学校では教えてくれない労務管理(Thu.20141127)


若年層労働者の7割が「労働上の権利を学校で学びたかった」
http://s.resemom.jp/article/2014/11/20/21538.html

若年層労働者の7割が「労働上の権利を学校で学びたかった」 | リセマム若年層労働者の7割が「労働上の権利を学校で学びたかった」 | リセマム  
 働いていて困った経験がある若年層労働者は約6割に上り、約7割が「働く上での権利・義務を学校教育でもっと学びたかった」と回答していることが、日本労働組合総連合会が11月20日に発表した「学校教育における『労働教育』に関する調査」より明らかになった。

 同調査は、働くことの意義や働く者の権利・義務などについて、若年層が学校教育でどの程度学んでいるかを把握するため、現在就業中の18歳~25歳の男女(アルバイト学生は除く)1,000名を対象に実施した。調査期間は10月3日~8日。

 働いていて困った経験がある人は58%に上る。もっとも多いのは「募集時の労働条件と実際の労働条件が異なった」27.2%、「所定の労働時間が守られなかった(早出や残業を強いられた)」23.7%、「職場の人から嫌がらせを受けた」15.6%、「残業代が支払われなかった」15.1%、「パワー・ハラスメントを受けた」12.7%などが続き、「突然解雇された」という人は4.8%いた。

 働いていて困ったことがある人の36.4%は「何もしなかった」と回答しており、理由は「面倒だった」44.5%、「改善されると思わなかったから」39.8%、「みんなもガマンしていると思ったから」29.4%、「会社に居づらくなると思ったから」27.5%といった「あきらめやガマン」が上位となった。また、「どうすればいいかわからなかったから」20.4%、「誰に相談すればよいかわからなかったから」17.1%といった、「対応の仕方がわからない」というケースも少なくなかった。

 働く上で関わりのあることについて、学校(小学校・中学校・高校・大学・短大・専門学校・大学院)で学んだことがあるか聞いたところ、学んだ割合は、「働くことの意義について」がもっとも高く70.9%、次いで「社会の仕組みと雇用の関係について」65.6%、「職場における男女平等について」62.7%、「税金について」62.0%、「労働者の権利について」58.0%、「労働者の義務について」57.6%となった。調査項目中で学んだ割合がもっとも低かったのは、「職場でのトラブルや不利益な取扱について(内容や相談場所など)」で29.6%にとどまった。

 労働教育に関する意識について、「働く上での権利・義務を学校教育でもっと学びたかった」68.7%、「働くことの意義を学校教育でもっと学びたかった」57.8%と、半数以上の若年層労働者が、学校教育で働く上での権利・義務や働くことの意義をもっと学びたかったと思っていることが明らかになった。



学校で労務管理に関連する内容を学ぶ機会は確かに少ないでしょうね。カリキュラムに組み込まれているものではないし、学校の先生も労務に関することをはあまり知らないはず。

学校の教科というと、国語、数学(算数)、英語、理科、社会、この5つがベースとなっていて、そこに選択科目やコース科目が加わる。オプションとして労務管理を学ぶ機会がありそうだけれども、実際は選択科目にもコースのメニューにも労務系の科目は無い。

中には「道徳の時間に教えたらいいんじゃないか?」と思う人もいるかもしれないが、学校の道徳時間は、私の経験では、学校から生徒への連絡事項を伝えたり、運動会や文化祭の打ち合わせ、席替えなど、道徳に使われる時間というよりも、雑事に使われていた。

そのため、労働上の権利や義務について学校で学びたいといっても、現実には困難です。


学校の先生は労務管理についてあまり知らないし、授業でも採り上げない。職場の人が学生に教えてくれるかというと、学生のバイトには労務に関連する内容を教えることはほとんない。せいぜい、何曜日に出勤できるか、給与がいくらか、休みの日はいつか。この程度のことをサラッと教える程度です。

私が学生の頃は、何曜日の何時から何時まで働けるか。休みはこの日に。労務管理に関することというとこの程度で、就業規則を渡されたことはないし、見せられたこともない。手元にないので内容は知らないし、説明されたこともない。有給休暇も学生の頃は使ったことがなかった(有給休暇についても教えてもらえない)。

自分の経験を通して感じたのは、学生はナメられているんじゃないかという点。学生のバイトと他の人は違うというイメージがあるのか、通常の社員についてはチャンと扱わないといけないけれども、学生ならば雑に扱っていいという雰囲気が伝わってくる職場が多かったですね。

労働基準法も労災保険も、学生であっても他の社員と同じように扱われるのですけれども、なぜか「学生の扱いはテキトーでいい」みたいなイメージというか思い込みのようなものが蔓延していました。


親は学生の子供に労務について教えられるかというと、こちらもそれについては知らないはず。

「じゃあ、誰が教えてくれるの?」と思ってしまう。


先生は教えられない、学校でも教えてもらえない、親もムリ。じゃあ、本でも読んで学ぶかというと、それも難しいでしょう。

中学生や高校生が労働基準法や労災、健康保険や年金などに関連する本を自発的に読むのかというと、まず読まない。スマホでゲームをしている方が楽しいし、LINEで友人と他愛のないメッセージを送り合っている方が楽しい。学生はそんなものです。


となると、学生が労務管理について学ぶ機会は無い。学校はダメ、親もダメ、自分でも学ばない。この状況で、いかにして労務に関する内容を学生が理解するか。なかなかの難問です。


社労士業界では、学校向けの「出前授業」というものがあって、学校に社労士が行って、労務関連の権利や義務、公的保険のことなどを教える取り組みがあります。


	学校教育への協力|全国社会保険労務士会連合会
学校教育への協力|全国社会保険労務士会連合会



上記ウェブサイトに、PDFファイルで『働くときの基礎知識』という冊子があり、これはダウンロードして自由に読めます。


目次:

はじめに
1.会社で働くということ
2.いろいろある働き方
3.給与明細をよく見てみよう
4.入社の前に確認しておこう
5.会社を休みたいとき
6.職場でトラブルがあったとき
7.病気やけがで病院に行ったとき
8.職場や通勤中にけがをしたとき
9.失業したり退職したりしたとき
10.年をとったときの生活は?
11.困ったときの相談先社会保険労務士(社労士)とは


『働くときの基礎知識』


ただ、学校の授業として実施すると、時間に制約があり、概説のようなものになりがちで、話を聞いても、ボンヤリと「良かったです」という感想ぐらいしか出てこないんじゃないかとも思えます。学校で授業としてやると、やらされている、強制感があるので、どうしても興味をもって接しにくい。

2014年現在の学生ならば、スマホがあるし、PCの価格も10年前、20年前と比べて比較にならないほどリーズナブルになりましたから、通信機器を手に入れるのは簡単です。上記のPDFも、ファイルサイズが大きいですが、スマホでも読めますので、仕事に関連する権利や義務を知りたいならば読んでみると良いでしょう。

学校で学ぶことにこだわらず、自発的に知識を得られる仕組みがあれば、それがベストです。

 


労務管理について知っている学生が増えれば、企業への牽制になります。学生のブラックバイトが話題になっていますが、もちろん企業側がキチンと労務管理していないのが主な原因でしょうが、学生自身が無知であることに付け込まれているのも一因です。




山口正博 社会保険労務士事務所
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