book817(傷病手当金の待機期間に有給休暇を使えるか)

 

待機期間が3日あるが、無給。

健康保険には傷病手当金という制度があり、病気や怪我で休むと、手当金が支給されます。支給額は、ザックリと書くと、日給の2/3ほどです。

なお、怪我をしているけど、午前中だけ働いて、午後からは休みというように、収入があると、傷病手当金が収入の分だけ減額されます。


この傷病手当金を受給するには条件があって、怪我や病気で休んでもすぐに支給対象になるものではなく、チョットだけ待つ必要があります。

待つというのは、決まった待機日の期間、休んでおくという意味です。連続して3日間、休んだ後、その後の期間が傷病手当金の支給対象になるわけです。いつでもいいから合計で3日間ではなくて、「連続して3日間休んでいないといけない」のがポイントです。

支給対象にならないとなると、この待機期間は無給になります。そこで、「有給休暇を充当すれば、無給を有給に変えられるんじゃないか?」と思いつくわけですね。

 


有給休暇を使って待機してもOK?

連続3日間、有給休暇を使う。これで傷病手当金の待機条件を満たせるかというと、満たせます。つまり、傷病手当金の待機期間に有給休暇を使うことは可能なのです。

有給休暇が3日続いて、4日目以降は傷病手当金の支給対象になる。これならば、無給期間がなくなりますね。

ちなみに、土曜日や日曜日、あとは祝日も待機日に含めることができます。土日や祝日に出勤する人もいらっしゃいますし、休みの方もいらっしゃいますが、いずれにせよ傷病手当金の待機日には含められます。

有給休暇を取得した日は給与が支給されますけれども、仕事をしている日ではないですから、休んで待機している状態に違いありません。だから、有給休暇を取得した日を待機日に含めても差し支えないわけです。

 


労災版の傷病手当金 休業補償給付

ちなみに、労災保険でも待機日が設けられている制度があります。

休業補償給付(労災版の傷病手当金のようなものです)という制度には健康保険の傷病手当金と同じように3日の待機日が必要です。

ただ、待機日は3日必要ですが、労災の場合は合計で3日あればOKです。連続3日間ではなく、途切れ途切れであっても、合算で3日分の待機日があれば条件を満たします。

じゃあ、労災の休業補償給付を受給するときも有給休暇を使えるのかというと、そうではないのです。

待機日は確かに無給になるのですが、労災が発生するのは事業主の責任と扱われるため、労働基準法76条(以下、76条)に基いて、待機して休んでいる日に休業補償をしないといけないのです。

休業補償というと、労働基準法26条(以下、26条)の休業手当と混同しそうですが、それとは違います。

26条の休業手当は、例えば、リーマンショックのようなイベントで営業を停止して社員を休ませる場合に支給したり、会社が何らかのトラブルを発生させ、工場の操業が停止されたときに支給するものです。

一方、76条の休業補償は、労災が発生した時に適用される内容です。26条では労働者は怪我をしたり、病気にかかってはいませんからね。

よって、労災で待機している日には使用者が補償するため、有給休暇を使って収入を補填する必要は無いのです。

健康保険の場合は、業務外の怪我や病気がフォローの対象になりますので、その原因は仕事ではないため、傷病手当金を受給するときは事業主が補償する必要はなく、本人の有給休暇を使って待機します。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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