倍もの求人枠があれば、1度ぐらい不採用になってもリカバリーできますけれども、担当者としてはなるべく希望先に就職させたいでしょうから、可能な限り1発採用を狙うはずです。

となると、どうするかというと、募集枠4人のところには、応募者が4人になるように、学校側でフィルタリングします(応募倍率は1に)。成績順で分けたり、個人面談で説得したり、どれぐらい応募先で働きたいのかという熱意のようなものを考慮したり、そういう作業を経て、応募者を募集数に合わせます。

そうすれば、応募した4人全員が採用される可能性が出てきます。もちろん、相手先企業が満足できない場合は、4人ではなく2人だけ採用して、残り2人は不採用になるなんてこともあります。ただ、17人で競うよりも、4人で応募した方が不採用者を減らせます(最悪の場合でも不採用は4人まで)し、良い流れになれば4人全員が採用されることもあります。

生徒の希望を抑圧する可能性は残るものの、リスクをヘッジする方法としては合理的です。

募集人数と応募人数のすり合わせ。こういうことも高校では行われるのです。

高校向けに求人を出している企業だと、この件はご存知のはずです。毎年、募集した枠とピッタリの人数で生徒を送ってくる高校があると。

就職というと自由に競争するイメージがありますが、高校生の就職は実に計画的に根回しされているのです。


言うなれば、求人票に応じて就職した場合は、受験で言うところの「指定校推薦」のようなものです。「そちらの学校からは4人採用したいので、特別枠を設けておきますよ」というメッセージが求人票には込められているんですね。


私が高校生の頃、就職希望の人は、ほぼ全員が求人票経由で就職していましたね。中には縁故就職という選択肢を選んだ人(240人中4人展度だったはず)もいましたが、レアケースです。

ハローワーク経由の求人については、ゼロだったんじゃないかと思います。ハローワークを経由せずとも、1人につき3枠ほどの募集枠があるのですから、あえて学校外の機関を使うこともなかったです。

 

 

 

採用実績で求人を差別する。


企業と高校の親密度も関係しそうです。

毎年、求人を持ってきてくれる企業には、高校としてもチャンと対応したいと思うものです。一方、毎年のように不採用者を出す企業に対してはどういう感情を持つかというと、生徒を応募させても不採用にされるリスクがあるので、積極的に生徒を送りにくいと感じるはず。

高校側も、年度ごとの求人企業、募集数、応募数、採用数、などをデータで持っているでしょうから、より確実に採用してくれる企業の求人を優先的に生徒に紹介し、そうではない企業を後回しにするような判断があってもおかしくありません。

不採用になったら、生徒の保護者から高校へクレームが来ますからね。「何でウチの健太が不採用なんですか? チャンとやってくれたんですか?」、「ウチの孝之が就職できなかったら、責任取ってくれるんですか?」みたいな苦情が高校に寄せられそうです。

そのため、高校の就職担当者としては、確実に採用してもらわないと困るわけです。募集数と応募数をすり合わせるのも、採用実績に応じて企業を差別するのも、不採用を避けるためなのです。

 

 


工業高校に在籍していたが、進学した。


私は高校生の頃に就職しませんでしたので、他の人が面接などに行っている頃は傍観していました。

とはいえ、就活対策の面接や筆記試験などは他の人と同じように受けていたので、諸事情は知っています。

公立の工業高校でしたから、就職希望者が90%以上になる環境で、進学希望は全体の5%ぐらいだったかと思います。

進学するとしても、推薦なり指定校推薦で大学に行く人が大半で、私のように一般入試で大学に行く人は、学年でも1人とか3人とか、それぐらいだったと思います。もう超マイノリティーでしたね。

鋳造で鋼材を溶かして型に流し込んだり、旋盤で金属を加工したり、フライス盤で金属を削ったり、アーク溶接で金属を接合したり、ドラフターで図面を書いたり、自動車のエンジンをバラしてまた組み立てたりなど、色々やりましたね。

今では貴重な経験です。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
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© 社会保険労務士 山口正博事務所