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book764(休暇を廃止しよう。会社独自の有給休暇で一本化。)

作るは天国。使うは地獄。


ナントカ休暇、カンタラ休暇と、会社の規模が大きくなると休暇の種類が多くなります。

資格取得休暇、アニバーサリー休暇、結婚休暇、その他色々なワケの分からない休暇。休暇は休みですから、社員にとっては嬉しいものです。これは確かです。

しかし、休暇の種類が増えると、労務管理で生じる悩みのネタも増えます。休暇を作るとなると、それぞれ条件を決めて就業規則に書かないといけないし、実際に利用する際には条件に該当するかどうかを判断しないといけない。

何日の休暇なのか。取得期限は。取得理由は。対象者の範囲は。休暇を作る前は、「ようし、新しい休暇を作るぞ」とちょっとウキウキするのですが、実際に作って運用すると、そのウキウキ気分はあっさりと雲散霧消する。

規模が大きい会社に努めている人ならば分かるかと思いますが、休暇の利用条件というのはアッサリと就業規則に書かれているだけで、実際に休暇を使う段階になると、当初では想定していなかったことも起こるものです。

例えば、取得期限を就業規則に書いていなかったら、1年後でも2年後でも休暇を使えてしまいます。他にも、対象者をキチンと特定していないと、勤続年数や職種、勤務形態に関わらず休暇を取得できてしまう。また、休暇を取得する理由も、それが適切かどうか、妥当なのかどうかが人によって判断が異なったら、「あの人は休暇を使えたのに。私は使えないのはなぜ?」と言われ、返答に窮してしまう。

人事や総務で働いている人ならば、休暇制度を運用する厄介さを知っているはずです。

では、その厄介さの原因は何なのか。

それは、休暇に理由を求めている点にあります。





休暇に理由は要らない。


新しい休暇を作りたくなる気持ちは分ります。しかし、その後の面倒臭さを想像すれば、やめておくべき。

社員からの陳情に応じていると、ドンドンと休暇の種類が増えていく。会社の規模と休暇の種類は比例するのではないかと思えるほどです。

もし、どうしても休暇を作りたいならば、会社独自の有給休暇を作るといいでしょう。有給休暇というと法律で決められた休暇と理解されていますが、会社独自に有給休暇を作っても構いません。

労働基準法39条の有給休暇とは別に、例えば年に5日というように有給休暇を設定し、理由を問わず使えるようにする。結婚でも誕生日でも、資格取得でも、出産の付き添いでも、結婚式や葬式に出席するためでも、さらには単に家で寝ていたいという理由でも有給休暇を使える。

特定の目的に応じて休暇を作ると、先ほど書いたように後から厄介な状況に遭遇する。それを避けるために、会社独自の休暇を有給休暇に集約する。社員の事情に合わせて休暇を設定したいという思いは分りますが、その思いやりが労務管理を無駄に厄介なものにしていることは確かです。

労働基準法の有給休暇と条件を全く同じにしなくても構わないので、年に何日という設定は自由だし、利用期限も当年度内のみで失効するようにしてもいい。

最も簡単な方法は、法律に基づく有給休暇に日数を加算する方法です。例えば、法律で年に10日の有給休暇があるとして、そこに追加で3日を会社独自に上乗せする。その結果、13日分の休暇を利用できるようになるという仕組みです。

時効や運用は労働基準法の規定を流用できるので、独自に条件を設定する必要はなくなります。必要な条件があるとすれば、日数をどうするかという点、後は、法律上の有給休暇と会社独自の有給休暇、どちらを優先して消化するかという点。この2点です。

さらに期待できる効果として、有給休暇の消化が促進されるという点があります。イベントに合わせて休暇を設定せず、有給休暇として一本化するので、何かのイベントが発生するたびに有給休暇が減っていきます。法律上の有給休暇と会社独自の有給休暇が1つにまとまっているので、有給休暇が減りやすくなるわけです。

細々とした休暇を廃止して、上乗せ有給休暇に一本化する。休暇を作りたいと思った時は、まず有給休暇を加算することを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。




山口正博 社会保険労務士事務所
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