雇用保険の財政は安定しやすい。(Wed.20150818)



雇用保険料:引き下げに向け議論 厚労省、年内にも結論
http://mainichi.jp/select/news/20150819k0000m010037000c.html


 「14年度決算は黒字の見通しで、積立金は上ぶれの可能性が高い」。厚労省は4日の労働政策審議会雇用保険部会で、積立金が過去最高額を更新するとの見通しを示した。積立金は、年間失業率が過去最悪の5.4%(02年)となった02年度には4064億円に落ち込み、収入確保のため保険料率を一時1.6%にまで引き上げた。その後、08年のリーマン・ショックの影響はあったものの、失業給付を受ける人はピークの01年度の約111万人から14年度には約46万人に減り、支出も減った。この結果、積立金は13年度ですでに過去最高の6兆621億円に上っている。

 雇用保険の積立金は失業者の増加に備えたものだが、過剰な積み立ては必要ない。保険料引き下げは、これまでも積立金残高の「調整弁」として使われてきた。労使双方が要望しており、4年ぶりの引き下げとなる公算が大きく、焦点は下げ幅だ。

自ら退職しても失業給付を受け取れるのが雇用保険の特徴です。

意図的に保険事故を起こすと、給付がなされないのが保険の基本なのですが、雇用保険は自分で保険事故を起こしても構わない仕組みになっています。このような有利な保険なのですが、民間の保険会社は、加入者が自らの意志で保険事故を起こせる雇用保険を販売していません。

リーマン・ショックの頃、2009年は失業者が増えたのですが積立金はほとんど減っていません。雇用調整助成金や中小企業緊急雇用安定助成金を投入して随分とお金をバラ撒いたのですが、雇用保険の外から資金を注入していたため、積立金にはあまり影響しなかったのでしょう。

2000年の初め頃に随分と積立金が減っていますが、あの頃はデフレ経済の真っ只中でした。新聞を読むと、毎日のようにデフレという言葉が出てきて、デフレ経済に関する記事、デフレから脱却するにはどうしたらいいか、インフレターゲティング政策を導入するべきかなど、経済関連の話題はデフレが中心でした。

平成27年度の雇用保険料は1.35%ですから、健康保険や厚生年金の保険料に比べれば負担感はわずかです。労災保険の保険料は会社が100%負担していますし、雇用保険料は小額であるものの折半負担になっており、労働保険の保険料に関しては被保険者(社員)の立場からすると誤差と考えて構わないぐらいです。

平成27年度の雇用保険料率について - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000073918.pdf

公的保険といえば社会保険を思い浮かべるぐらいですから、健康保険の保険料10%、厚生年金の保険料18%、この2つがどうなるのか。こちらの方が雇用保険料よりも関心は高いでしょう。

健康保険だと、入院している人、通院している人が常にいますし、風邪や転んで擦りむいた程度でも保険を使えてしまうので、常にキャッシュアウトが発生しています。また、年金も、偶数月になれば年金を支給しますから、常にお金が出ていきます。

しかし、雇用保険の場合は、継続的な支出(育児休業給付、介護休業給付など)といっても期間に限りがありますし、失業手当も日数制限があります。そのため、支出する範囲が限定されており、お金が減りにくい仕組みになっています。

ハローワークインターネットサービス - 雇用継続給付
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html

2005年頃から積立金の残高が急回復していますが、この時は、労働市場が売り手市場になり、学生の就活がラクになっていった時期です。リーマン・ショックの前、2007年まで売り手市場が続き、この頃に就職活動をしていた人たちは内定を得やすかったはずです。

人が足りない状況になると、失業する人も減りますから、雇用保険からの支出も減り、積立金が増えていきます。

雇用保険では、会社都合で離職した場合と自己都合で離職した場合では、失業給付の内容が異なっています。そのため、自己都合での離職であるにも関わらず、会社都合で離職したように離職証明書を書かせようとする人が出てきます。自分の都合で離職するのに、会社から退職勧奨されたとでっち上げて、離職証明書の理由欄に会社都合での離職だと記載させる。そのような不正な手続きを要求する人もいます。

退職する社員から不正な要求をされるケースが多いですが、会社はキチンと断らないといけません。離職理由は正しく、事実を記載してください。

山口正博 社会保険労務士事務所
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