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book866(使いたくても使いにくい生理休暇。)

 


女性特有の事情で、生理日に就業するのが難しい場合、就業させてはいけないというルールが労働基準法68条にあります。

68条
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。


会社では、生理休暇という名称で就業規則に記載があるのですが、この休暇は他の休暇と違って、ちょっと使いにくい事情があります。

「休暇なんだから遠慮なく使えば?」と男性の立場では思ってしまうところですが、名称がいかにもな感じで、休暇を申請するのがためらわれます。

申請すれば、それだと相手に分かってしまうし、風邪などと別の理由を挙げて休むのが実際のところ。

68条では生理日への対応について書かれているものの、女性の心理的な抵抗感については配慮がありませんので、この部分で何らかの処置が必要です。



女性しかいない職場ならばあまり気を使わないところですが、男性の上司に生理休暇を申請するなんて、「何だかちょっと」と感じてしまいます。

さらに、68条を根拠に休暇を取得した場合は、無給になる場合が多いでしょうから、この点でも使いにくいところです。


女性ごとの個人差も問題ですよね。一口に生理と言っても、体への負担が人によって違います。動くのもツライほど症状が体に影響する人もいれば、特に支障なく動ける人もいます。そのため、同じ女性でも、生理休暇を利用する人と利用しない人で違いが出てきます。



過去には、生理という名称を使わず、「女性休暇」というように名称を変えて、68条に対応する方法も考えましたが、名称を変えても実質は同じですから、間接的に生理日を連想させてしまいます。

book677(「生理休暇」という名称。コレなんとかなんない?)

では、どうするか。



ここで使うのが、有給休暇です。

とはいえ、68条に関する休暇を廃止するわけにはいきませんから、形式的には存続させます。一方、実務では有給休暇で対応していきます。

ただ、法律(労働基準法39条)で決まった日数の有給休暇を使わせるとなると、68条の対応をせず、有給休暇を強引に消化させていることになりますから、法定分の有給休暇は使いません。

入社から半年経過すれば、10日分の有給休暇が使えるようになりますが、ここに上乗せして例えば3日分とか4日分、日数を増やす仕掛けを作ります。

この上乗せ分は男女を問わず適用し、生理日だけでなく、誕生日や結婚、葬式などの慶弔時にもこの上乗せ分を使っていくようにします。

つまり、目的や対象者を分けて個別に休暇を作らずに、有給休暇に一本化し、休暇に関する労務管理をシンプルにするわけです。


有給休暇の利点は、

1.利用目的を限定しないので、理由を伝えなくてもいい。
2.有給。
3.対象者を限定しない。男女間で差が無い。

この3点です。

有給休暇ならば、生理の有無による男女間で差はありませんし、女性間に差があっても不満はありません(生理が軽い人は有給休暇が増えるから)。

さらに、普段から有給休暇を使える環境を作れるため、法定分の有給休暇も利用が促進され、休暇の消化率が上昇します。また、休暇メニューが有給休暇に集約され、休暇ごとに書類や申請方法を分けず、申請フローを一本化できるのも利点です。


有給休暇の汎用性の高さをもっと積極的に利用したいですね。

 

book697(休暇を濫造しない。)



 

山口正博 社会保険労務士事務所
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