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book856(決まった時間をオーバーしたら残業、、、とは限らない。)

 

どこからが残業で、どこまでが残業ではないのか。


決まった勤務時間をオーバーして働くと、それは残業と言われる。そして、残業したら、それに対して残業代が支払われる。

何の事はない、普通のことを普通に書いているだけと思ってしまうが、残って仕事をしたからといっても、必ずしも残業代が必要な残業になるとは限らないのです。


何をもって残業とするのか、どの勤務時間に対して残業代が必要なのか。ここをキチンと理解していないと、残業じゃないのに残業だと思ってしまったり、残業代が出ないところで「残業代が出るんじゃないか?」と誤解してしまう。



例えば、10:00から15:00までが勤務時間である井上さんという人がいるとしましょう。休憩時間は無しで、働く時間は5時間です。

さて、この井上さんは、ケーキを作る職人の方で、11月に入って、そろそろクリスマスケーキを作る準備に入ります。


話は脱線しますが、12月23日や24日に販売されるクリスマスケーキというのは、早めに作って冷凍で保存されているものもあり、作ったものをすぐに売っているとは限りません。こじんまりしたケーキ屋さんではケーキを作ってすぐに販売するのでしょうが、コンビニやスーパー、百貨店で注文したケーキは冷凍ものが多いんですね。

冷凍したものをお客さんのところへ送って、自然解凍で食べてもらう。生で作ったケーキと較べても遜色ない味と食感ですから、生ケーキだと思って食べている人もいるでしょうね。



話を戻すと、ケーキ職人の井上さんですが、今年は思いのほかクリスマスケーキの注文が多く、場合によっては15時以降も仕事をしないといけなくなりました。


クリスマスケーキを作るために、10時から仕事を始めたものの、15時では終わらず、16時まで仕事をして、やっと1日の仕事を終えた場合。15時以降の1時間は残業になるのかどうか。

通常だと10時から15時ですので、5時間勤務です。しかし、クリスマスケーキを作るために仕事の時間を延長した日は、10時から16時ですので、6時間勤務です。

では、15時から16時までの1時間は残業なのかどうか。さらに、残業代は必要なのかどうか。

 

 

 


残業だが残業ではない。


法律では、1日8時間までが労働時間として設定されています。この時間をオーバーすると、残業となり、残業代である割増賃金が必要になるわけです。

ということは、1日8時間を超えていなければ、法律上は残業ではなく、割増賃金である残業代もありません。

先ほどの井上さんの場合、10時から16時までの6時間勤務ですので、1日8時間の枠を超えておらず、"法律的"には残業ではないのですね。

しかし、指定の勤務時間をオーバーしたのだから、「それは残業だろう」という解釈もあります。確かに、決まった時間をオーバーすることが残業であるならば、井上さんのケースは残業に該当します。しかし、法律ではそれを残業とは扱わないのです(「法定内残業」と表現する場合がある)。


残業代に関しても、1日8時間を超えていないと発生しませんので、井上さんの場合は残業代(割増賃金)はありません。

ただ、残業代が無いといっても、無賃労働になるわけではなく、15時から16時までの1時間分の賃金はもちろんあります。上乗せされる25%の割増賃金が無いのであって、基本となる賃金は支給されます。


決まった勤務時間をオーバーすれば一般的な解釈では残業と扱われますが、法律では1日8時間を超えないと残業とは扱わないのです。一般的な意味と法律での意味にズレがあるのですね。

残業代も、8時間を超えた時間に対する割増賃金だと解釈すれば、15時から1時間オーバーしても、トータルで勤務時間が8時間を超えていないのですから、割増賃金である残業代は無いのです。ただし、割増賃金は無いものの1時間分の賃金はもちろんありますから、仮に時給1,500円だとすれば、その1,500円は支給されます。

もし、25%の法定時間外労働に対する割増賃金が上乗せされると、時間給は、1,500円 + 375円になりますので、1,875円です。しかし、10時から16時までの勤務ですので、上乗せの375円は無しで、1,500円だけが賃金となるわけです。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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© 社会保険労務士 山口正博事務所