会社にユニオンがやってきた。


「何をぬかしとるんや、コラァ!」 アリさん引越社幹部の「恫喝」が物議
http://www.j-cast.com/2015/10/05247035.html


引越社を巡っては、社員らから、残業代が支払われなかった、仕事中の荷物破損や車両事故の損害を給与から天引きされたといった指摘が出ている。男性社員は、組合活動をしたことで不当な配置転換を受けたとして、7月31日に地位確認などを求める訴訟を起こしていた。


20年ぐらい前だと、労働組合というと、大きな会社で組織されるものというイメージがありました。企業別の労働組合、産業別の労働組合、職業別の労働組合など、組合にもいくつか種類があります。

今では個人でも加入できる労働組合があり、費用もわずかです。規模が大きい会社だと、ユニオンショップ協定で半ば強引に組合に加入しますが、中小規模の会社だと組合が無いので個人単位で加入することになります。

組合が無い会社だと労働組合に接した経験がある人がおらず、突如としてユニオンから連絡が来ると、ビックリして混乱する方もいらっしゃいます。

退職や解雇のイベントが発生すると、社員がユニオンに加入し、未払い残業代、サービス労働による無賃労働、業務上の損失を個人負担にした、他には自己都合で退職するにもかかわらず会社都合で退職勧奨されたと訴える、などの事例が起こり得ます。

上記で紹介されているのは、引越会社でのトラブルですが、未払いの残業代、業務中の損失を給与から天引き、この2点が問題のようです。

労務管理の問題は法律の問題ですから、感情的になって対応すると、後になって不利になります。

動画サイトに掲載された映像が物議を醸していますが、あのように対応してしまうと、第三者の立場では、「会社が悪いんだろう」、「何か都合が悪いから怒っているんだろう」と思ってしまいます。会社の名前と動画を結びつけられると、顧客からの印象も良くないですから、ユニオンの人に対してキレても会社が有利になることはありません。第三者の心象が悪化し、四面楚歌になって、最後は謝罪する。そういう残念な流れにならないためにも、初期対応というのは思いのほか重要です。

話が逸れますが、この一件が起こってからしばらくして、夜の23時頃に、当事者である引越会社のCMがテレビで流れていました。「よくもまぁ、こんな時期にCMを流すなんて」と思いましたが、以前から放送が予定されていたのでしょうか。分かっていてCMを流したとなれば、なかなか挑戦的な会社です。

話を戻すと、ユニオンが接触してきたときは、相手からの質問にキチンと応じるのが賢明です。一方的に要求を受け入れるのではなく、事実を確認するためのものです。

未払いの残業代があったと言っているが、事実なのか。事実であるならば、何時間の残業があり、残業代はいくらになるのか。

また、損失を給与から天引きして補填した点については事実なのか。事実であるならば、その内容や金額はどうなっているのか。

何が事実で、何が事実ではないのか。ここをハッキリさせるためにユニオンは接触してきますから、そこで連絡を拒否したり、質問を無視したりすると、不当労働行為ですから、ユニオンも拡声器を持って会社にやってくるわけです。最初からいきなり拡声器を使って会社の前で何かを言うことはなく、何度か会社へ連絡したものの対応してもらえず、ユニオンとしてはやや強硬な手段を用いたという流れでしょう。

「ユニオンなんか無視していればいいだろう」、「放っておけばいなくなるだろう」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、無視すればそれはユニオンの思う壺ですので、連絡が来たらキチンと対応するのが正しいのです。



山口正博 社会保険労務士事務所
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