労働時間の長さに騙されてはダメ。(Fri.20140725)


過労死防止法は基本理念を示しただけ ブラック企業への規制などは盛り込まれず
http://www.j-cast.com/2014/07/24211086.html?p=all



30代の男性のうち、18.2%が週60時間以上働いている

   では何が一番の問題か。それは、なんといっても、過労死の温床である長時間労働への対処だ。総務省の労働力調査(2012年)では、30代の男性のうち、18.2%が週60時間以上働いているとの結果が出た。1日の時間外は4時間ということになる。厚労省は「過労死ライン」を定めていて、脳や心臓疾患の発症前1カ月間の残業が100時間、発症前2~6カ月間で月当たり80時間超を危険なラインとしている。総務省の調査結果は、この過労死ラインに達しかねない人が全体の2割近いという実態を示している。ここに切り込めるかが、過労死防止のカギを握っている。
  
   これは、「柔軟な働き方」(安倍晋三首相)という労働規制緩和の流れとぶつかる可能性がある。例えば、パソコンやスマートフォンの普及に伴い、時間や場所にかかわりなく仕事ができるようになったことで、フレックスタイムや在宅勤務がひろがるが、これでかえって四六時中、仕事に追われることにもなりかねない。さらに、一定の年収以上の社員限定とはいえ、労働時間ではなく成果で働きを評価するとして残業代を払わない「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入も決まった。
  
   現行の労働基準法では、労使が協定を結べば、週40時間労働を越えて、残業時間を延ばせる仕組みになっている。この見直しも視野に、時短に向けた具体策を「大綱」に書きこむことが、過労死防止法の最初の試金石になりそうだ。



長時間労働が過労死の原因になる。このように言われて、「それは違う」と言える人は少ない。長い時間にわたって仕事をすると、疲れて、健康を害する。その結果、うつ病を発症したり自殺する人がでてくる。

確かに、長時間の労働は過労死の原因になるかもしれない。しかし、長時間労働について話されるとき、その仕事の中身について一緒に話されることはあまりない。


例えば、週に60時間の仕事をしている人がいたとして、この人は長時間労働なのかどうか。

1週間の法定労働時間は40時間までだから、60時間の労働時間ということは、週に20時間の残業があり、1日あたりだと4時間ということになる(週休2日を前提に)。1日の労働時間である8時間に残業時間を加算すると、1日12時間程度の勤務時間になるはず。

では、上記のように働いている人は長時間労働だろうか。


労働時間だけで判断すると、1日あたりで12時間も働いているのだから、長時間労働だと判断しがち。実際に自分が12時間も仕事をするとイメージすれば、確かにシンドイだろうなと想像できるはず。

しかし、12時間ミッチリと仕事をしていたかというと、実際は違っていることが多いのではないか。

休憩時間を除いて、仕事の時間は仕事以外のことをせず、集中力もずっと維持して、作業の効率も高い状態をキープしていた。そのような人はどれぐらいいるのだろうか。

一息つくまもなく、小休止することもなく、喫煙所で一服することもなく、同僚や上司と軽い談笑をすることもなく、コーヒーブレイクもなく、仕事に関係しない余計なことを一切せずに仕事を黙々とこなしている人はどれぐらいいるのか。

例えば、工場での作業のように、1時間あたりの生産量がハッキリと分かる仕事ならば黙々と仕事をすることもあるはず。しかし、サービス業の仕事だと、仕事に集中しようと思えば集中できるし、サボろうとすればサボれてしまう。

長時間労働が問題になっているのは主にサービス業で、第一次産業、第二次産業では目立った問題にはなっていない。



休む間もなく仕事に取り組んでいるならば、確かに大変でしょう。しかし、同僚と談笑したり、世間話をしたり、仕事時間中に友人からのLINEメッセージをチェックして返信したり、facebookやtwitterで更新情報を見てみたり、トイレの洗面台の近くで株価や為替の状況をスマホでチェックしたりと、様々な理由で仕事から離脱している人もいるのではないでしょうか。

職場のPCを使うと、会社によっては通信状況を監視されてしまいますが、自分のスマホならば人に通信内容を見られる可能性は低いので、サボるにはうってつけの道具です。

労働時間の長さに気持ちが向いていると、上記のような事情を見過ごすかもしれません。


週60時間労働だとしても、実際には上記のように仕事以外の時間も多分に含まれている可能性があります。

過労死の原因も、長時間の仕事だけとは限りません。仕事が終わった後に、私生活で夜更かしして体に負担をかけているとか、徹夜でスマホをいじくりまわして時間を浪費しているという点も遠因になっている可能性もあります。


「労働時間が長い=過酷な就業環境」と考えがちですが、仕事の中身、密度、そして私生活の内容、これらも考慮した上で、過労死を判断するのが妥当です。



山口正博 社会保険労務士事務所
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