助成金を正しく使えば、会社のお金は減る。

 

 

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詐取されたのは、雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金と呼ばれている助成金。中小企業を対象にしたものが後者で、それよりも規模が大きい会社だと前者の助成金が対象となる。両方とも中身はほぼ同じ。

この助成金は、売上が減ったなどの理由で会社を休業させた場合、社員も休業させる必要があるため、労働基準法26条による休業手当の一部を補助するのが目的になっています。

例えば、10,000円を休業手当で出した場合、その2/3、約6,600円/日 が助成金として支給され、残りの3,400円は会社が負担する。

この助成金を正しく使っていた場合は、収支はマイナスになる(上記の例だとマイナス3,400円)ので、助成金を使えば使うほど会社のお金は減っていく。もちろん、助成金無しで休業手当を支払えば資金の減りは早くなるので、助成金を利用すると資金の減りを遅くできるという効果があります。


キャッシュフローがマイナスになるのに、どうやって儲かるような状態にしているのかと不思議に思うところだが、この助成金を詐取する場合は、架空の休業状態を作り上げることになる。

架空の休業を作り上げる場合は、実際は普通に営業して、社員も出勤しているのに、休業しているとの書類(出勤簿など)を作成して助成金の申請手続きをする。また、休業した人数の分だけ助成金も増えるので、何らかの手段で社員数を増やし、架空の休業を作り上げると、実際は休業手当を支給していないのに、助成金だけが入ってくる。

上記の例だと、1人1日あたり6,600円が人数分、日数分だけ入ってきます。

リーマン・ブラザーズが破綻したのが2008年の9月。それをきっかけに雇用調整助成金が用意され、翌年2009年の1月、2月には申請のための窓口が2時間程度の待ち状態になっているのが常態化した。

あの頃は、申請基準が緩く、比較期間と比べて1円でも売上が減っていればOKなど簡単に申請が通っていたような時期だった。私もその時期にこの助成金の手続きをしたが、書類のチェックも簡単で、「こんなに甘いチェックだと不正をする人もいるんじゃないか?」と感じていたが、案の定、不正請求する企業が発生した。

特に、出勤簿のチェックで、休業されていると表記されていればそのまま通ってしまっていたので、「休業していないのに休業と記録されていたら、もう不正請求になってしまうんじゃないか?」と。

申請者もワンサカといたし、1件ごとにチェックするのも不可能な状況だったろうから、どさくさ紛れに詐取して、そのままお咎めなしで過ごした企業もあったんじゃないかと思う。


雇用調整助成金を正しく受け取るには、営業をほぼ停止しないといけないので、助成されている間は通常の営業モードに戻れない。どこかのタイミングで助成金を受け取る状態から離脱しないと、ジリジリと会社の資金が減っていく。これが本来の常態。

助成金だけがザクザクと口座に振り込まれて、会社にお金が貯まっていくなんてことはあり得ません。

今の助成金のトレンドは、要した費用の一部を補助するのが主になっています。要した費用の2/3とか1/2というように、まず先に支出して、その後に助成金を申請し、支給される。そのため、キャッシュの収支はマイナスになるのが正常です。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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