職場でのイザコザが理由で横領の罪になる。

 

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名刺ファイルを持ち帰るだけで横領(すでに退職しているので業務上横領とは違う)になるのかと思ってしまうところですが、イチャモンをつければ、備品のボールペン1本を持ち帰っても無理矢理に業務上横領に仕立て上げるなんてことも可能です(ただ、ボールペン1本では罪が軽く、仮に検察まで行っても不起訴で終わるでしょうが)。

他にも、仕事のユニフォームを返さなかったという理由で横領というケースもありそうです。退職した後に返すつもりだったが、何らかの理由で忘れ、そのまま1ヶ月放置していた。そうしたところ、会社の人から「横領だ」と言われた。

 


些細なことでも、横領は横領だとゴリ押しして、相手を困らせる。そういう嫌がらせはやろうと思えばできることなのですね。

 

今回は名刺ファイルを持って帰ったことが横領とのことですが、名刺がたくさん入ったファイルは顧客名簿とは違いますし、個人的に交換した名刺も含まれていますから、会社の所有物という主張は難しいように思えます。言うなれば、「公私混同物」のようなものですから、ハッキリと会社のモノとは言いにくいのですね。ボールペンやユニフォームならば、ハッキリと所有者はわかりますから、判断は難しくないですが、名刺が入ったファイルとなると微妙です。

 


また、休日に私物を取りに行ったようですので、横領とは別に建造物侵入でも会社はアプローチしたのではないかと思います。退職後は職場内に立ち入る権限なり理由がないので、その点から横領とセットで建造物侵入でも退職した社員を攻めたのではないでしょうか(上記のウェブサイトには建造物侵入については書かれていませんが)。



この一件で気付くのは、問題の本丸は横領ではないし、建造物侵入でもないという点です。

会社としては横領や建造物侵入を問題としているのではなく、退職する社員に対して何らかのトラブル、同僚や上司とのイザコザ、人間関係でトゲトゲした部分があって、退職する本人は個人的な恨みのようなものを受けていた。その感情のはけ口として、退職するアイツに一泡吹かせるつもりで、名刺ファイルを持って帰ったという些細な事で横領と主張したのではないかと思います。

もし、職場の人と人間関係でゴタゴタした部分が無ければ、横領にはならなかったでしょうし、休日に職場に行って荷物を持って帰ったという点も問題にならなかったでしょう。



「アイツ、気に入らねぇぜ」こういう個人的な感情が問題の本丸であって、名刺ファイルを持って帰ったというのは些細な問題だったはずです。

「立つ鳥跡を濁さず」という言葉がありますが、跡を濁して退職した(他にも、業務の引き継ぎも雑に行った可能性もありますね)ために、横領になり、転職でも支障が出た。


犯罪の被疑者を逮捕するときに、「別件逮捕」という手法がありますが、今回はそれに似ています。本当の問題は職場での人間関係(感情の問題)なのに、横領や建造物侵入を理由(法律上の問題)に攻撃した。

今回は会社が退職者を攻めたパターンでしたが、退職者が会社を攻めるパターン(ムカついて顧客名簿130万人分をUSBメモリーに入れて持ち出しとか)もありますので、感情の縺れが原因で法的な問題に発展すると、お互いに消耗しますので、人の気持ちというのは侮れませんね。

 




山口正博 社会保険労務士事務所
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