シフト制勤務が脳に影響を与えるのではなく、怠惰な生活が原因(Wed.20141105)

シフト制勤務、脳機能の低下と関連か 写真1枚 国際ニュース:AFPBB Newsシフト制勤務、脳機能の低下と関連か 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News  

シフト制勤務を10年以上続けている人は、脳の記憶力や認知力が低下する可能性があるとする研究結果が、4日に英医学誌「Occupational and Environmental Medicine(職業・環境医学)」で発表された。低下した脳機能は回復可能だが、それには少なくとも5年かかる可能性があるという。

 体内時計を混乱させるシフト制勤務については、これまでにも潰瘍や循環器疾患、一部のがんと関連が指摘されている。しかし、シフト制勤務が脳に与える可能性がある影響についてはあまり知られてこなかった。

 研究チームはフランス南部で1996年、2001年、06年の3回にわたり、さまざまな職業分野の現役労働者、退職者合わせて3000人以上の長期記憶、短期記憶、処理速度、認知能力全般について検査した。被験者は初回検査時の年齢が32歳、42歳、52歳、62歳のいずれかで、うち半数の勤務形態は、夜勤、あるいは朝昼晩を順次交代するシフト制勤務だった。

 シフト制勤務のグループとそうでないグループの検査結果の経年変化を比較したところ、シフト制勤務と「慢性的な認知機能障害」に関連性が認められた。この関連性は、シフト制勤務が10年間を超える場合により強く、加齢による衰えの6.5年分が追加された状態に相当するという。

 またデータでは「シフト制勤務を止めた後に認知機能が回復するには少なくとも5年かかる」ことが示された。

 論文の執筆者たちによれば、認知力低下の原因がシフト制勤務であることは「非常に妥当性がある」ものの、今回の研究では完全に証明できず、さらなる研究が待たれる。




何だか随分と眉唾の発表です。

医学誌で発表されたとなると、さも権威があって、信用できるように感じてしまうが、シフト制勤務と脳機能の低下を結びつけるのはちょっと無理があるんじゃないか。

シフト制勤務というと、パートタイムで働いている人が対象であるかのように思えるが、他の勤務形態、派遣や契約、フルタイムも、時間ベースで働いている人は全員がシフト制勤務に含まれる。となると、ほとんどの人が普段から脳機能を低下させるようなことをしていると考えなければいけない。

「シフト制勤務 = 時間を区切って行動すること」と定義を広げれば、To Doリストでタスクを処理している人、カレンダーで日時を管理している人、システム手帳でスケジュールを管理しているデキるビジネスマンまで、みんな脳に対してダメなことをしていることになるのではないか。

『体内時計を混乱させるシフト制勤務』と書かれているが、一般的なイメージでは、「シフト制勤務で働くと、規則正しい活動ができるので、混乱よりむしろ体内時計が整うんじゃないの?」と思われている。

調査のためのサンプリングも、あえて精神的、肉体的にくたびれた人を選び出し、調査者が望むような結果が出るようにしている可能性もあります。働いている本人の裁量性を発揮しにくい仕事、例えば事務作業のルーティンワークを延々と続けている人、工場でライン作業を長時間にわたって延々と続けている人、こういった人をあえて選び出し、シフト制勤務は脳に悪影響を与えると結論を出しているのかもしれない。

もちろん、上記のように邪推するのも良くないのですが、研究や統計、調査の結果というのは、結果を求める人にとって都合の良いように捻じ曲げられる可能性もあるので、結果に対する疑いの気持ちを持っておくべきです。


おそらく、シフト制勤務が原因なのではなく、惰性的に生きていることが主な原因だと私は思います。

自発的に、これをやる、ここに行く、このように作業を進める、というように自主性を発揮して生活していれば、おそらく脳機能の低下は起こらない。

しかし、他人が決めたスケジュールをこなす、他人が決めた方法で作業を進める、自分で食べたいものを決めない、休みの日は家で寝転がってテレビを観ているだけ、そういう生活をしている人は、シフト制勤務であろうとなかろうと脳機能は低下する。


馬鹿げたことをマジメに研究するのも研究者の仕事ですし、面白いとは思います。ただ、馬鹿げたことを馬鹿げたことだと理解できない情報の受け手もいるものですから、この手の発表は厄介な面があります。



山口正博 社会保険労務士事務所
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