クラウドソーシングは福音だ。20年前の「内職」こそブラック。


在宅だけで稼げる? クラウドワーカーは「ブラック」か「福音」か

 クラウドソーシングとは、仕事を発注したい企業と、仕事を請け負いたい個人などをネット上で仲介するサービスです。クラウドソーシングを活用すれば、自由で新しい働き方ができるとして注目を集めています。また発注側から見れば、必要なときに必要な人材を気軽にネットで探せるため、柔軟な使い方ができるというメリットがあります。

 クラウドワークスは大手2社のうちの1社で、2014年、マザーズに上場しました。現在、同社に登録しているクラウドワーカーは約80万人となっており、15年10~12月期に発注された仕事の総額は約10億円となっています。このうち、月収が20万円を超えたクラウドワーカーの数は111人となっており、全体からすればほぼゼロに近い水準でした。ちなみに彼らの平均月収は約34万円だったそうです。

 ネットで議論になったのはこの数字の是非です。登録している人が80万人もいて、ギリギリ生活できる水準の月収を得られる人がほぼゼロでは意味がないとの声があちこちから上がりました。たしかにその通りなのですが、見方を変えれば違った解釈も可能となります。クラウドソーシングには、家庭の主婦や副業をする人など、これまでの形態では仕事に就けなかった人にも就労機会を提供するという役割があります。月2万円程度の収入でも、従来はゼロであったことを考えると、大きな成果と見ることもできるでしょう。

 

クラウドソーシングに対するネガティブな意見は以前からありますけれども、クラウドソーシングだけで生活する人はそう多くないでしょうし、それほどコミットして取り組んでいる人も少ないでしょう。

 

当然ながら、誰でもできそうなタスクだと単価は安いですし、やや面倒な作業となると、単価も上がってきます。

 

クラウドワークスのウェブサイトを見ても、なかなかチャンとした案件もあって、片手間でやるには丁度いいぐらいではないでしょうか。クラウドソーシングだけで生計を立てずとも、他の仕事も組み合わせながら収入を複線化していく。そういう手段なのでしょうね。


昔、といっても20年ぐらい前でしょうか、今よりもヒドイ状況でした。

 

「内職」という在宅作業の仕事があって、自宅にいながら仕事ができるものの、これまた実に単価の安い仕事を延々としないといけないものでした。今でもあるのでしょうか。

 

例えば、電子部品を組み立てる作業で、ソケットに青色、赤色、黄色のケーブルを指定通りに差し込んで、何かの組み込みに使う部品を作る。退屈な作業です。私も手伝った経験がありますが、4個作ったところでギブアップしましたね。退屈で単調で、私には無理です。

 

1個当たり何銭という単価でしかなく、仮に1個0.5円とすると、2個で1円ですから、1,000個作っても、500円です。1つ作るのにだいたい10秒かかるとすると、1分で6個。60分で360個です。1個0.5円だと、360個で180円です。延々と単純な作業をして1時間で180円ですから、今のクラウドソーシングと比べれば、昔はいかに悪条件だったかが分かります。

 

ネットがあるため、仕事が流通する市場が出来上がり、クラウドソーシングという形で仕事と報酬が交換されるわけです。20年前というと、1996年ですので、ネットはあったでしょうが、2016年ほど普及はしていませんでした。もちろん、クラウドソーシングの市場なんて影も形も無い頃です。

 

主な収入源として利用するものではなく、あくまで付加的な収入源と考えてクラウドソーシングを利用する。これが本来の使い方でしょう。

 

ショーモナイ部品を延々と作成するしかない時代ではなく、どんな仕事をいくらの報酬で受注するか、それを選べるようになったのですから、20年前とは雲泥の差です。

 

内職しか選択肢がなかった人には福音ですし、収入源をクラウドソーシングに絞ろうとするとブラックな側面が出てくる。使う人次第ですね。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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