book741(とりあえず応募してくる人をいかに排除するか。秋山鉄工の工夫。)

気軽に入社した人は、気軽に辞める。


人材を募集するときは、あの手この手で来てもらうために、採用のハードルを下げがちです。年齢不問、学歴不問、資格不要、未経験歓迎など、だれにでも応募できるようにしておけば、人が集まりやすいだろう。そう思うのが普通の感覚です。

新卒採用の枠を設定すると、闇雲にエントリーしてくる学生もいて、別にその会社でその仕事をしたいわけじゃないけれども、他にやることが無いのでとりあえずエントリーする。そういう学生がワンサカと集まると、書類選考だけでも負担で、まして面接までやるとなると、さらに負担が増します。

来る者拒まずで人材を募集すると、上記のような「とりあえず学生」に悩まされます。


一方で、あえて応募のハードルを上げて、それでもやってくる人を採用する。そのような会社もあります。

例えば、ライフネット生命(http://www.lifenet-seimei.co.jp/)は、応募してきた人に小論文の課題を出し、その課題を提出することを条件にしています。会社にエントリーするときは、エントリーシートを作成し、適性試験を受ける程度で足りるところが多いのですが、あえてメンドクサイ課題を課すことで、「とりあえずエントリーしておこう」という学生を排除しています。


他には、ドワンゴが就活の際に受験料を設定した例もあります。大学受験の料金のように数万円も必要ではなく、数千円程度ですが、これもとりあえず感覚の学生を排除するには有効です。

book643(就活には受験料が必要です。)



受験料は、全ての応募者に課したものではなく、関東圏の人に限定していたようで、なかなか細かい配慮があった仕組みでした。

数千円程度であっても、「オカネがかかるのかぁ、、じゃあヤメておくか」と判断した学生もそれなりにいたでしょうから、採用のための作業を減らすにはそれなりに効果があったのではないでしょうか。

面白い工夫だと思っていたのですが、しばらくして東京労働局が介入してきたため、ドワンゴはこの施策をやめてしまったのですが、いかにして本気の学生とそうではない学生をふるい分けるか。これは企業にとっても考えどころです。


2014年10月29日にYahoo!ニュースで突如として紹介された会社があります。秋山鉄工という会社で、その会社のウェブサイトを見ると、色々と物議を醸す内容が鏤められています。

 「入社後1年間は授業料をいただきます」は釣り? それともガチ!? 採用ページが話題の秋山鉄工、社長に真意を聞いてみた - ねとらぼ 「入社後1年間は授業料をいただきます」は釣り? それともガチ!? 採用ページが話題の秋山鉄工、社長に真意を聞いてみた - ねとらぼ  



非特定 営利活動法人
鶴御菓子 マッチオコシ
迷菓 鶴御菓子
コレはクイモンではないクワセモンだ
さんけい 3K 新聞

などなど、他にも気になる部分が多々あります。興味のある方は、実際にウェブサイトにアクセスして内容を見てください。

秋山鉄工株式会社秋山鉄工株式会社  



余談ですが、この会社のウェブサイトはtumblr(https://www.tumblr.com/)で構築されているようです(URLにもtumblr.comが含まれている)。HTMLのソースコードを見ると、tumblrのjsファイルやcssファイルを読み込んでいます。

tumblrで企業のウェブサイトを作れるんですね。独自ドメインを使え、広告も入らないし、サーバーも用意する必要がない。知名度の高いサービスですから、相応の設備を備えているでしょうから、アクセスが集中しても、おそらくダウンしにくいはず。Yahoo!ニュースで紹介されても、そこから来た大量のアクセスに耐えたのではないかと思います。

2014年10月29日にYahoo!ニュースで紹介されたので、おそらく29日のアクセス数は相当なものだったのではないでしょうか。

ドメインを取得して、レンタルサーバーを契約して、HTMLやCSSを自分で書いて、FTPソフトでサーバーにアップするのはもう過去のものなのかもしれません。2014年現在では、自社サイトをtumblrで作るのは良いアイデアかもしれません。

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他者(or 他社)とは違うから目立つ。


1年目は授業料をいただきます、という部分は冗談で書かれているようです。働くとさもオカネを払わないといけないように思えますが、これはアクセスしてきた人を引き止めるための仕掛けです。

2年目は授業料免除なので、すわ「無賃労働か?」と反応するところですが、これも冗談。

こういう冗談に対して、「労働基準法違反だ!」と反応してはいけません。「ふふっ」と笑って受け取るぐらいの解釈力は必要です。


『入社お断り三条』は冗談ではなく本当のようです。これも低賃金労働を強要する会社のように思えますが、実は製造系の会社の給与は結構良いのです。製造業というと、低収入でキツイ仕事だというイメージを抱いている人もいるかもしれませんが、へたなサービス業よりは高収入なんです。

秋山鉄工のウェブサイトを読んでいると、どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか分からなくなってきますが、「人材を募集しているので、とりあえず応募しておこう」という人を排除するための工夫なのでしょう。

ネットのニュースで採り上げられ、ウェブサイトの「談話室はコチラ」のページが荒れているのですが、冗談を冗談だと理解できない人がネガティブな投稿をしているのではないかと想像します。


乱れ打ちのごとくアチラコチラの会社に応募する人は会社にとって悩みのタネのはず。ライフネット生命やドワンゴ、秋山鉄工に限らず、他の会社でも同じような悩みがあるはずです。


とりあえず感覚で応募してこないようにする。人材採用では、いかに人を集めるかが重要ですが、同時に、いかに人を集めないかもまた重要です。


冗談で書かれている部分にマジメに反応している人もいるようですが、ウェブサイトに書いてあることが正しいとは限りません。あえて冗談で書いて、アクセスしてきた人が「ん? なんじゃこりゃ」と思わせて、自社のウェブサイトを読ませるのが狙い。

Yahoo!ニュースはもちろん、twitterやfacebookでもずいぶんと拡散されたようなので、サイトの製作者(社長のようです)はしめしめと思っているはず。

社長でも更新できるのですから、やはりtumblrで自社サイトを作るのは良い選択肢なのかもしれません。


個人的な感覚ですが、冗談を冗談だと理解できない人が増えたように感じます。twitterで共有されたデマを本当の情報だと信じたり、ウェブサイトに書かれている内容に対し、字面だけを読んでしまう人など、情報を受け取った後、自分なりに考えて判断できない人がネット上には結構な数でいるように思います。


無難なことをしていても人は集まらないし、商売もジリ貧になります。他とは違うことをやると、ナンダカンダと突っ込まれますが、そうでもしないと評価されませんからね今の時代は。

いかに目立つか。いかに他と違うことをするか。いかに他の人と違うことを言うか。他者との違いがウリになる。それを理解しているから、あのようなウェブサイトを作るのでしょうね。


気のせいかもしれませんが、秋山鉄工の社長は神田昌典さんの本を読んだりやセミナーを受けた経験があるんじゃないでしょうか。何となく、神田昌典さん的な雰囲気を感じるのですが、私の気のせいでしょうか。






山口正博 社会保険労務士事務所
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