技術が進歩しても余暇を増やさない人間。

 

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日本でも週40時間労働が当たり前になっていて、週30時間労働となるとパートタイマーでないと実現できないと思われているはず。

人は時間枠が与えられると、その枠に合わせて働くもの。8時間あれば、8時間で仕事をするようになる。4時間だと、4時間で仕事を終えるように行動する。

狭い部屋で育った人は体が小さくなり、広い部屋で育った人は体が大きくなる。労働時間もこれに似ている。

法定労働時間に合わせて勤務スケジュールを決めるため、所定労働時間も1日8時間、1週40時間に設定されている会社がほとんど。所定労働時間を法定労働時間に合わせる必要はないが、上限が示されると、目一杯まで時間を使ってやろうとするのは使用者としては当然の判断でしょう。そのため、所定労働時間と法定労働時間がほぼ一致するような状態で勤務シフトが決まる。



J・M・ケインズの『説得論集』の中で、「わが孫たちの経済的可能性」という章において、技術進歩によって、将来的に労働時間は週15時間になると書かれていたが、実際はそうなっていない。



インターネットが普及し、パソコンの価格は安くなり、スマートフォンでネットに接続することもできるようになった。さらに、新幹線、LCC、ドローン、Ai、ライドシェア(Uber)、住宅シェア(Airbnb)も利用できるようになり、今までよりもより短時間でタスクを処理できるようになってきたにもかかわらず、労働時間は変わらずそのまま(場合によってはむしろ労働時間が延びるケースすらある)。

便利になればなるほど、人の暮らしは楽で豊かになる。こんな理想の世界を考えていたものの、現実の世界は何だか違う。

労働時間が短縮されるどころか、残業が増えて、さらには未払い残業やサービス残業まで発生している。労働時間がドンドンと減っていくと思い描いていた世界とは違うようです。



技術進歩によって、余暇が増え、より少ない時間で仕事を済ませ、ラクに生きられるはずなのですが、技術が進歩して生み出した余裕をさらに再投資して技術を進歩させようとする。それが人間なんですね。

もし、玄関に置いている下駄箱に空きスペースを見つけたら、人間は何を考えるか。「もっと隙間を開けて靴を並べておこう」と考えるのか、それとも、「まだ靴が入るな。よし、新しい靴を買いに行こう」と考えるのか。

残念ながら、多くの人は後者の考えに至るもの。開いているスペースを見つけると、埋めたくなる。貧乏くさい価値観だと思いますが、多いんですね、こういう人。

余白とか空白、スペースといったものを無駄とか資源の無駄遣いと考える人は身近にいます。

学生の人ならば、ノートを見てみるといいでしょう。黒板に書かれた内容を書き留めるノートに左上から右下までビッシリと隙間なく文字を書く人、いますよね。何だかお経の本みたいな感じで、「隙間を作っちゃダメなんだ」と言わんばかりの書き方で、何であんなに詰めて書くのか、私は不思議でしたね。

1冊130円程度で売っているノートですし、ページ数も多いので、ギチギチに詰めて書かなくてもいいんじゃないかといつも思っていたのですけれども、そういう人はそういう性格なんでしょうね。

与えられた枠は使いきらないといけない。ノートにビッシリと文字を書く人、週40時間まで目一杯勤務シフトを詰め込む会社、下駄箱に隙間なく靴を詰め込む貧乏性のヒト。これらは共通するものがありますよね。

余裕を見つけると、その余裕を何とかして活用しようとする。だから、技術が進歩して余暇を増やせる状況になっても、余暇を増やさずに仕事を増やそうとするわけです。






山口正博 社会保険労務士事務所
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