ソフトウェアを使えるだけでは市場価値があまりない。(Mon.20140707)

大阪市交通局がIllustratorやPhotoshopを使えるプロのデザイナーを月額112,600円で募集しTwitterで炎上中
http://news.livedoor.com/article/detail/8930385/

大阪市交通局が実務経験のあるデザイナーを月額112,600円で募集していることがわかった。

Illustrator、Photoshopによる広告デザインの実務経験があること、Excelでの表計算、Wordでの文書作成ができること。同市交通局が6月10に公布した「大阪市交通局非常勤嘱託職員募集要項」の応募要件には、たしかにそう明記されている。

Twitterでは、プロとしてデザイン業務こなすユーザーから非難の声が多数あがっている。

具体的な職務内容は、「ポスター作製業務、WEBページ運営業務」とあり、さらに、WordやExcelを使用した文書作成や電話応対等の一般事務も含まれている。

Twitter上で問題とされたのは、その報酬だ。記されている給与月額は、週30時間(1日6時間 週5日)勤務で112,600円。時給に換算すると、800円程度であろうか。さらに金額の下には「昇給・昇格なし」という絶望的な文言が明記されている。

 

 

これからもクリエイターやタレントはみんなタダで使い倒そう!これからもクリエイターやタレントはみんなタダで使い倒そう!  

 

 他の人にはできないことができる人は価値が高い。そう思う人は少なくないでしょう。

 

 IllustratorやPhotoshopを使えるデザイナーを大阪市交通局が格安の条件で募集してニュースになりましたが、ソフトウェアを使えるデザイナーに対する市場の評価というのはこの程度ということなのでしょうか。

 

 大阪市交通局が提示した条件が妥当かどうかは判断しにくいところですが、この条件でも応募する人がいるということは、需要と供給はマッチできているということなのでしょう。

 

 IllustratorとPhotoshopはAdobeが開発したソフトウェアで、コンピューターでデザイン作業をする際に使っている人は多い。以前はパッケージ版しか販売されておらず、単体で購入するには7万円や10万円のお金が必要で、ずいぶんと敷居の高いソフトでした。しかし、2014年時点では、AdobeはCreative Cloudというサービスを提供しており、料金が毎月必要ですが、千円から数千円程度でソフトを使えるようになっています。そのため、例えばPhotoshopだけを使いたいという人も気軽に使えるため、私も写真や画像を処理する際に利用しています。

 

クラウドベースのクリエイティブソフトとサービス | Adobe Creative Cloudクラウドベースのクリエイティブソフトとサービス | Adobe Creative Cloud  

 

 この手の専門的なソフトウェアを使える人はさも市場価値が高いかのように思えますが、実際は上記のサイトのように買い叩かれます。デザイナーの立場になれば、「なんだこれは! 私の仕事がこの程度の評価しか受けないのか?」と思うところでしょう。

 

 IllustratorやPhotoshopに限らず、仕事現場ではよく知られたWordやExcelでも同じです。MicrosoftのOfficeを使える人はたくさんいますし、MOSというOffice専用の資格制度もあり、実際にWordやExcelに関する資格を持っている人もいらっしゃるはずです。

 

MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリストMOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト  

 

 この手の資格や能力を持っていると、就職に有利で、他の人よりも賃金が多くなると思ってしまいがちですが、資格や能力はそれ単体ではさほど価値は無いのが現実です。

 

 もちろん、そういった能力や資格が無意味だとまでは言いませんが、「資格があるから優遇される」、「Officeを使えるから就職に有利」、「簿記2級の資格を取っておけば就職しやすい」、「漢検は進学や就職に有利」という考えは持たないほうが良いでしょう。

 

 とはいえ、学校では英検や漢検を受けさせたり、大学に行くとTOEICを受験するように勧めたり、さらに資格学校は「この資格を取っておけば、ナニナニに有利」などと煽ってくる。そのため、資格を取得したり、能力を証明する試験などを受けて高スコアを獲得すれば、さも自分の市場価値が高まると誤認してしまいがちです。

 

 どんな能力を持っているか、どんな資格を持っているか。これらの点も確かに評価はされるものの、「実際に何ができるのか」、「どんな役に立つこと、モノを生み出せるのか」、「どれだけコチラ(企業や組織、顧客など)にメリットをもたらしてくれるのか」という点のほうが現実では重視されます。

 

 

 ソフトウェアそのものを使う能力には市場はあまり価値を認めていない。ソフトウェアを使って、どんな価値があるものを作れるのか、という点に市場は興味を持っている。

 プログラムを書けるだけではあまり価値がない。プログラミング能力を使って、どんなウェブサービスやアプリを作るのか、という点に市場は興味を持っている。

 資格を持っているだけではあまり価値がない。その資格が自分たち(企業や顧客)にとってどんな価値をもたらしてくれるのか、という点に市場は興味を持っている。

 TOEICのスコアが高いのも重要だけれども、実際に英語を使えるのかどうかという点に市場は興味を持っている。

 

 そのため、IllustratorやPhotoshopを使いこなせるという程度のアピールでは、あえて特定の人を選ばなくても、他にたくさん代替できる人材がいるだろうと思われてしまいます。能力や資格そのものではなく、それらがもたらす成果物がどのようなものなのかをアピールすれば、もっと評価を高められるはずです。

 

 もし、IllustratorやPhotoshopを使う自分自身の価値を人に認めさせるならば、実際にそれらのソフトウェアを使って成果物を作り出し、それを公開すればよいでしょう。今ならば、ネットインフラも充実していますから、ブログに淡々と成果物をアップロードするのもいいし、企業ロゴを作っていない会社のロゴを作成して公開するとか、企業が作った製品を使って動画CMを作ってみるのもいい。

 

 無料ならば企業ロゴや動画CMを作ってもさほど嫌がられることも無いでしょうから、自分の制作能力やセンスをアピールするには良い方法だと思います。

 

 能力や資格を履歴書に書くのではなく、成果物を見せる。まさに、論より証拠で自分の価値を市場に示すのが今の時代に合った生き方なのではないかと思います。

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所