book743(法定労働時間はあったほうがいい? 無い方がいい?)

 

何時間働くかを事前に決めるべきか。


1日の勤務時間は8時間まで。1週間の勤務時間はは40時間まで。これは労働基準法で制限されている労働時間です。この制限を超えて働くと法律違反になり、36協定を締結して割増賃金を支払うと違法状態を回避できる。これが労務管理でのルールです。

では、この1日8時間、1週40時間という制限、あった方が良いか、それとも無い方が良いか。

法定労働時間による制限があった方がいいと考える人は、長時間、中身の薄い仕事をダラダラと続けないようにする効果があるので、法律で勤務時間に制限を設けるべきと考える。一方、制限が無い方がいいと考える人は、働く時間は本人や会社が決めればよく、仕事の内容によっても時間の使い方が違うのだから、一律に勤務時間に上限を設けるべきではないと考える。

限られた時間で仕事を終えることを重視すれば、前者の判断が妥当です。しかし、働く人の自主性や仕事の中身の違いを重視すれば、後者の方が妥当に思える。


法定労働時間による制限を設けるべきか否か。あなたならばどちらの立場を選択しますか。




期限の無い仕事、お好きですか?


労働基準法で決まっている法定労働時間を一種の制限時間と考えてみてはどうでしょうか。

メールを返信するまでの制限時間。
食べ放題で食事を終えるまでの制限時間。
中間テストでの制限時間。
入試の制限時間。
料理を完成するまでの制限時間。
迷路を脱出するまでの制限時間。

私達の身の回りには色々な制限時間がありますが、法定労働時間を仕事の制限時間と考えれば、それほど悪いものでもなさそうです。

仕事には色々と制限時間があるはず。「このプロジェクトは来月がリミットだ」、「今週中にプロトタイプを完成させないと注文をキャンセルされるぞ」、「メールを受け取ったら24時間以内に返信せよ」などなど、探せばもっと例を見つけられるでしょう。

時間に制限を設けて何かに取り組む。これは普段からよくあることですし、不思議なことでもなければ、ヘンなことでもない。しかし、労働基準法で法定労働時間を設定すると、「そんな制限は要らない」と言う人がいる。

ならば、法定労働時間で仕事の時間に制限を課すことに反対している人は普段から仕事に期限を設けていないのかというと、そうでもないはず。「このプロジェクトの期限? いつでもいいよ」、「メールを受け取った後は、返信はいつでもいいよ。1か月後でもOKさ」などと言う人はあまりいないのでは。


普段の仕事ではキッチリと期限を設定するが、仕事の時間は1日8時間までと期限を設けられると、それに反対する。不思議なものですね。

もちろん、時間に拘束されない方が望ましい仕事もありますから、そのような仕事では確かに制限時間を設けられるのは不都合です。しかし、どんな人間にも時間に限りがありますから、何かに取り組む際には制限時間があったほうが自分の時間を有効に使えるのではないでしょうか。



山口正博 社会保険労務士事務所
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