限定正社員導入で働き方の選択肢がさらに増える。(Thu.20140717)

限定正社員導入で指針=有識者懇が取りまとめ―厚労省
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2014071100621



 厚生労働省の有識者懇談会は11日、勤務地や職務、労働時間を限定した「多様な正社員(限定正社員)」を企業が導入する際の指針を取りまとめた。企業の労使双方に参考にしてもらうのが狙いで、厚労省はシンポジウムを開くなどして限定正社員の普及を目指す。

 指針では、勤務地や職務などが限定されている場合は、その内容を労働者に明示することが重要だと指摘。解雇する際も、一般の正社員と同様に解雇を回避する努力を求めた。

 賃金をめぐっては、転勤のない勤務地限定正社員の場合には「(一般的な正社員の)8~9割超の水準となっている企業が多い」と分析。昇進のスピードなどは「正社員との差をできるだけ小さく設定することが望ましい」と提言した。

 『「多様な正社員(限定正社員)」を企業が導入する際の指針を取りまとめた』という部分を読むと、「あぁ、そういう働き方が新しく導入されるのか」と思うところですが、条件付きの正社員というのは以前からあり、企業ごとに多種多様な名称で表現されています。


 厚生労働省は「多様な正社員」という名称で一本化しつつあるようですが、企業によっては、準社員、地域限定社員、地域限定総合職、ローカル社員、グローバル社員、ナショナル社員、勤務地限定社員、エリア社員、エリア総合職などなど、色々な名称があります。

 

 正社員というと、雇用期間を定めず、勤務時間は1日8時間、休みは週に2日か1日、残業もあるフルタイム社員です。ただ、フルタイムでの働き方だけだと、働く人の需要に応じきれないために、一般的なフルタイム社員だけでなく、勤務時間や勤務地、職種を限定して働ける選択肢を作る必要があります。その結果、上記のような選択肢を設けている企業もあります。

 

 私が知っているところだと、大学生の頃、金融機関で、「地域限定総合職」という働き方ができるところがありました。通常の総合職だと、一定の期間ごとに転勤があるのですが、地域限定タイプだと、例えば関東圏に限定するとか、近畿圏に限定するとか、もっと細かく東京の中だけ、神奈川の中だけで転勤があるのかもしれません。

 

 「転勤可能な職種が総合職なのだから、働く地域を限定してしまったら、そもそも総合職じゃないんじゃないの?」と思うところですが、そういう働き方も可能なのでしょう。

 

「多様な正社員」の導入状況 (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000036346.pdf

 

 上記のPDFファイルを見ると、平成24年時点で、多様な正社員として働いている人は519,152人います。フルタイムで働く人が全体の64.2%、多様な正社員として働く人が約32.9%なので、3人に1人が従来のフルタイム勤務とは違った形で仕事をしていることになります。

 

 

 

 従来ならば、フルタイムとパートタイムしか選択肢がなく、フルタイムで勤務できない人はパートタイムで働くしかなかったのですが、2014年の今では、働き方は多々あります。以前のように、フルタイム勤務かパートタイム勤務のどちらかから選択してもいいし、派遣社員や契約社員、請負、自営業という選択肢もあります。さらに、クラウドソーシングで仕事をすることもできます。

 

 クラウドソーシングというと、搾取だとか、低報酬でコキ使われるイメージを抱かれがちですが、自宅で内職するよりはよほど良い仕事ができるはずです。内職というと、コネクターにケーブルを差し込んで電子部品を作ったりと、単調でツマラナイ作業を自宅で延々とさせられ、仕事の単価も信じられないほど低いものです。それに比べれば、クラウドソーシングは自分でやりたい仕事を選べるし、報酬も事前に開示されているので、気に入ったものを選んで取り組むことができます。

 


 今回の限定正社員のように、働き方の選択肢が多くなると必ずと言っていいほど出てくるのが「限定正社員のような働き方ができると、フルタイム雇用が減る」という指摘です。

 確かに、働く人の全体を100として、パートタイム60、フルタイム40の状況で限定正社員という働き方を導入し、その結果、パートタイム60、フルタイム20、限定正社員20という状態になれば、フルタイムの雇用は減っていると思えます。

 

 しかし、社員数が一定という前提ならばその指摘は的を射ているのですが、現実には、仕事の内容や量が変わるように、社員の数も変動します。そのため、パートタイム60、フルタイム40、限定正社員20というような状況もあり得ます。現状の人員はそのままで、追加的に限定正社員を加えていく。商売が発展しているならば、限定正社員が増えて、フルタイム社員が減るという状況には必ずしもなりません。

 

 フルタイムとパートタイムの中間帯に色々な働き方が増えれば、今まで社会に出てこなかった人が出てくるようになりますので、私は今回の限定正社員という働き方が普及していくことに賛成です。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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