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定額残業代は良い仕組み?


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定額残業代は良い仕組み?
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残業代を定額にしても無意味?


定額残業代に対する世間のイメージはどのような感じでしょうか。

残業に関する話題はちょくちょくと出てきて、最近だと大手広告代理店に関する残業問題がありましたし、飲食系や小売系の企業でも似たような問題が発生していました。

定額で残業代を支払っていると聞けば、「残業代を未払いにしているんじゃないか?」と疑われるのが今の風潮です。

過去にも、何度となく定額残業代を私は否定してきましたが、まだそれを運用している会社もあるようですので、あえてそうする利点があるのか考えてみました。

定額で残業代を支払っていても、残業の時間数を把握しないといけないですし、定額部分を超過した場合は追加で残業代が必要になります。そのため、二度手間になり、意味がないと考えてきたんですね。


book758(固定残業代は「仮払い残業代」と表現すべき。)

book736(定額残業代はオトク。本当なの?)

book689(固定残業代にして、手当に残業代を含めて、残業代をケチろう。)


しかし、使いようによっては、残業代を定額化する利点もあるのではないかと考えています。

 

 

 

「残業が少ないほど残業代が多くなる」不思議な仕組み。


これ、何だか間違ったことを書いているんじゃないかと思ったかもしれませんが、間違っていません。

残業が多いほど残業代も多くなる。これが当たり前であり、当然と思われているのが現状ですよね。

しかし、定額残業代を上手に利用すると、「残業が少ないほど残業代が多くなる」のです。ちょっとよく分からないでしょうから、例を使って書いてみましょう。


例えば、とある会社にて、毎月20時間分の定額残業代が支払われているとしましょう。この20時間分の残業代は、残業時間に関わらず支払われます。

その条件で、1ヶ月に7時間の残業をしたとしましょう。定額残業代が無ければ、残業代はこの場合7時間分です。しかし、今回は、20時間分が定額で支払われるので、残業が7時間であっても、残業代は20時間分です。

実際の時間と定額設定された時間、この2つの差分である13時間分を余分に受け取れるわけです。つまり、残業を減らしたほうが得をする。ということは、「残業が少ないほど残業代が多くなる」のですね。

 

例えるならば、「逆残業代」のようなもの。


残業しないほど得をするのが定額残業代ですから、もし月間の残業時間が0時間ならば、20時間分の残業代をそのまま手にできます。残業していないのに残業代と表現しているのが何だかヘンな感じですが、まさに逆残業代です。

残業を減らすことに対して労使一体でコミットしている職場ならば、定額残業代もアリです。

ちなみに、定額残業代そのものは法律に違反するものではありません。実際の残業時間をカバーするだけの残業代が支払われているならば、定額であっても法的にはそれで足ります。

「実際の残業部分 < 定額部分」

この状態ならば、差分だけ社員側が余分に受け取れるので、社員としては嬉しいでしょう。

 

定額残業代をいくらに設定するか


では、定額ラインをどの水準に設定するか。ここが悩みどころです。

例えば、月間の残業時間が平均で15時間だとして、定額ラインを15時間にしてしまったら、働く側には旨味がないので社員は乗ってきません。

実残業と定額部分との間でギャップが大きいほど旨味が増えますので、ある程度のギャップが生じるように設定するのがキモです。

分かりやすい基準としては、36協定の上限時間を定額ラインにするのもアリですね。1ヶ月での上限時間は45時間ですから、月に45時間分を定額残業代として支払い、その枠を超えないように、会社も社員もコミットしていく。

法的なボーダーラインと定額残業代のボーダーラインを揃えるので、分かりやすい方法です。


(参考)時間外労働の限度に関する基準


ただ、職場によっては、毎月の残業はほとんどない、もしくは短時間で済んでいる場合、月45時間に設定すると枠が大きすぎます。例えば、平均でも残業は月10時間を超えるかどうかという職場で、定額残業代を45時間分も支払うのは、ちょっと多いでしょう。

定額残業代のボーダーラインを設定する相場はありませんので、決め方は色々あります。


先ほどのように36協定の上限時間に揃える方法だけでなく、職場での平均残業時間の2倍に設定するとか、平均の1.5倍に設定するようにすれば、残業時間が短い職場でも定額残業代の利点を活用できます。


例えば、残業時間が平均で月10時間ならば、その2倍の20時間を定額残業代のラインとする。ここでのコツは、実残業時間と定額残業代で設定した時間をあまり近づけすぎないようにすることです。両者を近づけすぎると、残業を減らすインセンティブが乏しくなりますから、ある程度のギャップを作って、残業を減らすと得をすると思わせるような仕掛けにしておくといいですね。

従来だと、残業が多いほど給与が多くなり、残業が少ないと給与も少ないのですが、定額残業代を利用すると、これを逆回転させる効果があります。

 

 


働き放題を許すものじゃない。


ここまで定額残業代の利点について書いてきましたが、20時間分の定額残業代を支払っている職場で、20時間を超えて残業したのに、定額分しか払わない。これはダメです。


「実際の残業部分 > 定額部分」

まさにこの状態ですね。

「定額で残業代を支払っているんだから、それ以上は何時間残業しても残業代は出ないぞ」とムクれることはできないんですね。

この場合の定額というのは、スマホの料金のように電話し放題でナンボというものではなく、「残業があってもなくても、ここまでは確実に残業代を出す」というもの。

20時間分までは残業時間を問わず定額で残業代を支給するが、20時間を超えた分については時間に応じて残業代を支払うようにしないといけません。26時間ならば、6時間分は別途で支払う。31時間ならば、11時間分は別途で支払う。20時間分の定額残業代は仮払いなり頭金のような扱いです。


定額残業代を支給しているからといって、残業し放題にはならないんですね。

余分に残業代を支払う仕組みですから、費用は増えそうに思えます。しかし、残業が減るほど取り分が増えるので、残業を減らすインセンティブを与える仕組みなのです。

 

 

 

道具の使い方で効果が変わる。


道具というのは、使い方次第で良い効果をもたらす場合もあれば、ヘンな使い方をすると悪い効果をもたらすもの。

刃物を使って、料理を作ったり、果物の皮を剥いたり、袋の口を切って空ければ、良い効果がもたらされます。しかし、人や動物に向かって振りかざすと、殺傷する効果があります。

バイクや車も、ラクに、早く目的地まで到着できる便利な乗り物ですが、ハンドル操作を誤ったり、アクセルとブレーキを踏み間違えると事故を起こします。

言葉の使い方でも同様です。気持ちを伝えて、人を元気づける使い方ができる一方で、言葉で人を傷つけることもできます。

定額残業代も道具ですから、使い方次第で良い効果をもたらすこともありますし、間違った使い方をすると良くない効果を生じます。

 

 

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

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