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利便性は向上したのに、なぜか労働時間は短くならない。

 

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今の生活がどれほど便利か、生活していると実感しにくいのですが、30年前の生活と比べれば遥かに便利になっている。

スマホやタブレットは30年前には無かったし、パソコンも当たり前のように使えるシロモノではなかった。交通インフラもまだ貧弱で、LCCのように格安で飛行機に乗るなんてまず無理な時代でした。

今は2016年、もうこれ以上何を求めるのかと思えるほど豊かになって、便利で、生活道具や仕事で使える道具も充実しています。ですが、しかし、なぜか、人の働く時間が減らないんですね。

クルマの性能は向上し、燃費も良くなって、車で移動するコストは下がりました。飛行機もLCCが登場して料金は安くなりましたし、鉄道も他の交通サービスと競争して、より早く、より安く人を運ぶようになっています。

また、パソコンやスマホも時間を節約するために大いに活躍しています。

にもかかわらず、仕事の時間は週40時間のままですし、さらに残業までしている有様。

本来ならば、週20時間ぐらいで仕事を済ませられるぐらい環境は整っているはずですが、一向に働く時間は減りそうにも無い。



なぜ労働時間が減らないのか、色々と原因はありますが、「時間があれば何かしたくなる」という人間の性というか先天的な性質のようなものが主な原因ではないかと思います。

例えば、ちょっとした空き時間ができたとして、ベンチに座ってジッとできる人は多くないでしょう。座って空をしばらく見続ける。それ以外のことは何もしない。単純なことですが、これは思いのほか難しいもの。

ちょっとでも時間があれば、ポケットなりカバンからスマホを取り出し、画面に向かって指を走らせる。スマホは便利な道具ですし、有意義な使い方もできますが、使いようによっては単に時間をドブに捨てているだけのような使い方もあります。

時間が余ったら、それを積極的に捨てていく。そういう無為な行為を繰り返している人も現にいるのですから、そりゃあ時間がいくらあっても足りないのは当然です。

時間が余ると、人は強引にタスクをねじ込んで、時間を使おうとする。週20時間で仕事を終えられるけれども、それだと減った時間だけ収入が減るから、週40時間までは何でもいいから仕事をする。

 

余裕スペースを見つければ、何かを詰め込みたくなる。これは人間の性であって、まぁ、価値観が貧乏くさいんですね。

衣類を収納するタンスや収納ケースの中を見てみれば分かります。靴を収納する下駄箱を見てみれば分かります。中身がパンパンでしょう?

引き出しが動きにくくなるほどの服を詰め込んで、着もしない服がワンサカ。いつ履くのか分からないような靴がワンサカ。

タンスに余裕スペースがあると、人は「まだ余裕があるな。新しいシャツでも買うか」と考える。シューズボックスに余裕があると、人は「まだ余裕があるな。新しいブーツでも買うか」と考える。

スペースが余ることに、不安感(?)、空虚感(?)、のようなものを感じて、その余裕スペースを埋めたくなる。だから時間も収納場所もなくなっていく。

何も置いていない部屋やスペースも、それ自体で完成しており、意味のあるものなのですが、とにかくスペースを埋めたい人には耐えられないのでしょうね。

 

労務管理の現場では、週40時間、1日8時間を基準にして所定労働時間を決め、それに応じて報酬も決まっていることがほとんどです。つまり、時間を減らせば収入も減るので、時間を減らさない。だから、労働時間は一向に減らず、いつまでも週40時間労働が延々と続いてしまう。

報酬と時間のリンクを断ち切るために「プロフェッショナル労働制(時間と報酬が連動しない働き方)」という新しい働き方が導入されようとしていますが、反対する人は多いですね。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000071224.pdf
特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設



週40時間の束縛から開放されるには、まず報酬と時間のリンクを切ることから始めないと、どうにもならないでしょう。時間ベースで管理する労働基準法が適用されたまま週20時間労働を実現するのは無理です。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
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© 社会保険労務士 山口正博事務所