就活のために留年するな。留年したらもう新卒じゃない。(Mon.20140721)



不本意な内定より留年…「卒業せず」10万人超
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140720-OYT1T50002.html



 卒業学年で留年した学生が、今春は10万人を超えて6人に1人に上ることが、読売新聞の「大学の実力」調査でわかった。

 10万人を超えたのは2年ぶりで、大学側によると、不本意な内定を断り、あえて留年して「納得できる道」を目指す学生が目立ってきているという。景気が上向いて来たことが背景にあるようだ。

 調査には全国の89%の大学が回答した。それによると、2013年5月段階で卒業学年に在籍していた学生のうち、今春卒業しなかったのは10万2810人で全体の16・3%。昨年より3445人増えた。

 大学の就職担当者らの分析によると、留年の理由は卒業単位不足のほか、企業の内定を得られなかった就職留年が多いが、今春は、内定を辞退して留年を選ぶ学生が目立つという。
 

 

 確か、2008年後半のリーマン・ショックの頃、臨時の措置として、在籍期間を延長する大学がありました。商売の環境が急変したため、採用人数を減らす企業や内定を取り消す企業もあり、その対応として、学生の在籍期間を半年ほど延長して他の企業に入るための準備ができるようにしていました。

 

 すでに卒業のための単位も得て、卒業できる人が在籍期間を延長していたので、授業料を半額にしたり免除したりと、前代未聞の状況でした。

 

 2014年時点でも、就活のために留年する人がいるようですが、2008年の状況とは違うようです。2008年の頃は、卒業できて、内定を決めていたにもかかわらず、やむを得ず大学での在籍期間を延長していたのですが、2014年現在では、好みの企業から内定を得られなかったから留年する人がいるようです。

 

 毎年、大学を卒業する人は、約50万人ほどいますから、そのうち約10万人の人が留年しているとのことです。上記のニュースでは、全体の16.3%と書かれていますが、ザックリと5人に1人ぐらいだと考えていいと思います。

 

 もちろん、内定に不満があって留年する人ばかりではないでしょうが、5人に1人はちょっと多すぎる感があります。卒業のための条件が厳しいいので留年したという人はおそらく稀でしょうから、卒業しようと思えばできた人ばかりと考えて差し支えないはずです。

 

 

 新卒という身分は、就活の際のパスポートのような役割を果たしていると考えられているようです。卒業して既卒になるのではなく、あえて留年して新卒の肩書を維持して就活してやろうという魂胆なのかもしれませんが、実際は思うような結果にはならないでしょう。

 

 留年すれば、また新卒で就活をできると思っているようですが、去年も応募したことは相手の企業に知られているだろうし、留年したことも企業にも知られます。形の上では新卒ですが、実質は既卒の人ですから、大学3年生や4年生と同じようには扱われないのではないかと思います。

 

 もし、面接で、なぜ留年したのかと聞かれたら、「気に入らない企業だったので入らなかった」と伝えるのか。さらに、「じゃあ、ウチの会社も気に入らなければ入社しないつもりですか?」と嫌味なことを言われる可能性もある。留年について聞かれたら、言い訳に苦労するはずです。

 

 大学受験で浪人する場合と同じ感覚で留年しているフシがありますが、受験で浪人するのと就活のために留年するのは性質が異なります。受験生の時は、学生の身分はお客さんですから、学校にとっては何度でも受験してもらって構いません。受験料収入がありますし、入学したら入学金や学費も入ってきますから、あえて浪人している人を拒否することもないでしょう。

 

 しかし、就活の場面となると、学生はお客さんではないので、企業には利益が無い。むしろ、学生を集めるためにお金を企業が使っているので、来る者拒まずで受け入れず、誰を受け入れるかを選びます。そのため、現役生の時に就活を終えていなかった人は、ナンダカンダとケチを付けられがちです。もちろん、年齢ではわずか1年や2年程度の違いでしかなく、能力にも差は無いのでしょうが、就活の時期は大量の応募者をふるい分けないといけないので、ちょっとでも変な部分があると採用の対象から外されてしまう。

 

 

 私が大学生だった頃は、企業に就職する人が8割で、その他の2割が大学院進学、公務員、専門職でした。大学3年になると、ゼミナール単位で行動することが多く、進路に関する情報もゼミナール内のものがほとんどで、それ以外の人達がどうなったかは分かりません。ゼミナールというのは、サークルのような学生主体の軽い集まりではなく、大学の教員が専属で受け持つ授業の1つです。

 

 大学3年の12月頃には内定を決めて、その時点で就活を終え、その後、卒業までの1年強ほどは就活とは無縁の生活を送っている人もいて、随分と就活というものは早く終るものだなと思ったものです。もちろん、そういう早期に就活を終えた人ばかりではなく、中には大学4年の夏や秋まで内定を得られない人までいて、個人差がありました。

 

 今のように、就活のために留年する人はおらず、どんな進路であれ、全員が予定通りに卒業しましたから、随分とマトモな人達だったのだなと今は思っています。同期の人達は卒業していくのに、自分は就活のために大学で留年しているとなると、寂しいものです。私はそのような経験はありませんが、知っている人がいない中で居残る寂しさは想像できます。

 

 

 私が思うに、大学に長居してもメリットはありません。新卒の状態をキープできると思っているのでしょうが、実質は既卒者ですから、現役生と同じように扱われるとは限りません。


 内定を得られずに留年するにせよ、内定を得ているものの留年するにせよ、留年そのものが時間の浪費であり無意味です。来年のほうが良い結果を得られると思っているのかもしれませんが、実際は思うようにはいかないはず。

 学生の頃の就活で人生が決まってしまうわけではないし、就活以外にも、自分で商売を始めるなり、親や友人のコネで仕事を見つけるなり、生活する道はあります。学生が思い浮かべる進路というと、「就活して企業に入る」、「公務員試験を受けて公務員になる」、「資格試験を受けて専門職の仕事をする」など、とにかく視野が狭く、「それしか無いんだ」と思い込むのが厄介なところです。

 

 視野の狭い人と接すると感じますが、ネクラというかジメジメしているというか、陰気な雰囲気が漂っています。ちょっとした失敗でガッツリとヘコんでションボリしている。前向きというか、建設的というか、楽観的というか、そういう性格が欠落していて、このような人というのは何をやっても上手くいかないものです。

 

 就活での失敗ぐらいならば、人生全体では誤差のようなものですから、あまり気にせず、次のことや新しいことへ足を踏み込んでいくことです。

 

 就活に失敗し、公務員試験に通る見込みもない。国家試験に合格するような準備もしてこなかった。こんな状況になると、20歳ちょっとの若い人でも自殺する人が出てきて、私も悲しい気持ちになります。

 

 自分の人生だから、自分で思うような形にしたいのはよく分かります。自分の人生を自分でコントロールする。そういう生き方のほうが望ましいでしょう。しかし、手に入れたチャンスを気に入らないからといって、留年して人生を無駄にするのはやはり賛成できません。

 


 どう生きるかは本人が決めることですが、悲惨な結末にならないように願っています。





山口正博 社会保険労務士事務所
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