学生はもっと図々しくなっていい。新ハラスメント 「おわハラ」。(Thu.20150326)



内定者に就活終えろ 横行懸念

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0322/sgk_150322_3412765257.html


 今年、話題の就活キーワードと言えば、「おわハラ」です。「就活終われハラスメント」の略です。文字通り、就活生に対して企業の人事が「内定を出すから、就活を終わらせて、ウチにしぼれ」と嫌がらせをすることを指します。どのような手口があるのか。なぜ、この問題が起きているのか。何が問題なのか。解説します。

「おわハラ」の手口は、例えば、次のようなパターンがあります。

【他社の辞退を強要する】

「今、受けている企業を全部辞退すれば、この場で内定を出す」

「この場で、受けている企業全部に辞退の連絡を入れなさい」

 など、内定の辞退を強要するパターンです。いまは、電話番号をネットですぐに検索することができるので、「電話番号が分からない」という言い訳も通用しませんからね。

【他社の選考を妨害する】

 他社の選考に行かせないように、毎日のように面接の日程を入れるなどして妨害するパターンです。

【内定辞退をしようとした人を脅す】

 内定辞退をしようと連絡した人に対して、絶対に入社するように脅すパターンです。そして、前述したような、他社の辞退を強要する行動に出るのです。



ハラスメントの元祖はセクシャル・ハラスメントなのでしょうが、2015年の今ではハラスメントのバリエーションも増えました。

パワハラ、モラハラ、マタハラ、スメハラ、アカハラなど、何らかのキッカケを見つけたら、「~ハラ」と言葉を組成すれば人が食いつく。安易な感じですが、それが今の世の中です。

手軽に話題作りができるハラスメント用語ですが、今回は「おわハラ」。初めて「おわハラ」という文字を見た時、なぜか反射的に「クワバタオハラ」を思い浮かべてしまった。両者は何も関連性はないのですが、不思議な感じです。

「浮気しないならば結婚してあげる」おわハラを一言で例えるならば、これでしょう。何社も内定を得て、その中から選ぶ。恋愛だと二股、三股、四股のようなもの。

何度も面接をする企業は確かにありますね。長くても、2次面接、もしくは3次面接。これぐらいで終わるのが普通の感覚ですが、中には5次、6次、7次と面接を繰り返す会社もあります。一体何を話したいのか、何を知りたいのか、私が学生だった頃はワケが分からなかった。

何度も面接しなければ分からないことがあるならばやむを得ないとしても、5回も7回も面接するとなると、動機は何なのかと勘ぐってしまう。他社の選考を受けられないように、毎日のように面接を入れ妨害するところもあるそうな。

妨害までして囲い込みたいならば、早々に内定を出してしまい、他の学生をさらに集めたほうが有意義でしょう。


「就活終われハラスメント」という言葉を用いると、どうしても企業が悪いような印象を持ってしまいますが、採用数にノルマあったり、早く内定数を確定させたいという企業側の都合もある。

一方で、学生は、なるべく多くの企業から内定を得て、安全に就活を進めたい。「ここはキープで、ここはチャレンジ」という感じで、昔懐かしい受験生時代を思い出しながら、安全圏だの挑戦圏だのと企業を分類してより好みする。

企業は学生をキープしておきたい。学生も企業をキープしておきたい(お酒のボトルみたいですね)。もうお互い様な状況です。新卒学生を一括で一時期にドサッと採用すると、このような弊害が発生するのは避けられない。

「通年でずっと採用し続けていれば良いのでは?」と思うのですが、長く続いた慣習はそう簡単にヤメられるものではなく、未だに新卒一括採用は続いています。

採用数が20人ぐらいならば、通年で採用活動ができるのでしょうが、200人とか400人と数が多くなると、1人1人を丁寧に採用するには限界が来て、「メンドクサイから一括で採用しちゃえ」と変わってくる。

規模が大きい会社ほど分業が進んでいますので、個々の人材の能力が高くなくとも業務をこなせますから、人材の質にあまり拘らず一括でドサッと人を採用しても支障が出にくい。そう考えると、規模が大きな会社で新卒を一括採用するのは理にかなっていると言えます。

新卒一括採用を止めよと言う人もいますが、規模が大きな会社では一括採用が合理的なのですね。


内定を辞退されるのは、その企業に魅力がなかったのかもしれないし、内定者の気分で選ばれなかっただけかもしれない。

辞退される数を予め見積もって、ちょっと多めに内定を出すのが一括採用の基本です。例えば、80人を採用するからといって、80人ジャストで内定を出していると、数が減らないように強引に内定者を囲い込むなんてことをしないといけなくなる。

1人ごとに採用するのではなく、一括採用ならばある程度の誤差はやむを得ない。80人を採用するならば、離脱率10%で仮定すると、90人には内定を出しておかないと、80人を確保できないでしょう。

過去の採用データがあるならば、内定を出した数、辞退した数などが分かるでしょうから、ネチネチと学生を囲い込まず、離脱率を織り込んで多めに内定を出してしまう方が学生、採用担当者双方にとってラクです。

「今、他社に連絡して内定を辞退すれば、ここで内定を出す」と言われて、言われるままに1社に絞らされて、そこから内定を取り消されたら学生が困ります。他社の内定を断ったあとに、内定を出すと言っていた企業から内定を見送られたら。学生はどうしたらいいのか。進んでそんなリスクを負えないでしょう。


一括で採用している時点で、すでに人材の質から人材の量へシフトしているのですから、辞退を織り込んで多めに内定を出して人を集めざるを得ない。もし、「いや、人材の質は大事だ」と考えるならば、一括採用をヤメるべきです。


学生も、就活を終えると口では伝えて、そのまま就活を続ければいい。一度出した内定を相手先企業は簡単には取り消せないし、採用に関する内容は個人情報なので、他社の内定状況を調査することもできない。

決めようかどうしようか考え中。行こうか行くまいか考え中。この会社に決めるか、あの会社に決めるか考え中。こうやってノラリクラリと採用担当者の追求を闘牛士のごとくかわす。そのような図太さというか狡猾さを持って就活を進めると良いでしょう。

労働市場は売り手市場になっていますから、あえて売り手である学生の方が譲歩することもない。買い手市場になればポンポンと企業は内定を取り消すのですから、売り手市場のときはその有利な環境をキチンと利用して立ち回るのが賢い学生です。

おわハラという言葉に怖気づかず、図々しく、就活の主導権を学生が握ってコトを進めていけばうまくいくのではないかと思います。


山口正博 社会保険労務士事務所
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