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book785(スマホアプリで勤怠管理。プライバシー侵害?)

どこにでもスマホが入り込む。


2015年9月の時点で、ケータイを使っている人のほとんどが端末をスマホに変え、普通のケータイが珍しくなりました。

私がスマホを使い始めたのは、2010年の6月、HT-03Aというスマホがきっかけでした。もう5年も前なんですね。画面は小さく、処理能力も貧弱で、動作も遅かった。iPod touch も同時に使っていたが、こちらの方が遥かに使いやすく、HT-03Aは電話として使うだけになりました。

20年ぐらい前は電話をするための道具として使うのがケータイでしたが、今では電話だけでなく、ゲーム、メール、写真、動画など、他にも様々な用途でケータイを使えるようになりました。

万能ツールとして使われているスマホですが、アプリ経由で勤怠管理の手段として使うことも可能です。

勤怠管理、つまりは勤務時間の管理ですが、その手段はタイムカードが一般的です。カードを縦に収納するケースにズラズラっと1ヶ月分のカードが1人1枚づつ入っていて、そこから自分のカードを取り出し、打刻機に挿入して、時間を印字する。経験した人も多いでしょう。

時間を記録するにはタイムカード以外にも色々とあります。例えば、市販のノートに記録する方法を採用しているお店もありました。そのお店では、当日の始業時間と終業時間をノートにボールペンで自分で手書きしていました。最も低コストで時間を管理するならば、このノートスタイルでしょう。

他には、レジからレシートを出力して時間を記録する方法もあります。出勤してきたら、自分の番号を押して、レジから紙を出力し、その紙には番号と時間が書かれているので、これがタイムカード代わりになっていました。この方法はメンドクサイと感じていたので、私は好きではないです。

あとは、磁気ストライプカードを使ってスキャンする方法、ICカードをゲートでスキャンする方法、指紋認証で管理する方法もあります。

色々な方法がありますが、どの方法でもOKです。この方法じゃなきゃダメという指定はありませんから、好きな方法で管理できます。記録されている時間が正確であれば、手段は問わないのですね。

スマホのアプリを使って勤怠管理することも今では可能であり、指定のアプリをインストールしてもらい、そこから出勤と退勤を通知してもらい、仕事の時間を把握できます。

現場に直行し、現場から直接に帰宅する。そういう働き方をする場合、わざわざ事業所なり会社なり、お店に行って始業時間を記録し、そこから現場に行くと時間をロスします。そのため、事業所を経由せずに時間を記録する方法が欲しくなります。

スマホアプリを使うと、自分のスマホから始業と終業の時間を送信できますから、直行直帰タイプの仕事には合っています。しかし、スマホのアプリには色々と情報を収集する機能があり、中には位置情報を収集するものもあり、プライバシーとの兼ね合いが問題となります。




必要な情報だけを集めるスマホアプリを作る。


勤怠管理のアプリだと言いながら、行動をトラッキングする機能を紛れ込ませる可能性があり、それを使って社員の行動を監視するんじゃないかと疑われます。

アプリを使っている側とアプリを制作した側、この両者の間では、いわゆる情報の非対称性が発生しています。つまり、制作側はこれこれの情報をアプリ経由で集めていると知っているが、ユーザー側では大雑把にしか把握されていない。それゆえ、ユーザーが知らないうちに、アプリ経由で位置情報が送信され、行動が監視されてしまうことも起こり得る。

業務連絡にLINEを使うのも当たり前になりつつあり、スマホが仕事に入り込んでくるのを排除するのは難しい。スマホを使えるならば、何とかして使うのが今の流れですので、「プライバシーが侵害される」と言っても抵抗しにくい状況です。

アプリで位置情報を取得せずに勤怠管理をすることは可能です。アプリを設計する段階で位置情報を取らないようにするだけですから、難しくはないです。

画面に表示された出勤なり退勤のボタンをポンとタップして、その日時を記録するだけならば難しいものではないです。ただ、位置情報を取得しないと、自宅で出勤ボタンをタップするかもしれないし、自宅に帰ってから退勤ボタンをタップするかもしれない。位置情報と記録された時間を合わせて、正確な記録なのかどうかをある程度まで判断できるので、位置情報を集めたくなる気持ちは分ります。

妥協策としては、ボタンをタップした時点、つまり点での位置情報を記録するだけならばどうでしょうか。始めから終わりまでずっと位置情報を線で記録するのではなく、ボタンをタップしたその瞬間の位置だけを記録するだけにする。ずーっと位置をトラッキングするとなると、行動が監視されている状態になるので、それを避けるための苦肉の策です。

プライバシーに配慮して位置情報を記録しない仕組みにするか。それとも、正確に時間を把握するために位置情報を集めるか。

位置情報を取得したからといって、正確に勤怠管理できるとは限りませんが、より正確になるのは確かです。

どこが仕事の始まりで、どこが仕事の終わりなのか。人によって基準が変わり、その境目も曖昧になる仕事が増えてきました。

時間ベースで労務管理する労働基準法の限界を感じます。




山口正博 社会保険労務士事務所
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