小売店や飲食店では現金商売が主で、クレジットカードや電子マネーに対応している店もあるものの、現金で決済する人が多い。そのため、レジで現金の授受があり、何らかのミスや手違い、不正により、違算金が発生するときがある。
私は小売店でも飲食店でも働いた経験があり、レジの操作も頻繁に行っていたが、数ヶ月に1回ぐらいは違算が発生していたように記憶している。手作業でレジ業務を行っているのだから、人間のやることなので、違算が発生するのはやむを得ないのですが、それを自腹で補填させていた会社はありませんでしたね。
違算といっても、必ずしもマイナスばかりではなく、時にはプラスの違算も発生し、渡すお釣りが少なかったのか、釣り銭の引き上げミスか、現金チェックを単にミスしただけなのか。色々と原因はありますが、「違算=マイナス違算」とは限らない。
随分と昔のことですが、ラーメンチェーン店で働いていたとき、確か5円だったか、マイナスの違算が発生しました。その店では、開店時に釣り専用のお金をレジに入れ、お昼過ぎの14時頃に、レジの現金チェックを行い、開店時の釣り銭を取り出す手順になっていました。14時になればお金がレジに溜まってきて、開店時の釣り銭を取り出しても業務に支障が出なくなるため、昼過ぎには釣り銭を取り出します。この点は他の飲食店でも似たようなオペレーションのはず。
14時頃の現金チェックで、マイナスの違算が発生し、5円だったので、店のスタッフの人が自分のサイフから5円を取り出し、レジに入れました。この時点でマイナス違算の5円が解消するのですが、これをやってはダメなんですね。
「違算が解消し、プラスマイナスゼロになるからいいんじゃないか?」と思うところですが、違算を個人のお金で解消することを認めると、不正行為の温床になります。
5円の金額だと大したことはないと思えますが、これが5万円だったらどうか。例えば、月曜日にレジから5万円を抜き出し、そのお金を何かの用途に使い、金曜日にコッソリと5万円をレジに返しておく。この場合も、1週間という期間では、現金のプラスマイナスはゼロですから、違算は無いかのように思えます。しかし、これは業務上横領です。
オレは多い一万円を抜いて店長机に置いて書き置き
これは何だか不安な部分。業務の引き継ぎとしてはキチンとしているかのように思えますが、レジのお金が1万円多いからといって、レジから抜き出して、店長机に置いておくと、誰かがスッと持っていく可能性がある。書き置きしていたということは、その時間には店長は店にいなかったのですから、その1万円が無くなる可能性があったのではないか。
レジ内のお金がプラスであろうと、わざわざプラスになったお金を抜き出して、おそらく誰でも出入りできるであろうと思われる部屋の店長机にそれを置いておくのは、問題をより複雑にする行為のように思えます。
結果として、マイナス1万円の違算だったようですが、場合によっては、店長の机に置いた1万円も無くなって、マイナス2万円の違算にもなりえた状況です。
違算金を発生しないようにするために、新しいレジでは、先にお金を機械に投入し、機械が自動で釣り銭を計算したあと、必要な釣り銭を自動で出すようなものもあります。例えば、6,288円の買い物をして、お客さんが10,000円を出した場合、まず10,000円をレジの紙幣挿入口から入れ、レジが計算を行い、お釣りの3,712円を紙幣出口と貨幣出口から出す。これならば、違算が発生する確率は低くなります。
レジの違算金を個人で補填させてしまうと、レジの中に個人的なお金が入り込むことになり、自分が店に取られたお金を後日取り返すために、かえって不正や違算、場合によってはレジ以外の不正が増えるとも思えます。自分に原因がない違算であるのに、自腹で補填させられると、本人は納得出来ないでしょうから、何か別の形(自腹で負担したお金に相当する商品を盗むなど)で会社に反撃し、違算金以上の損害が会社に発生するかもしれません。