book873(違法な長時間労働を防ぐ会社にする方法)

 


お金を払えば何時間でも残業できる、、、わけではない。



http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148739.html
長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します

長時間労働に対する是正指導の結果は過去にも何度か公表されていますが、先日2017年1月17日にも、2016年4月から9月までの結果が公表されています。



労働時間には上限が2つあります。まず法定労働時間による上限。さらに36協定での上限時間があります。

法定労働時間の上限を超えると違法労働になりますし、36協定の上限を超えた場合も違法に変わりありません。

「36協定の範囲内ならば違法ではないのでは?」と思うところですが、1日8時間、1週40時間を超えていれば、36協定を締結していてもそれは違法に変わりありません。ただし、労使協定である36協定で決めた範囲内ならば、法定労働時間を超えても罰則は適用されません(違法だが、罰則が無い状態)。

36協定というのは、労働基準法36条に基づく労使協定であるため、「サブロク協定」と呼ばれています。この協定は、法定労働時間を超えて働く場合、さらに、法定休日に働く場合の時間数を決めるもので、決めた時間数の範囲内で残業なり休日労働をしますよ、という代物です。

ここで、「36協定を締結して、割増賃金をチャンと支払えば、何時間でも残業していいんじゃないの?」という誤解が生まれます。

確かに、残業代である割増賃金を支払うことは大事です。しかし、お金を払えば何時間でも仕事ができるというものではなく、36協定にも限界があります。

36協定は労使協定ですので、労使間の合意でその内容を決めることができます。そのため、何時間まで残業できるか、その時間数も労使間で決めていいのです。「じゃあ、好きな時間数に設定すればいいんじゃないの?」、「月に70時間とか100時間の残業もOKなの?」と思うところですが、そうは問屋が卸さないのですね。



協定で決める残業時間には上限があります。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000123090.pdf
時間外労働の限度に関する基準(厚生労働省)

例えば、1ヶ月という期間だと、残業できるのは45時間までです。月に残業が45時間ですので、1ヶ月の勤務日数が21日だと仮定すると、1日あたりの残業時間は2時間程度に抑えておかないといけません。

ちなみに、この45時間というのは法定労働時間を超えた残業部分の時間ですので、基本部分の時間は含みませんし、所定労働時間を超えた時間も含みません(法定労働時間よりも所定労働時間が短い場合)。



例えば、1日8時間勤務して、さらに残業で2時間となった場合、この2時間は上記の45時間に含まれます。8時間の基本部分は45時間には含まれません。

また、所定労働時間が6時間のところ、10時から16時まで勤務し、さらに延長して17時30分まで残業した場合(休憩は考慮しないものとします)、残業は1時間30分ですが、法定労働時間の8時間を超えていない(労働時間は7時間30分)ので、この1時間30分は残業ではあるものの上記の45時間には含まれません。


法定労働時間を超えないようにして、それを超えた場合であっても36協定の限度時間を超えないようにすれば、違法な長時間労働は発生しません。

 

 

 

 

仕事の納期は守るが、労働時間の上限は守らないという都合のいい理屈。



労働時間に上限があり、残業の時間にも上限があります。お金を払えば好きなだけやっていいんだろうというわけではないのです。

ここで、「一律に労働時間の上限を決めるのは納得できない」という考えもありますが、労働時間の制限を締め切りなり制限時間なり納期だと考えれば納得できます。



例えば、音楽のライブ会場などを準備する場合、ライブの開催日に合わせて準備しないといけませんよね。例えば、ライブが2017年の2月14日に開催されるならば、遅くとも前日の13日までには準備が終わっていないといけないはずです。

もし、「もうちょっと時間かけてもいいんじゃね?」と考え、2月17日とか2月24日にライブの準備を終わらせたらどうなるか。こういう準備には何の意味もありませんよね。ライブまでに準備を終わらせることに意味があるのであって、ライブの開催日よりも後に準備をしてもどうしようもないわけです。

納品の時期でも同様です。2月9日に注文した和菓子を納品して欲しいのに、翌日の10日に納品したらお客さんはどう思うでしょうか。「んなもん、要らんわ!」と持っていった和菓子を返されるのがオチです。

労働時間は何時間でも延長して良いんだ。好きなだけ仕事をすれば良いんだ。こういう理屈を展開するならば、ライブの準備を素晴らしいものにするため、準備を完了するのが開催日よりも後になっても良いんだ、最高の和菓子を作るために、納品はお客さんが要望した日を無視しても良いんだ、という理屈を受け入れないといけませんが、それでいいのでしょうか。


労働時間の上限は、ライブの開催日と同じであり、和菓子の納品日と同じです。

仕事の期限は守るが、労働時間の上限は守らない。何かヘンですよね。片方を守らない人は、もう片方もルーズなのではないかと思いますが、どうでしょう。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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