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book775(固定残業代、残業申告制、残業許可制。全てダメ。)

利点が無い固定残業代制。


すでに過去のものになったかと思っていた固定残業代制ですが、未だにこの仕組みを利用している企業もあるようです。

過去にも何度も説明してきましたが、固定残業代そのものは法律には違反しません。それゆえ、法定時間外割増賃金を固定で支払うのはOKです。ただし、固定で支払う残業代を、必要な割増賃金が上回った場合は、差額を清算して支払う必要があります。

例えば、固定の基本給の中に30時間分の時間外手当を含む場合、1ヶ月の残業が30時間未満であるならば、割増賃金はキチンと支払われているので、問題は無いでしょう。ただ、この場合、基本給が最低賃金を下回らないように注意するのは当然です。

しかし、月間の残業時間が30時間を超えたときが問題です。もし、月に残業が37時間あったとすると、30時間を超えた7時間分は固定の残業代には含まれていないので、別途で計算し支払う必要があります。

超過分を清算して支払わないといけないため、固定残業代制は二度手間な仕組みです。

割増賃金は、スマホのようなパケット定額制のサービスとは違います。スマホならば数千円で毎月好きなだけネットを使え、支払いは定額です。今では、月額1,000円で3GBも通信できるサービスもありますから、定額で使い放題という価値観が定着しています。しかし、その価値観を労務管理に持ち込むのはダメです。

残業代を固定する利点は、決まった上限以上の費用が発生しないところにあります。しかし、固定残業代にはその利点がありません。超過した部分は清算して支払う必要がありますから、固定する利点は無いでしょう。

毎月30時間も残業はしない。残業代を一々計算するのが面倒。という企業ならば、残業代を固定するのもアリかもしれませんが、わざわざ余分に割増賃金を支払うのもヘンですよね。




申告制でも許可制でも残業は減らない。


許可制や申告制で残業を防げるかのように説明する向きもありますが、許可制や申告制では残業は減りません。

許可や申告でもって残業をフィルタリングすれば、残業時間は減るだろうと思いがちですが、そのような仕組みは、導入して3ヶ月程度で形骸化します。

導入した当初は、皆張り切って残業が必要かどうかをチェックするのですが、徐々に面倒になって、申請された残業を全て認めてしまう。これが現実です。残業が必要かどうかは、上司では判断できず、残業をしている本人が必要だと判断すれば、上司は追認するしかなくなる。

嘘だと思うならば、実際に申告制や許可制を導入し、それらの方法で残業を食い止められるか試してみると良いでしょう。論より証拠です。

固定残業代や申告制、許可制でもって事後的に対処するのではなく、残業の原因となっている仕事の取り組み方を変えるのが正攻法です。





book758(固定残業代は「仮払い残業代」と表現すべき。)

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book522(必要な残業と不必要な残業の境目)

山口正博 社会保険労務士事務所
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