新入社員の意識は「人並み」。(Sat.20140712)



平成26年度「新入社員働くことの意識」調査
http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001412.html

 

公益財団法人日本生産性本部 - 平成26年度「新入社員働くことの意識」調査公益財団法人日本生産性本部 - 平成26年度「新入社員働くことの意識」調査  



「人並みか人並み以上か」では、「人並みで十分」が今年度さらに増加(昨年49.1→52.5%)。「人並み以上に働きたい」(昨年42.7→40.1%)を大きく上回り、過去最高だったバブル末期と同様の売り手市場時の意識になってきた。

 経済状況が良くなるとハングリーさが薄れて、人並みを望むようになるのでしょうか。この調査は、新入社員である2,203人を対象にしたものですから、大学の卒業生だけでも平成25年3月には558,853人いますし、高校の卒業者は1,091,614人います(平成25年度学校基本調査 文部科学省)ので、あくまでごく一部の人達を調査した結果ですから、皆が皆同じように考えているわけではない点は留意が必要です。

 

平成25年度学校基本調査 文部科学省

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1342607.htm


新入社員意識調査(26年報道資料)
http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001412/attached.pdf

 上記の資料を見ると、大学卒が約6割ほど、専門学校卒の人が約1割、高校卒が約2割、その他1割という回答者の内訳で、会社規模も100人以上、500人以上など大きいところに属している人が多く、5,000人以上の規模の会社に属している人は40.1%もいます。
 
 そのため、中小企業に入った人の意識というよりも、規模が大きい企業に入った人の意識が集中的に集められていると分かります。


 また、回答者が新入社員ですから、まだ就業経験が少ないので、アッサリした答えになりがちなのかもしれません。2年、3年、5年と仕事を続けると、「入社した頃は人並みで十分と思っていたけれども、今はもっとガッツリと前に進みたいと思うようになった」と考えを変えていく可能性もあります。

 人並みで十分という人が増えているからといっても、人並み以上を望む人もまだ4割もいますから、この4割が残りの6割をグイグイと引っ張っていけば、特に懸念するようなことも起こらないと思います。

 人並み以上に働きたい人が8割や9割になったら、「もっと商売は活気を帯びるだろう」と思う人もいるかもしれませんが、そんな人がそれほど多くなれば、おそらく組織はうまく回らないはず。前にグイグイ行く人がいて、その後ろをフォローする人がいる。そのような分業があって商売は上手くいくものですから、エースばかり集まっても思うような結果は得られないでしょう。




「どのポストまで昇進したいか」では、昨年度「社長」が過去最低(12.7%)を更新したが、今年度は「専門職<スペシャリスト>」が過去最低(19.9%)を更新した。この10年の傾向として昇進志向とスペシャリスト志向双方の弱まりが見られる。

 社内で出世するというのは、言葉で語るのは簡単でも実際に実現するのは難しいもの。単に仕事ができるとか、実力があるとか、媚を売るのが上手いとか、人をおだてるのが上手いなど、断片的な能力だけで社内出世ができるというものではなく、色々な要素がからみ合って実現することです。

 そのため、社内で出世できるかどうかを自分ではコントロールできないのだから、昇進について希望を持っても仕方がないと思っている人もいるかもしれません。

 他にも、入った会社に長居するつもりはなく、3年か5年ほど仕事をした後、商売を始めようと思っている人や、ベンチャー企業に転職しようと考えている人もいるかもしれない。

 確実に昇進できるならばいざ知らず、できるかどうか分からないものには期待を持たない、そういう現実的な人達だとも思えます。




「この会社でずっと働きたいか」とする回答は、「この会社に定年まで勤めたい」が一昨年度34.3%で過去最高の数値となったが、昨年度は30.8%に減少し、本年度さらに28.8%まで減少した。ここしばらく増加していたが、景況感の好転とともに減少に転じている。

 規模が大きい企業の新入社員が多く含まれた調査ですから、「この会社でずっと働きたいか」と聞かれれば、「はい」と答える人は多くなります。
 
 おそらく、もっと小規模な会社、社員数20人とか40人の企業に勤める新入社員を調査すれば、結果となる数値は低くなるはずです。
 
 偏ったサンプリングで調査すると、結果も偏ったものになる例です。
 


「残業は手当てがもらえるからやってもよい」が急増し、昨年度の63.0%から69.4%と過去最高を更新した。昨今のブラック企業・残業未払いのニュースをみて、残業はいとわないがそれに見合った処遇を求めている傾向がうかがえる。
 
 残業そのものがイヤというわけではなく、キチンと割増賃金を支払うならば残業もOKと考えているのでしょうか。これは企業にとっては良い結果でしょう。
 
 残業代を未払いにするとトラブルを招きますが、法律に基いて正しく割増賃金を支払えば残業を受け入れる人が増えているのですから、仕事をやりやすい環境になっているのだろうと思います。
 
 
 

「デートか残業か」では「残業」(81.3%)、「デート」(18.3%)と、プライベートな生活よりも仕事を優先する傾向が伺えるが、ここ数年は、やや「デート派」が増加(昨年15.7%)している。

 今どき「デート」という言葉も珍しい。何だか昭和の時代の若い男女の嗜みのように感じられて、微笑ましい感じがします。

 ドラマや映画で、「仕事と私、どっちが大事なのよ!」と夫に詰め寄る妻が登場するシーンがありますが、それに似た質問です。

 ただ、デートと残業を二者択一にしている点はヘンな感じがします。この質問は、「ピーマンとナス、どっちにする?」と聞かれているぐらい滑稽な質問で、本来ならば並べて比較するようなものではない。
 
 「佐賀県産のピーマンと大分県産のピーマン、どっちにする?」と聞くならば意味のある質問になります。また、「高知県産のナスと熊本県産のナス、どっちにする?」と聞く場合も質問としては意味があります。
 
 しかし、「高知県産のナスと大分県産のピーマン、どっちにする?」と聞かれたら、どう答えるのか。ナスはピーマンの代わりにならないし、ピーマンもまたナスの代わりにならない。さらに、この2つは、違う野菜であるし、料理での用途も違う。そのため、比較の対象にしても意味のある結論は出せない。
 
 ピーマンで麻婆茄子を作るわけにはいかないし、ナスで青椒肉絲を作るのも無理です。
 
 
 「デートか残業か」という質問は冗談半分で問うには問題ないですが、何か意味のある結論を出すために問う質問としては適していません。



 昭和44年から46回も実施している調査のようですが、どうも質問内容が古い感じがします。昭和の名残りというか、高度経済成長期の価値観を引きずっているように思える調査で、昇進、デート、定年志向など、調査を実施する組織に植木等のファンでもいるんじゃないかと思えるほどです。

 とはいえ、話のネタにはできそうなので、その点では意味のある調査なのかもしれません。



山口正博 社会保険労務士事務所
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