女性限定の補助金だって? 差別だ。法の下の平等に反する。(Tue.20140812)

政府が女性限定の補助金創設の方針 これは「法の下の平等」に反しないのか
http://www.j-cast.com/2014/08/08212648.html


  2014年8月5日、男女共同参画推進本部の会合が開かれ、指針が決定した。15年度に女性限定の補助金を創設することに加え、政府が資材などを調達する際に女性の登用に積極的な企業を優遇する、という。政府は2020年までに女性管理職を30%に増やすことを目標するなど、成長戦略のひとつとして女性の活用推進を掲げてきたので、その一環の取り組みとされている。
 
   ただし、性別を限定した補助金は憲法14条の「法の下の平等」に反するのでは、と従来から懸念されていた。今回の政府の指針にネットでは、

「マジでそういうのは逆差別につながるから必要ない」
「女だけ金が貰えるのか。いいな。いっそ憲法なんて破棄しちまえよ」
「これって憲法違反で訴えれば確実に違憲判決出るのでは?」

といった不満の声がたくさん出ている。

   では、政府の今回の取り組みが憲法上で問題になるのか。フラクタル法律事務所の田村勇人弁護士は、憲法14条の平等原則違反にいて最高裁判例は「合理的な区別か不合理な差別か」という基準で判断すると説明する。

   「何が合理的かについて、法律の規定方法や、影響、規制目的と手段との関連性」などがあり、仮に全業種について一律に補助金制度が創設されるとしたら、問題があると見る。

「(1)男女間の性差によってどのような職業を選択しても、同じ能力の男女間で雇用機会に差が生じる結果になり、生まれによる区別となりますし、(2)女性の進出が進んでいる業種も遅れている業種をひとまとめに全ての職業について女性を優遇すれば、そもそもの法律の目的である女性の社会進出の促進の観点を超えた影響を及ぼすので、『不合理な差別』となり違憲の疑いがあります」

   ただし、「女性の社会進出が著しく遅れている分野」に限るという報道もあり、「今後男女間の平等にも配慮した制度設計がなされれば合理的な区別とされることになるのでしょう」と述べている。
  


女性限定の施策を予定していることに対し、差別や法の下の平等に反するとの指摘がありますが、2014年8月時点では具体的な内容が不明なので、評価するには時期尚早です。

女性限定の補助金。
官公需系の商売を営む企業が女性を積極的に登用している場合に優遇。
女性管理職を30%に。

分かっているのは上記3点のみであって、補助金の条件や給付内容は分かりませんし、どのような企業が優遇対象になるのかも分かりません。

女性のための施策を実施するとなると、必ずと言っていいほど差別や法の下の平等について指摘する人がいます。確かに、女性に限った施策となると、男性は対象外になるので、男性の立場からすれば反発したくなります。しかし、女性向けの施策は2014年8月時点でもたくさんあります。

例えば、労働基準法の産前産後休暇は女性限定です。また、育児休暇を取得しやすいのも女性です。電車でも、女性専用車両があるのに男性専用車両はありません。年金も、女性と男性では扱いが異なり、女性には給付が厚く、男性が年金を受給する場合には条件が厳しかったりします。商業施設のトイレも、女性トイレは豪華ですが、男性トイレは質素です。映画料金でも、レディースデー1,000円はありますが、メンズデー1,000円はほとんどありません。

探せば他にも女性に限定した施策は多々あり、今回の政府の施策に限ったことではありません。


女性に何らかの優遇施策を実施するのは、アファーマティブ・アクションと呼ばれ、女性に対する不利な環境を取り除くように随分と昔から取り組まれてきたことです。


女性限定の補助金ならば、保育サービスやベビーシッターを利用する際の費用補助、母子家庭への補助の増額、労働基準法の産前産後休暇中の給付金などが考えられます。

官公需系の商売だと、女性社員が多い企業、女性の管理職が多い企業、他には育児休暇の取得実績がある企業を対象に、優先的に公共事業を発注したり資材を購入することで、女性を積極的に企業内に受け入れさせるインセンティブを与えることが考えられます。


女性に限定した施策だからといって、逆差別や法の下の平等に反すると反射的に反応せず、その内容が分かるまで評価を待つのが賢明です。


もし、女性向けの補助金によって女性の可処分所得が増えれば、女性が結婚している場合、ダンナのお小遣いを増やしてもらえるという間接的な効果も期待できます。現実はそこまで簡単ではないかもしれませんが、女性への便益が間接的に男性に波及する可能性を考えれば、男性にとっても悪い施策とは限らないでしょう。




山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所