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book838(切符を買う? 定期券を買う? 通勤交通費のギモン。)

 

切符 or 定期券。


学生の頃、通学定期券の安さにビックリしたのが今では懐かしいですね。切符で買うよりも、半額ぐらい(もっと安かったかもしれないが)の料金で定期券を買えて、「学生って、ホント得だな」と。

学校を卒業すると、定期券を買うとなると通勤定期券になるが、これが思っているよりも安くない。通学定期の激安ぶりを想像していると、期待ハズレな感じになる。

働いていると、会社から交通費を支給される人も多いでしょうが、電車を利用する場合、手段は2つあります。


切符を購入して電車に乗る方法。もう1つは、定期券を購入して電車に乗る方法です。

交通費を受け取る場合も、切符と定期券で違いがありますよね。

1,切符の料金を交通費として支給されるパターン。
2,通勤手当の購入費を交通費として支給されるパターン。


どちらのパターンでも交通費の支給方法としてはOKですが、どちらで支給されるかで結果が変わるときがあります。

「ん? 実際に要した費用を支給しているだけなのだから、どっちも一緒なんじゃないの?」と思うかもしれませんが、場合によって、人によって、違いがあるんですよ。これが。

 

 

 

通学定期と交通費のコラボレーション。


会社によって異なりますが、「公共交通機関を利用する者は通勤定期券を購入しなければならない」という類のルール(就業規則、通勤交通費規定など)がある会社だと切符は使えませんが、そうではない会社もあります。

切符でその都度、購入すると割高になるので、通勤定期券を利用してもらう。確かに、切符は1回使って終わりですし、定期券ならば月極で買ってもらえるためボリュームディスカウントが用意されていますね。

定期に限定するのか、切符もOKにするのか。この境目を決めるとなると、悩むところです。定期を買うと、かえって割高になってしまう人もいます。学生を含むパートタイムで働く人の場合は、出勤日数が少ない人がいるため、定期券よりも切符を買ってもらったほうが費用を少なくできます。そのため、定期券だけでなく切符でも交通費の請求をOKにしている会社もあります。

あとは、週何日で出勤するかで分けるところもありそうですね。例えば、週4日以上出勤する人は定期券、週3日未満の人は切符みたいな分け方もアリです。



私が大学生の頃に経験したことですが、とある会社でパートタイムで働いていたとき、電車で通勤していたのですけれども、それと同時に、通学のための通学定期券も持っていたんです。

会社へは電車で通勤していましたから、切符代を交通費として申請していたのですけれども、通学定期券の経路と一部重なる部分があり、切符が不要な経路では通学定期で移動していました。



図で移動経路を表記すると以下の通りです。


A駅 - B - C - D駅 - E - F - G - H - I - K駅
(AからKまでは駅と考える)

Aが自宅の最寄り駅。
Dが職場の最寄り駅。
Kが学校の最寄り駅。

実際の通勤、通学の経路はもう少し複雑でしたが、話を簡単にするために単純化しています。


大学生でしたので、自宅の最寄駅であるAから、学校の最寄り駅であるKまで通学定期券を購入していました。

職場に行くときは、AからDまで移動する場合、KからDへ移動する場合、2つのパターンがありました。

交通費は、AからDまでのものを、切符代で往復分、支給されていました。1回で往復450円ぐらいだったか。1回の出勤で450円なので、月に18日出勤すれば、8,100円になります。


ここまで書けば、何が起こっていたか、分かる人には分かりますよね。

職場まではチャンと電車に乗って行っていたので、交通費が発生していたことは確かです。ただ、その費用は通学定期券で補填されていたので、定期券を購入する費用以外の費用は追加的に発生していなかったのです。



ここで考えるのは、

「通学定期券でカバーできるならば、交通費を請求してはいけない」のか、

それとも、

「通学と通勤は別物だから、交通費の請求も別で扱って良い」のか。

この2つで判断が分かれます。




アナタならば、どちらで判断しますか?

おそらく、自分の立ち位置で判断は変わるはずです。

もし、アナタが私と同じように学生だったならば、後者の判断を支持するはず。一方、アナタが学生でないならば、前者の方を支持したくなるのではないでしょうか。

自分の利益になることは積極的に受け入れ、自分の利益にならないことは反対したりするものです。人間というものは。



通勤交通費を支給するのは会社の任意ですから、どのような支給基準を設けても構いません。全額支給でもいいし、一部支給もいい。全く支給しないのもアリです。

上記のように、通学定期券で指定された経路と通勤経路が重なった場合にどうするか。これも会社次第です。



上記の例だと、1ヶ月で8,100円の交通費が支給されます(私が大学生の頃に受け取っていたのは、確か月に4,700円ぐらいだったような気がします)ので、これを通学定期券の購入費に充当すれば、ほぼ交通費が無料になるわけです。

会社の通勤手当と通学定期券をコラボさせると、こんなことが起こるわけです。

どこにも違法な部分はないですし、不正に交通費を請求しているとも言い切れないので、アリと言えばアリです。


自宅から職場までの経路は最短経路で、切符代も正しい額を申請していましたし、実際に電車に乗って職場には行っていました。ちなみに、この会社では、就業規則(交通費の取り扱いが書かれているかもしれない)を見せてもらったことはないですし、読ませてもらう機会もありませんでした。交通費関連の規程もあったのか、それとも無かったのか、それすら不明な職場でした。

通学定期券についても、学生証を購入時に提示しますし、経路も最寄り駅から学校までの最短経路でしたので、ここでも不正な部分はありません。

しかし、個々の要素を組み合わせていくと、想定外の結果がもたらされるわけです。

 

合成の誤謬」のようなものですね。個々の手続きは正しいものの、それらを組み合わせていくと、悪い結果ではないものの、ちょっとグレーな結果になる。




もし、定期券を購入しなければいけないという職場ならば、上記のような「交通費がほぼ無料」みたいな状態にはならなかったはずです。

出勤ごとに、その都度、経路と切符代を申請書に書くスタイルでしたし、同時期に私は大学生で、通学定期券を使う身分だったという、偶然というか色々な要素が上手く重なりあって、「交通費がほぼ無料」という状態になっていたのですね。


通勤定期に限定するのか、切符もOKにするのか。ここまで読めば、どちらを選択するかで結果が変わると分かるはずです。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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