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残業に関する話が不毛な議論になる原因。

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広告代理店 電通の新入社員が月100時間の残業で亡くなったとの情報があるが、残業に関する話では必ず労働時間数が表に出てくるが、その労働時間の使い方については表に出てこない。

「その程度の残業など大したことない」という残業肯定派の人もいれば、「月100時間なんて尋常じゃない」という残業反対派もいて、終わることのない議論が続く。



月に100時間の残業となると、1ヶ月の勤務日数が21日だとすれば、1日あたり残業時間は5時間弱になる。1日の法定労働時間は8時間で、ここに5時間をプラスすると、1日13時間労働となる。

1日の労働時間が13時間というと、確かに長時間労働で、時間数だけを聞くと、さも大変で過酷な職場なのだろうと思いがちだが、この13時間という時間の使い方については詳しく情報が出てこない。



人間が集中できるのは、1セットあたり45分程度と言われている。小学校から高校までは、授業1コマあたり45分で区切られており、その後に10分休憩が入り、また45分の授業が始まるようになっている。

なぜか大学に行くと、45分ではなく90分授業になってしまい、集中力を維持するのに苦労する。授業中に居眠りしたりスマホをいじくったりする大学生は多いだろうが、90分も連続して講義が続けばそうなるのは仕方ない。講義を45分、10分休憩、さらに45分の講義。この3つでワンセットにすれば、講義1回で100分と区切りが良く、集中力も維持しやすいだろうが、そうなっていないのが残念なところ。



話を戻すと、残業について話すとき、時間数については良く話題になるが、その時間の使い方については話になりにくい。

例えば、工場の中でライン作業をしている場合は、仕事の密度は均一になる。

ベルトコンベアーを流れてくるパンに決まった量のレーズンを延々と入れていく。蒸しパンの表面に焼印を延々と入れていく。生の鯵を何百匹も包丁で開きに加工していく。収穫した栗の殻を延々と剥いていく。こういう仕事ならば、時間数に生産量が比例するので、仕事の密度は低下しにくい。


3時間作業をすれば300匹の鯵の開きができあがり、作業を9時間続ければ900匹の鯵の開きができあがる。このように、時間と生産量は比例している。



一方、ホワイトカラーの仕事は、時間を投入したからといって生産量が増えるとは限らない。ミーティングルームで話しているといっても、仕事の話しをしているのか、それとも仕事が終わった後の合コンについて話しているのか、それともランチに何を食べるのかを議論しているのか定かではない。

目を瞑って企画を考えているのか、単に居眠りをしているのか。パソコンで文書を作成しているのか、ゲームをしているのか。スマホで業務連絡を伝えているのか、ポケモンGOをプレイしているのか。

サボろうと思えばサボる隙がたくさんあるのがホワイトカラーの仕事。コーヒーを飲みながら談笑している小休止も労働時間に計上されているとなると、休憩しているのか仕事をしているのか分からなくなる。

「1日13時間労働」という言葉だけに接すると、さも過酷なイメージを抱きがちだが(実際に過酷でシンドイ職場も存在するが)、時間の使い方を知ると、意外と辛く無さそうな人もいるはずだ。

労働時間だけを見て残業について議論すると、実態に合わない話しが展開されてしまいかねない。仕事の密度というのは常に一定ではなく、1日13時間もあれば、ギュッと集中している時間がある一方で、タラタラとお菓子を食べてコーヒーブレイクしながら仕事をしている時間も含まれている可能性がある。

時間の使い方についての情報が表に出てこず、残業の時間数だけをネタにして議論しても、延々と時間を使うものの、結論には到達できない。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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