正社員と派遣社員はトレードオフではない。(Mon.20141020)

労働者派遣法改正案、成立危うく…思わぬ「敵」 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)労働者派遣法改正案、成立危うく…思わぬ「敵」 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)  



派遣社員が増えると正社員が減る。派遣社員が減れば正社員が増える。片方を増やせば、もう片方が減るという論法は今に始まったことではなく、ずっと続いてきた。

現実は、派遣社員を減らせばフルタイムの社員が増えるとは限らないし、派遣社員が増えたからといってフルタイムの社員が減るとも限らない。つまり、正社員の雇用と派遣社員の雇用が関連していると思いがちだけれども、実際に両者はそれほど関連しているのかどうかは不明。

上記の話は、雇用量が一定という前提が必要になる。つまり、正社員の雇用が7で派遣社員の雇用が3である場合に、派遣社員の割合を6に変えれば正社員の割合が4になるという理屈になる。

確かに、雇用の絶対量が増えなければ上記のように正社員と派遣社員のポートフォリオが組み変わるが、雇用量が増えれば、どちらかを増やせば、もう片方が減るという形にはならない。


派遣社員が増えなければ正社員の雇用を守れるというのが今回の労働者派遣法改正への反対の理由らしいが、派遣社員が減れば、その人達の仕事がフルタイムの社員に回ってくるとは考えないのだろうか。今までは分担して仕事をしていたものが、派遣社員がいなくなり、その人達の仕事がフルタイム社員にドサッと回ってきたら、これはこれで厄介だろう。

一方の派遣社員は、派遣で仕事ができていたのに、派遣に対する規制が強まると、失業してしまう。

派遣社員を0にすれば、正社員が10になると思っていたとしても、現実はそうならない。派遣社員が0になれば、正社員は10ではなく7のままで、欠けた3の部分はそのまま既存の社員が背負うことになる。

もし、雇用を増やす立場に立つならば、派遣社員が増えることに賛成するはず。正社員という選択肢だけでなく、契約社員、派遣社員、パートタイム、請負、クラウドソーシングなど、選択肢を増やすほど生きやすい世の中になる。

「民主党=労働者の味方」と思う人もいるかもしれないが、民主党がこの改正に反対しており、実際は労働者の味方ではないと分かる。




山口正博 社会保険労務士事務所
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