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3年分の年収を支払い、雇用契約を解消。(Tur.20150611)


労災療養中でも解雇可能=専修大元職員めぐり初判断—最高裁
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201506/2015060800747&g=soc



 労働基準法は、業務によるけがや病気で休業する期間は解雇を原則禁止。ただ、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年たっても治らない場合は、平均賃金の1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定している。
 男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険の支給決定を受けた。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めたが、専修大は認めず、打ち切り補償金約1629万円を支払って解雇した。
 第2小法廷は「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、けがや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘した。



打切補償の事例は珍しいですね。病気や怪我の治療が長引けば、ナンダカンダで自主的に退職する人が多いのですが、打切補償を行い解雇するケースは多くないはずです。

打切補償については、労働基準法81条(以下、81条)に書かれています。平均賃金の1200日分の補償ですから、ざっと3年分を超える程度の金銭補償です。解雇予告の手続きを経て解雇されれば、1ヶ月分の予告手当しかありませんが、こちらは3年強に相当する補償内容ですから手厚さに違いがあります。

2007年から労災を利用し始め、今は2015年ですから、3年はすでに経過しています。そのため、81条を利用するための条件は満たしており、大学は81条を利用して解雇したというのが事の経緯です。

労災で治療でき、さらに3年分を超える年収を受け取れる。さらに、大学を辞めた後も労災の補償が続く。療養中に解雇されて「ヒドイ大学だ」と思う人もいるかもしれませんが、補償の内容は悪くありません。むしろ、十分すぎるほどの補償でしょう。条件に不満を感じる点はありませんので、なぜ裁判を起こしてまで問題にしたのか不思議なぐらいです。解雇されたとしても、怪我が原因なのであって、業務上横領やセクハラなど何か責められるべきことをしたわけではありませんので、退職後のことについてもさほど心配はないでしょう。

私がもし打切補償を受けられるならば、ちょっとした海外旅行でも行ってしまうでしょう。病気や怪我の状況によりますが、3年分の年収をガサッと手に入れられるならば、ちょっとバカンスに行ってやろうかと思ってしまいます。

2003年から続いている状況だと考えると、大学は随分と待ったなという感じです。他の会社ならば、療養を開始してから1年程度で、陰に陽に自主退職を勧めてくるところもあるでしょうから、10年以上も治癒を待ち、さらに打切補償まで支払ったとなれば、大学側としては最大限の配慮をしたと言えます。

山口正博 社会保険労務士事務所
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