有給休暇の一部を義務で取得する。(Wed.20150204)

企業の有休指定「年5日」義務に…政府方針
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150203-OYT1T50177.html


 政府は今国会に提出予定の労働基準法改正案で、有給休暇の消化を促すため、企業に対して、従業員に取得時期を指定することを義務付ける日数を、年5日とする方針を固めた。

 週内にも開く厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会の分科会に提示する。

 有休は現在、従業員が休みたい時期を指定して請求する仕組みで、消化率低迷の要因となってきた。そのため、政府は有休の一部について、取得時期を指定する責任を企業に負わせ、違反した企業には罰則を設ける。企業が時期を指定する際には、従業員の希望を聞く制度にする。

 厚労省によると、有休を取得できる日数のうち、実際に消化した割合を示す取得率(2013年)は48・8%。政府は20年に70%に引き上げる目標を掲げている。



『取得時期を指定することを義務付ける』と書かれているので、「有給休暇の計画消化と同じものなんじゃないの?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、計画有給休暇と似ている点はありますが、両者には違いがあります。


計画有給休暇との違いは?


計画有給休暇は企業が自主的に基準を決めて運用するもの。さらに、計画有給休暇の仕組みがあるところがあれば、無いところもある。さらに、会社ごとに計画消化の内容に違いがある。

一方、有給休暇の取得時期を義務付けるというのは、企業側の自主性に任せるのではなく、法律によって強制的に、年5日分を最低でも取得するための仕組みです。


年5日分の有給休暇を従業員がスケジュール指定する。これが義務化されるということです。


年に5日分までの制限。


時間単位の有給休暇も計画消化の有給休暇(労働基準法39条5項)も、対象範囲が年に5日分までと制限されています。

3.年次有給休暇の時間単位付与(厚生労働省) PDF
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf

これらと同じ制限が今回の義務化された有給休暇にも適用されています。


本来は、当事者の自主性に任せて利用するのが有給休暇なのですが、自主性に任せていても消化が進まないため、今回のようなやや強引な仕組みを導入したのでしょう。


有給休暇といっても、発生する休暇は年間で最大でも20日(労働基準法39条1項、2項)ですから全て消化しても、業務に支障が出るほどのものではなさそうですが、実際は休暇が残ってしまうようです。

休暇の取得を申請して、時期変更するかどうかを判断して、その後に休暇を取得する。この流れで休暇を使っていると、どうしても休暇を利用しにくい心理的な「壁」のようなものがあります。

例えば、年に20日分の休暇を利用するとして、年の始めに年間スケジュールを出す。これならば、その都度休暇を申請することなく、一括で申請できます。

年に5日と言わずに、全ての有給休暇の年間スケジュールを事前指定するように義務化してもいいぐらいです。


山口正博 社会保険労務士事務所
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