ベビーシッターの身元確認が厳しくなる。(Mon.20140623)

 

 

ベビーシッター仲介サイト、身元確認厳格化へ 厚労省
http://www.asahi.com/articles/ASG6P0CCJG6NUTFL00S.html



 埼玉県富士見市でインターネットを通じて依頼したベビーシッターに預けられた男児が死亡した事件を受け、厚生労働省は、ベビーシッター仲介サイトに保育者の身元確認の厳格化を求める方針を固めた。事件後の調査で、これらサイトの多くが保育者の登録情報を自己申告のみで確認しているなどの危うい実態がわかったためだ。近く有識者の専門委員会を設置し、新たな指針作りに着手する。来春の導入を目指す。

 新たな指針の中身としては、都道府県などに事前に届け出た保育者しか仲介サイトに登録できないようにし、届け出時や登録時に身分証明書提出を求めることなどを検討する。新設する専門委で、今秋までに具体策をまとめる。

 事件を受けて厚労省は主要な仲介サイト8業者にアンケートをし、5業者から回答を得た。保育者の登録数は約400~約6千人で、利用者は最も多いサイトで約1万6千人いた。保育士資格を所有する人の割合は3業者で25%未満、2業者で50%未満だった。

今年、2014年の3月頃だったか、ベビーシッターが面倒をみていた子供が死亡した事件が起こり、容疑者が逮捕されました。その結果、ベビーシッターサービスに対する風当たりが強くなり、「これは規制しなければいけないんじゃないか」という風潮になりました。

 

ネットでベビーシッターを紹介するサイトを経由してシッターサービスを利用していた点が問題視され、厚生労働省がベビーシッターを利用する際の10の留意点を発表していました。

 

 

www.growthwk.com

 

 

確かに、チェックする機能があれば、あのような事件は防げたかもしれません。しかし、ベビーシッターをチェックするとしても、「誰がチェックするのか」という点がハッキリせず、行政機関がチェックするのか、サイトを運営する業者がチェックするのか、それともベビーシッターを利用する顧客がチェックするのか分かりませんでした。

 

ネットでベビーシッターを探す人というのは、手軽かつリーズナブルにシッターサービスを利用したいと考えているので、ベビーシッターがキチンとした人なのかどうかを利用者がチェックするのは難しいでしょう。

 

となると、行政機関かサイトを運営する業者、このどちらかがチェックすることになるのですが、おそらくサイトの運営者は利用者とベビーシッターを仲介する点に特化しているはずですから、いわゆる薄利多売の状態になっているはずです。となると、チェックする作業をサイト側で行うとなると、利益がなくなる可能性があり、サイトそのものが無くなってしまうかもしれません。

 

利用者はチェックしない、サイトの運営者もチェックしない。こうなると、行政機関が介入することになるのですが、これも一長一短です。

 

『都道府県などに事前に届け出た保育者しか仲介サイトに登録できないようにし、届け出時や登録時に身分証明書提出を求めることなどを検討する』とのことですが、これだけを読むと、届出や身分証明書の提示というマイルドな規制でとどめている感があります。

 

この段階で終われば良いのですが、さらに許可制になり、資格が必要になり、免許の更新が必要になりとなれば、今のようなベビーシッターサービスを提供することはできなくなるでしょう。

 

 

自己申告でベビーシッターになれるとなると、多くの人がベビーシッターの仕事をできるわけですから、市場におけるシッターサービスの供給量は多くなります。その結果、ベビーシッターに対する需要を十分に満たせるだけのサービスが供給され、手頃でリーズナブルなシッターサービスを利用者は享受できます。

 

しかし、届出や身分証明書で規制を課していくと、ベビーシッターとして適格かどうかをチェックされるわけですから、今までならばベビーシッターとして仕事ができた人ができなくなることも想定できます。もちろん、自己申告の場合よりもチェック機能があった方が安全性は高まります。しかし、シッターサービスの供給量が減っていけば、需要を見たせるだけの供給が間に合わず、手軽でリーズナブルなベビーシッターを利用したいという利用者の要求を満たせなくなるかもしれません。

 

規制が少なければ、料金がリーズナブルになり、チェックする手間も少ないので、利用しやすくなる。一方、規制が多いと、安全性は高まるものの、料金が高くなり、チェック作業が入るのでサービスを利用するまで時間がかかる。

 

 

 

本当は規制なしで成立する市場が望ましいのです。しかし、死亡事件が起こってしまうと、マジメにベビーシッターの仕事をしている人まで影響しますし、利用者も不便になります。

 

ベビーシッターの件は、牛の生レバー規制にも似ています。焼肉店で牛の生レバーを食べたところ、食中毒で死亡者が出た。その結果、牛レバーの生食が規制され、お店で食べることができなくなりました。

 

安全性と利便性を同時に手に入れれば申し分ないのですが、現実には安全性を高めれば利便性が低下し、利便性を高めれば安全性が低下してしまう傾向があります。

 

届出と身分証明書のチェック、この段階の規制で終わらせ、これ以上行政からの介入を受けないようにベビーシッターのサービスを提供していくのが望ましいと思います。

山口正博 社会保険労務士事務所
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