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book822(マイナンバーカードが普及しない最大の理由)

 


身分証明ならば、運転免許証がベスト。


昨年、2015年の11月頃に個人番号の通知カードが届き、「あぁ、これがマイナンバーカードか」と思いきや、通知カードはマイナンバーカードではないと知って、何だがメンドクサイ。そう感じた人も少なくないはず。

まず先に通知カードを送り、マイナンバーをお知らせする。そこから、カードを申請する手続きを済ませて、しばらく(随分と長い「しばらく」だったが)待つと、市町村の窓口にカードが届き、通知カードと引き換えに窓口まで取りに行く。ここまでやってやっとマイナンバーカードが手に入る。

カードを受け取るときには、暗証番号を設定し、電子証明書が使えるようになり、身分証明書などとしても使えると説明される。

さて、このマイナンバーカード、さも便利な道具であるかのようにプロモーションされているが、さていかほどのものか。

身分証明書として最も馴染みがあるのは運転免許証でしょう。早ければ高校生の頃から運転免許証を持てますから、その頃からもう身分証明書は免許証が定着してきます。

運転免許証番号は券面に記載されているものの、マイナンバーカードのように隠すことはなく、手にした人が誰でも見れるようになっています。身分証明書のコピーを取る時は相手に渡すので、番号を見ようと思えば見放題です。

しかし、マイナンバーカードの場合は、カードの裏に個人番号がプリントされていますが、誰でも見ていいものではなく、必要な場合以外は見てはいけないとされています。見てはいけないならば、券面に記載しなければいいのですけれども、実際はカードを裏返せば番号は見えるようになっています。

見せてはいけない事柄が記載されているのに、「身分証明書として使える」とアピールされても、使う側は困りますよね。身分証明書として使うからには、見せなければいけないですし、かといって見せると個人番号を盗み見られる可能性が出てきます。使っていいものなのか、使っちゃダメなのか。ここですでに利用者を混乱させてきます。

 

 

 

個人番号を使うだけならば通知カードだけで足りる。


会社へ個人番号を提出するために、通知カードのコピーと身分証明書のコピーを紙に貼り付けた経験がある方も多いはずです。税金や社会保険の手続でマイナンバーを使いますから、会社は個人番号を把握しなければいけません。

勤め先にマイナンバーを通知するだけならば、マイナンバーカード本体は必要なく、通知カードをコピーしたものを渡せば足ります。そのため、「マイナンバーカードを申請する必要はないんじゃないか?」、「通知カードだけで十分なんじゃないか?」と考え、カードを申請しない人もいるでしょう。

実際に、通知カードが到着した後、マイナンバーカードを申請した人は約3%とのこと。仮に、自分が住む市町村の人口が50万人だとすれば、カードを申請した人はわずか1.5万人です。

個人番号を取り扱うだけならば通知カードで足りるし、身分証明書は運転免許証や健康保険証で足りてしまう。そうなると、「じゃあカードは要らないんじゃないか?」と考えるのも当然なところでしょう。

 

 

慎重に取り扱うように要求しながら、積極的に活用せよと要求する。


税と社会保障、後は行政手続きなど、限られた範囲で使うことが想定されていたはずですが、ポイントカードや入退社管理までマイナンバーカードに一元化する話もあって、本来の利用目的をジリジリと広げていくんじゃないかという不安感を抱くところです。

個人番号やマイナンバーカードは慎重に取り扱わなければいけない。そういう話はよく聞きますし、文書でも読むことがありますけれども、慎重に取り扱うということは、消極的に利用するということでもあり、積極活用とは方向が逆になります。

 

総務省|マイナンバー制度とマイナンバーカード|マイナンバーカード



積極的に利用するとなると、まさに運転免許証のような扱いを受けるようになります。相手の求めに応じてポンポンと提示する身分証明書。誰でも券面に書かれている情報を見れる。そういうポジションにマイナンバーカードを置くようになります。では、このようなポジションはマイナンバーカードに合っているのかどうかというと、おそらく合ってはいないでしょう。

ただ、税や社会保障以外の分野、ポイントや医療、社員証など、カードを多目的に利用するとなると、「税金や社会保険で使うカードじゃなかったの?」と利用者の不信を招くでしょう。

慎重に取り扱いつつ、積極的かつ多目的に活用していくというのでは、両者は矛盾しています。ブレーキを踏みながらアクセルは踏めませんので、どちらかに舵を切らないと、使おうにも使えないカードとなり、住基カードの二の舞いとなるでしょう。

 
ちなみに、住民票や印鑑証明をコンビニで取得できるサービスも普及がイマイチで、大阪府でも対応している市町村は14しかありません。住基ネットができた当初からコンビニで証明書を交付できると話題になりましたが、マイナンバーカードが登場し、2016年6月の段階で、まだ全ての市町村で対応が終わっていない状況です。

 


セキュリティシールで個人番号をシーリングしたらどうか。


マイナンバーカード本体の欠点は何かと聞かれれば、個人番号が券面に記載されている点でしょう。

カードを裏返せば誰でも個人番号を見れてしまう。もちろん、むやみに見てはいけないとされていますから、見ないこともできるのですが、カードを持った人間の良心に頼っていては不安でしょう。

カードを交付する際には専用のフィルムケースが一緒に渡され、このケースにカードを入れると、性別や個人番号が見えないようになります。ただ、見えないといっても、フィルムの灰色になっている部分が文字を隠すだけですので、フィルムをズラしたり、ケースからカードを出せば情報を見れます。

カードの券面情報を隠すならば、セキュリティシールを使うのも1つの手です。

セキュリティシールというのは、はがきや書類、カードなど、隠しておきたい情報の上に貼り付けて、隠された情報を見るときにシールをペラっと剥がすと、開封済みと文字が浮かび上がるシールです。



SANWA SUPPLY セキュリティシール(ノーカット) LB-SL1

剥がすタイプのはがきでも似た仕組みが採用されていますよね。はがきの隅を指でつまんで、はがきを開くと元に戻せなくなる。個人情報が記載されたはがきの場合、このタイプの仕組みが使われていて、他人に中身を見られないように、1度開封すると元に戻せないようになっています。

シールには色々な種類があるので、どれを使うかは用途によりますが、これをマイナンバーカードに貼り付けておけば、情報が見られたかどうかをチェックできます。

個人番号、性別、住所など、自分が隠したいところにシールを貼って、必要なときだけ剥がして見る。

フィルムケースだとケースから出せば簡単に情報が見れてしまいますが、セキュリティシールならば剥がさないと見れませんから、フィルムよりは秘匿性が向上します。

マイナンバーカード専用のセキュリティシールを販売すれば、売れるんじゃないでしょうか。お金はかかりますが、カードを積極的に使うには、個人番号や性別の部分は隠しておきたいでしょうから、需要はあると思います。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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