book867(ノロウィルスに感染した人を出勤停止にできるか)

 

感染性胃腸炎にかかった人が増えているようですが、毎年、寒くなってくると患者が増えるのが特徴です。この点はインフルエンザに似ています。

私も、過去に1度、感染性胃腸炎にかかったことがあります。その頃も、季節は冬でした。主な症状は嘔吐と下痢でしたが、人によっては発熱や悪寒など、風邪に似たような症状が出るケースもあります。

なぜ胃腸炎になったのか、原因は分かりませんでしたが、感染者が近くにいたとか、そういう原因らしきことは思い当たらなかったので、前触れ無く胃腸炎に感染することもあります。

私の経験では、完治するまでに確か4日ほどかかりました。病院で薬を出してもらったものの、薬で一気に治せるようなものではないようで、水分補給して時間をかけて治したのが実際のところです。



職場でも、秋になると、インフルエンザとノロウィルスに関して注意を伝えるところもありますが、かかるときはかかりますから、予防しても胃腸炎になる人もいます。

感染力があるため、ノロウィルスに感染したとなると、その人を出勤停止にできないかと考えるところですが、胃腸炎は動けないほど症状がキツイものとは限らず、個人差があります。

嘔吐や発熱で動けないようならば、まず仕事は休むでしょうから、出勤を停止する必要はないでしょう。しかし、症状が軽い人の場合、「まぁ、この程度ならば動けるな」と判断し、出勤してくるでしょう。

ちょっとした風邪かなと判断して仕事をして、周りに胃腸炎を感染させていく。こうなるとなかなか厄介です。本人に悪意はありませんし、ましてや周りの人に感染させてやろうなんて気もありません。


ノロウィルスに感染した人を強引に休ませて出勤停止にすると、労働基準法26条(以下、26条)に基づいて、使用者側の判断で休ませたので休業手当が必要と判断する余地があります。ただ、一方で、胃腸炎になったのは本人の問題だから、使用者の責任ではなく、26条は適用されないと判断することもできます。

症状が軽く、本人は仕事ができる状態だと、出勤してきてしまうので、強制的に休ませたい場合は、特別休暇を設けて、休みにするのも一つの方法です。ただ、無給の特別休暇だと出勤停止と変わらないですし、26条が適用される、されないの物議を醸す余地が残ります。他方、有給の特別休暇ならば支障なく休ませることができます。

症状を甘く判断して、感染者が増えるよりは、有給であっても休んでもらう方がメリットは多いでしょう。

 

普段から、症状が軽くとも、感染力のある病気にかかった場合は、体が動ける状態でも休むように案内しておくと職場で胃腸炎が広がるのを防げるでしょう。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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