book787(タイムカードがウソをつく。)

信じる人は騙される。


勤務時間を記録する方法としてはタイムカードが一般的だが、あのカードに印字された情報が客観的な記録だと思っている人は意外といる。

打刻機のボタン(始業か終業を選ぶ)を押して、細長いカードを入れると、ウィーン、ウィーン、ガガッと音がして、時間が印字される。それを始業時と終業時に行い、勤務時間を記録する。

カードには始業時間と終業時間が日別に記録されているのだが、この時間は正確なのかどうか。タイムカードは勤務時間を記録した客観的な証拠だと思っている(もしくは思い込んでいる)人もいるが、記録された情報が正しいとどうやって分かるのだろうか。

例えば、始業時間が10:28と記録されていたら、仕事を始めた時間は10時28分ということだが、本当にその時間から仕事は始まったのか。また、終業時間が17:09と記録されていたら、その時間に仕事が終わったと考えていいのだろうか。

もし、10時28分よりも前に仕事を始めていたらどうか。10時28分よりも前に朝礼をやっていたら。10時28分よりも前に仕事の下準備を始めていたら。

タイムカードには10:28と書かれているが、その時間に仕事が始まったかどうかはタイムカードだけでは分からない。これは終業のときも同じ。



正しいならばノートに勤務時間を書いてもOK。


始業時間前の仕事、終業時間後の仕事。これらが発生するとタイムカードに記録されている時間は正しくなくなる。

もっと高度なシステムを使えば正しい時間を記録できるのではと思えるが、ICカードや静脈認証を使っていても防げない場合がある。先に業務を開始して、その後に始業の時間を記録すれば、始業までの時間は記録には出てこない。終業の時も、先に時間を記録させ、その後も業務を続ければ、記録には残らない、いわゆるサービス労働になる。

勤務時間に関する不正を道具で防ぐのは難しい。入退場ゲートを設けたり、監視カメラもセットで使い、記録された時間の正確さを担保しようと思えば可能ではある。

正しく記録しているならば、ノートに勤務時間を記録するだけでもOKだ。学生の頃にとある飲食店で働いていたときは、タイムカードは無いし、ICカードなんてシロモノもなかった。どうやって勤務時間を記録していたかというと、文房具店で売っているノートを使っていた。自分でボールペンを使って、始業と終業の時間を記入する。単純にそれだけ。

「ノートなんかで勤務時間を記録したら、改ざんされ放題ではないの?」と思うだろうが、それは取り扱う人にとって変わる。悪いことをしようと思えば、立派な道具でも悪用しようとするし、キチンとしようと思えば、簡素な道具を使っても正しく時間を記録できる。手段ではなく、記録されている情報が正しいかどうか。ここが最も重要。

性悪説で物事に対応するのは良いことではないが、こと勤務時間の記録については、正しくない可能性を常に疑うべきだ。




山口正博 社会保険労務士事務所
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