book733(『ブラック企業』という攻撃手段を得た働くヒトたち。)




新しい攻撃手段。


ブラック企業大賞という企画まで登場したほど有名になったブラック企業という言葉。2012年から企画が始まり、2014年もこの企画は続いています。

ブラック企業大賞
http://blackcorpaward.blogspot.jp/

ブラック企業大賞 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%A4%A7%E8%B3%9E

2009年か2010年頃からジワジワとブラック企業という言葉がネットでは登場し始め、2014年の現在では、もう定着した言葉になっている感があります。

とはいえ、新聞やテレビでは、企業が広告主であるためか、めったにブラック企業という言葉は登場しません。一方、ネットでは、3日に1度ぐらいならば見るのではないかと思えるほどブラック企業という言葉が出てきます。

ワタミ株式会社では、2014年3月期に上場来初めて赤字になり、その原因としてブラック企業という風評が影響したと説明されていたのが印象的でした。しかし、テレビや新聞ではブラック企業という言葉はほとんど見聞きしませんし、ブラック企業という風評がどれほど商売に影響するのかは定かではありません。経営者が自分に対する責任を転嫁するためにブラック企業という風評を利用したとも考えられますから、風評の影響がどれほどのものなのかはハッキリと分からないのが実際のところです。

とはいえ、ブラック企業と評価されると、社員が減ったり、お客さんが減ったりと、何らかの影響が出るというならば、働く人にとっては、ブラック企業という評価をすることで、企業に対する一種の攻撃をしているのではないかと思えます。





働く人が持つ「3つの武器」。


働く人が企業を攻撃するというとピンと来ないかもしれませんが、「攻撃」ではなく交渉と言い換えれば分かりやすいでしょうか。

社員が会社と交渉する際の代表的な手段は、

1,労働組合。
2,法律(労働基準監督署や各種専門家の利用も含む)。

この2つが良く知られているのですが、そこにブラック企業という評価が加わり、

3,会社をブラック企業と評価する。

この3つが働く人の主な交渉手段になったのではないでしょうか。


企業に対するブラック企業という評価は、ルサンチマンに基づいた攻撃手段という感は否めないものの、法律を使って個人で交渉しにくい人、労働組合を頼りにできない人の場合、3つ目の選択種であるブラック企業という評価を使えます。

労務管理で何らかの不備や法律違反の部分が見つかれば、そこをきっかけにしてブラックだと評価できるので、法律や労働組合を使うよりも簡単かつ手軽に企業を攻撃できます。

ただ、ブラック企業という言葉は主にネットで使われるものであり、ネットでは匿名のユーザーが多数です。その環境で、基準や定義が曖昧なブラック企業という言葉を使い、匿名で企業を攻撃するのは、私はあまり好きな方法だと思いません。

とはいえ、「何か反抗する手段はないか」と考えた場合、労働組合や法律を使って交渉するよりも、ネット経由でブラック企業だと騒いだほうが本人には負担が少なく、気は楽でしょう。


不適切な労務管理をしている企業に最もダメージを与える方法は、ブラックだブラックだと言うことではなく、そういう企業から離れることです。働く人がいなくなった企業は商売できなくなり、自ずと市場から排除されますから、ブラック企業を根絶するには「辞める」のが一番の方法だと思います。





山口正博 社会保険労務士事務所
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