book749(もし、遅刻を許す制度があったら、、、。)

 

残業がOKならば、遅刻もOKでいいじゃないか。


残業には甘く、遅刻には厳しいこの国ですが、もし遅刻が許される仕組みがあったらどうなるでしょうか。

例えば、始業時間から30分までは遅刻してもOKだったとしましょう。もし、10時が始業時間だとすると、10時30分までは遅刻にならない。こういう仕組みがあったら便利でしょうか。それともそんな仕組みは要らないと思うでしょうか。

学生の場合も、授業が9時30分から始まるとして、10時までに教室に入ってくれば遅刻として扱われない。どうでしょうか。これは望ましい仕組みでしょうか。

遅刻を許すという言葉を使うと眉を顰める人も多いかもしれませんが、「残業してもいいならば、遅刻だってまわないじゃないか」このように思う人がいても不思議ではないでしょう。残業も遅刻も、決まった時間を守らないという点では同じですから、片方を認めるならば、もう片方も認めるのが論理的には納得できます。

「遅刻をしても構わないような労務管理なんてできるの?」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、これは可能です。




人間は慣れる生き物。いずれは遅刻にも慣れてしまう。


どうやって遅刻を許す仕組みを作るか。それはフレックスタイム制を使って実現できます。

10時から10時30分までの間に仕事を始めれば良いとするならば、この30分間をフレキシブルタイムとして設定します。そうすれば、10時から10時30分までの間に仕事を始めれば良いので、最大で30分は遅刻できるようになります。

つまり、始業という節目の時間にバッファーを設けるという発想です。


フレックスタイムを使えば、遅刻ができる労務管理を実現できますが、これには欠点があります。それは、「慣れ」です。人には慣れるという習性があり、環境が変化して、ある程度の時間を経ると、変化した環境に順応します。

例えば、上記のように、30分まで遅刻が可能となると、次第にその30分を織り込んでしまって行動するので、始業時間が10時30分であると体が慣れてしまい、今度は10時38分とか、10時51分のように遅れて、遅刻してしまうようになります。つまり、結局は元の木阿弥になる。だから、遅刻を許容するような制度はダメという判断もあり得ます。

10時30分までに出勤すればいいとなると、10時30分が基準になってしまう。その結果、遅刻を許す仕組みではなくなってしまう。効果が減衰するのですね。環境を変えた当初は効果があったけれども、徐々に慣れてしまい、効果が薄れてしまい、変化する前の元の状態と同じになってしまう。


終業時間を守らないという点では、遅刻も残業も同じですが、後者はあまりお咎めがない。中には残業に厳しい会社もありますが、まだ少ない。

日本人は時間にキチンとしているというイメージがありますが、実際は思っているよりも日本は時間にルーズな社会です。遅刻と残業の扱いが違うのもそうですが、始まりの時間はキッチリと決めるくせに、終わりの時間は簡単に変わる。

飲み会の終了時間、授業が終わる時間、仕事が終わる時間、話が終わる時間、買い物が終わる時間など、まさに竜頭蛇尾です。最初はキッチリ、後はダラダラ。


もし、始業時間の時間管理を緩くしたいならば、フレックスタイム制で実施してみればよいでしょう。効果が持続する会社があるかもしれませんし、持続しない会社もあるかもしれない。うまくいくかどうかは、やってみないと分かりません。





山口正博 社会保険労務士事務所
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