book864(履歴書を労働者名簿にしてもいいの?)

 

労務管理には法定帳簿というものがあり、労働者名簿はその1つです。

労働基準法の107条では、労働者名簿を調製するように要求しており、それを作っていないと、120条に基いて30万円以下の罰金に処されます。


では、労働者名簿をどうやって作るか。ここが問題となります。



労働者名簿のフォーマットがあるのかというと、確かに市販のフォーマットもありますが、それを使わないといけないというものではなく、必要な内容が書かれていれば、それが労働者名簿として通用します。


労働者名簿に必要な情報は、

1.氏名。
2.生年月日。
3.履歴。
4.性別。
5.住所。
6.従事する業務の種類。
7.雇入れ年月日。
8.退職日。


この8点です。

この8点を記入していれば、それが労働者名簿となるわけです。



内容をザッと見ると、「履歴書に書かれている内容と似ているな」と思えますよね。履歴書には、1から5の内容は書かれていますから、追加で6から8の情報を書き込めば、履歴書が労働者名簿になります。

自分の履歴書でも、他の人の履歴書でも、空欄がないほどミッチリと書き込んでいるものは見たことがありません。埋め尽くせないほどスペースがありますから、その余白部分に必要なことを書けば良いのです。

採用時でしたら、従事する業務の種類(営業、経理、調理、接客業務、給仕係など)、採用された日、この2つを追加で書くだけです。文字数で言えば20文字ぐらいでしょう。これぐらいならば書き込めるスペースがあるはずです。

退職したときは、退職日を書き込み、その人の労働者名簿は退職から3年間、保存しておきます。この保存についても労働基準法109条に決まりがあり、3年間保存するように要求しています。



必要なことを書いたら、履歴書をファイルに閉じて保管します。個人情報が書かれている書類ですから、大事な物を置く場所で一緒に保管しておいてください。

紙文書だけでなく、デジタル管理もOKです。世の中にはExcel大好きな人がいらっしゃるようですから、Excelにデータを入力しておいて保存してもいいですね。

他には、Google スプレッドシートも便利です。無料で使えますし、クラウドにデータを保存しますから、USBメモリーなどの物理媒体に比べて安全です。

デジタル管理となると、危険だの漏洩だの「クラウド=危険」というイメージを抱く人がいらっしゃいますが、そういう人はなぜかUSBメモリーに入れているデータは安全だと思っているんですね。

USBメモリーの方がよっぽど危なくて、誰がヒョイッと持ち去るかわかったもんじゃない。紙面のままファイルするよりも、電子データの方が安全です。

とはいえ、社員数が12人とか27人とか、小規模な事業所ならば、あえてデジタライズせずに、先ほど書いたように履歴書を労働者名簿として使うほうが手間が少ないでしょう。環境に合った手段を選ぶのが大事です。



労働者名簿には8つの情報以外を書いてはいけないものでもないですので、社会保険や雇用保険の番号などを書いて保管するのも便利です。基礎年金番号とか、健康保険、雇用保険の被保険者番号などがセットでまとまっていれば、何らかの手続きのときに参照できます。

ただし、マイナンバーだけは履歴書に書き込まず、そちらは別途で保管しておいてください。個人番号だけだと誰のものかは分かりませんが、名前や住所などがセットになっていると、誰の個人情報かが分かりますので、マイナンバーだけは別保管にします。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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