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book851(パートタイマー用の退職金を作るならば中退共)

 

退職するときにドバっとまとまったお金が支給される。これが退職金のイメージだが、このような退職一時金以外にも、確定給付企業年金や確定拠出年金があり、さらに、中小企業退職金共済(以下、中退共)、特定退職金共済というものまである。

退職金の仕組みを作るとなると、制度の設計が厄介だ。退職金規程を用意して、支給条件、対象者、支給額の計算方法と決めていく。


会社によっては、退職金のルールは無いけれども、経営者の裁量で退職一時金を支給しているようなところもあるでしょうが、それだと退職時に退職金が支給されるのかどうか、その時になるまで分からなくなる。

退職金規定がなく、退職時にドンブリ勘定で一時金を支払う。商売の状況が思わしくないと、退職金がゼロの場合もある。

退職金の中身については、興味の薄さ、ややこしさ、情報の少なさが相まって、ブラックボックス状態になりやすい。退職時期が近づいてくると、「さあ、退職金はナンボかいな」と興味を持ち始めるが、バリバリと仕事をしている時期に退職金のことなんて頭に浮かばいもの。

また、対象者がフルタイム社員に限られているケースが多いのが退職金の特徴。退職慰労金などという名称もあって、長い期間、また長い時間にわたって働いている人に限定して支給するのが退職金だと思われているフシもあり、パートタイマーを対象にしているのは稀だ。

 

中退共を利用すると、退職金制度を設計する手間を省き、パートタイマーにまで退職金の対象者を広げることも可能になる。

中小企業退職金共済事業本部 トップページ


毎月、予め決めた掛金を拠出し、支払った範囲で退職金が支給される共済制度なので、退職するまで支払われるかどうか不明な退職一時金とは違う。

加入後2年未満で退職してしまうと元本割れするが、2年以上勤務すれば、支払った掛金以上の退職金が支給される。

掛金は月額2,000円から30,000円まで設定でき、会社が拠出する。確定拠出年金だと、本人が掛金を出すこともある(個人型、企業型の場合はマッチング拠出の場合)が、中退共は会社が掛金を全額出すようになっている。



制度設計を丸投げできるのが中退共の一番の利点だ。退職金で最も厄介な部分が制度の設計で、支給条件と支給額の計算方法、この2点を決めるのに苦労する。


会社は掛金だけを管理するので、給与に連動する形で掛金を決めるのもアリ。例えば、月給の5%を中退共の掛金とするならば、月給20万円ならば、掛金は10,000円になる。

とはいえ、会社には社会保険料もあるし、労働保険の保険料もあるので、そこにさらに中退共となると、どれぐらいの資金を毎月、用意できるかを考えておく必要がある。

掛金は法人にとって非課税になるので、黒字で法人税が発生するならば、節税用に中退共に加入して掛金を出すのも選択肢の1つとなる。



会社の経営状況にかかわらず支給されるのも利点の1つ。退職一時金だと、会社の経営状況次第ではゼロになるが、中退共の退職金は会社の事情に影響を受けないので、貯めた掛金に会社は手出しできず保護される。


パートタイマーが多いのは外食と小売の業界で、規模が大きいチェーン店ほどパートタイマーの数が多くなるが、中退共という名称の通り、中小企業が対象になる。

従業員数が多い企業ならば、中退共と良く似た特定退職金共済というものがあるので、こちらならば規模による加入制限が無く、チェーン展開する企業でも加入できる。

特定退職金共済制度




 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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