上司は残業を肯定している。これじゃあ残業は減らない。(Fri.20150206)


【DATA WATCHING】上司からみた「残業している人」のイメージは?
http://dime.jp/genre/174911/

@DIME アットダイム|ジャンル|その他|上司からみた「残業している人」のイメージは?@DIME アットダイム|ジャンル|その他|上司からみた「残業している人」のイメージは?  


残業している人に対するイメージがどのようなものかを調べたようですが、結果は概ね予想通りでした。

一言でまとめると、好意的な評価ばかり。残業に関する問題や疑問、不満が増えている状況を鑑みれば、残業に対して否定的なイメージが多くなっていそうですが、実際はそうなっていないようです。

頑張っている、責任感が強い、仕事ができる、期待されている、など残業を肯定的に捉えているイメージが多いです。中には否定的なイメージも含まれていますが、そうではないものが多い。

これでは残業は減らないでしょうね。この調査は、内閣府が実施したもので、ウェブサイトにもPDFファイルでソースが掲載されています。

ワーク・ライフ・バランスに関する 個人・企業調査 報告書(160ページ)
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/wlb_h2511/9_insatsu.pdf

上記のPDFの11ページに今回の結果が掲載されています。

ナンダカンダと言って、みんなで残業を肯定している。そんな風に思えます。


残業が発生すると、何らかの対策を講じるのが自然ですが、対策手段も掲載されています。


対策なし。

これが最も多いようですが、それは当然です。残業を肯定的に捉えている人が多いのですから、「肯定しているものに対策する必要はないだろう」と思うのも無理のないこと。良いものを取り除こうとする人はいませんから、まずは残業がダメなものだと判断できる価値観が前提にないと対策を講じるはずもないでしょう。


声掛け。

具体的にどのような声かけなのかは分かりませんが、「今日はもう終わりでしょ? お疲れさん」という感じの声掛けでしょうか。「早く帰りなよ」、「残業しちゃダメだよ」、このような声かけもありそうですね。

おそらく、この対策は形だけに終わるでしょう。上司は残業に対して肯定的なイメージを持っているので、そういう人が部下の残業を積極的に減らそうとはしません。お互いにナアナアで終わってしまう可能性が高い。


残業禁止日、ノー残業デーの設定。

懐かしい感じですね。「毎週水曜日はノー残業デーです」という貼り紙。10年前か15年前ぐらいに流行りましたね。ノー残業デーだけでなく、ノーマイカーデー、ノースモーキングデー、ノーアルコールデーなど、ノーなんちゃらという言葉が雨後の筍のごとく量産されていました。

これも声掛けと同様に形だけで効果が無かったのではないでしょうか。「ノー残業デー」と書かれた紙を職場の壁に貼って終わり。私もそういう職場にいたことがあるので知っています。


産業医との面談。

ズバリ聞きますが、あなたは産業医に会ったことがありますか?

ちなみに、産業医というのは、労働安全衛生法で、一定以上の労働者がいる事業所で選任する必要がある医師です。

産業医について ~その役割を知ってもらうために~ (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/080123-1a.pdf

あの存在感の薄さは会社で働いている人ならば感じたことがあるはず。「えっ? そんな人がいるの?」、「いるのは知っているけれども、会ったことはないねぇ、、」という人がほとんどでは?

残業は病気じゃないし、怪我でもない。確かに、長時間労働は体に負担をかけますが、医師と面談して残業を削減できるわけではなく、あくまで定期健康診断の延長線上にある面談です。


残業の事前承認

残業を承認制にすることを推奨する人は多いのですが、この仕組みが機能するのは最初の3ヶ月ぐらいです。承認制を始めたばかりの頃は、キチンと申請書を書いて、上司が承認するかどうかを判断し、承認印を申請書にポンと押す。何事も、最初はキチンと取り組むんですね。

しかし、3ヶ月を経過したぐらいになると、上司は申請をチェックするのが面倒になり、提出された申請書には全て承認印を押すようになる。つまり、ザル承認になるというわけです。

残業が必要かどうか。これは残業をしている本人しか判断できない。本人が必要だと言ってしまうと、それで認められてしまう。残業をするのは上司ではなく本人ですから、上司が残業を必要かどうかを判断するのは面倒臭いのです。


勤怠管理で対処。

入退時間を管理して、必要に応じて警告するのでしょうが、これも抜け道があります。

始業時間の前に始業時間を記録して仕事を始める。終業時間をシステムで記録した後、仕事を続ける。つまり、勤務時間として計上されない時間を意図的に作れる場合、入退時間を管理しても残業が減りません。

始業前の就業、終業後の就業。これを防止する仕組みがあれば、システムで残業を減らすこともできるでしょうが、これは想像しているよりも難しいのです。

例えば、多くの会社で使われているタイムカードの場合、始業前の就業や終業後の就業を防ぐ仕掛けはありません。そのため、例えば、10時が始業時間であるのに9時に仕事を始めさせ、10時になったら始業打刻をさせるという不正もできてしまいます。


代替人材を育てておく。

担当がいなくとも他の人が仕事を代替できる体制をつくる方法ですが、これは良い方法です。

仕事のやり方を変えるのが残業対策の正攻法なので、自分以外の人でも同じ仕事ができるようにしておけば、自分が抜けても仕事は停滞しません。

「佐藤さんしかできない仕事なんです」みたいな状況を作ってしまうと、そこがボトルネックになって仕事が止まってしまう。自分で仕事を抱え込むと残業が増える。仕事を他の人に開放すると残業が減る。これは、まさに分業の効用です。



効果を見込める方法は、代替人材の育成、時間外の会議を禁止、短時間で仕事を終えたら評価、この3つです。繰り返しますが、仕事への取り組み方を変えるのが残業対策として正しいので、勤怠管理システムやスローガン、承認制、声掛けではおそらく残業はなくならない。



君はまだ残業しているのか (PHP文庫)

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所