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新卒一括採用を守るために就活時期が制限されている。(Tue.20150929)

就活:長期化、学業に支障…解禁破り続出、見直し論
http://mainichi.jp/select/news/20150929k0000m020119000c.html


 来年春卒業の大学生らの採用活動は10月1日に正式な内定日を迎える。採用を巡る経団連の指針見直しにより、今年から面接や筆記試験などの選考活動解禁が、従来より4カ月遅れの8月1日に繰り下げられたが、企業からは「ライバル社が抜け駆けで採用活動を行い、不公平」などの不満が噴出した。学生からも「就職活動が長期化した」などと困惑の声が目立った。指針見直しは、「学業に専念する時間の確保」が狙いだったが、効果を発揮したとは言い難く、早くも再見直し論が出ている。

 「まさかこんな時期まで就活をしているとは思わなかった。12月提出予定の卒論も準備が進んでいないのに」。東京商工会議所が9月10、11の両日、中小企業を集めて東京都港区で開いた合同会社説明会。3月から就活中という埼玉県在住の女子大学生(22)は疲れた表情で話した。

 昨年までは、経団連非加盟の外資系、IT企業が大学3年生の後半から採用活動を実施▽経団連加盟の大企業は大学4年4月から面接を始め、7月初旬までには実質的な内定を出す▽その後、中小企業の採用が本格化−−という流れだった。
 

以前から繰り返していますが、就活に対する規制には守る動機がありません。

企業は、じっと解禁まで待っていたら他の企業に出し抜かれる。学生も、じっと待っていたら、いつの間にか応募が締め切られている。だから、どちらもなるべく早く動く方が合理的。ゆえに、規制を守らない。

ルールには守るメリットが必要です。善意だけで人は動きませんので、何らかのインセンティブが必要です。例えば、信号機。信号に従わないと、歩行者である自分が事故に遭って怪我をする。一方、クルマを運転する人も、信号を無視して事故を起こすと、警察沙汰になるし、お金はかかるし、場合によっては刑務所に入る可能性もある。だから人は信号機を守る。

就活に対する規制は、企業、学生、大学いずれにも利点がありません。規制を守れば企業や学生は出し抜かれるかもしれないし、就活時期がいつになったとしても大学での授業やゼミには影響が出る。

解禁というと多くの人は漁業を思い浮かべるでしょう。漁業では解禁時期を設定しないと漁業資源が枯渇する可能性があるし、一部の業者が魚介類を根こそぎ持って行ってしまう。だから当事者は解禁時期を守る。守らない人は漁業ネットワークから排除され漁ができなくなる。そのため、当事者は制限に従うわけです。

就活でも、新卒が根こそぎ取られるから制限は必要という考えもあり得ます。新卒学生は毎年決まった時期に一定の数しか生産されませんので、限られた資源を分け合うために制限を課すのは理に適っているようにも思えます。

「学業に専念する時間の確保」が狙いだったと書かれていますが、本当の狙いは新卒一括採用を維持するためではないかと私は考えています。

新卒一括採用をやめれば人材は枯渇しないので、漁業のように解禁日を設ける必要はない。しかし、新卒だけを採用すると限定してしまうと、毎年卒業する新卒学生には限りがありますので、魚介類のように根こそぎ取られないように制限を課さないといけなくなる。

つまり、新卒一括採用を維持しようとするから、就活に制限を課さないといけなくなるわけです。ということは、新卒に限らず人材を採用すれば、就活に関して制限を設けることもないでしょう。

年齢で差別し、無用な就活制限を生み出す。これでもまだ新卒一括採用にこだわるとしたら、世の中にはよほど意固地な人がいるのでしょうね。



山口正博 社会保険労務士事務所
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