book724(国民年金と厚生年金は別の制度?)




他人のようで他人じゃない。兄弟のようで兄弟じゃない。


国民年金と厚生年金は法律が別々に分かれており(国民年金法と厚生年金保険法)、制度の中身も違う部分が多々あります。そのため、両者の制度は別の制度であって、共通している部分なんて無いと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ところが、法律が分かれている両者の制度はいろいろな部分で共通していて、いうなればクルマの両輪のようにお互いがお互いを支えるようになっています。

老齢厚生年金を受け取るには老齢基礎年金の受給条件を満たしていないといけないし、障害厚生年金を受け取るには障害基礎年金の受給条件を満たしていないといけないし、遺族厚生年金でも国民年金の加入状況が考慮されます。

つまり、厚生年金は国民年金の存在を前提に設計されており、さらに厚生年金の受給条件を判定する際にも国民年金の内容を参照しています。だから、厚生年金と国民年金は分離、独立して運用されているのではなく、運動会の二人三脚のようにお互いに連携して動いているわけです。


さて、ここで簡単な問題を出しましょう。

内田さんという人がいて、この人は20歳から国民年金に4年間加入していました。その後、会社経由で厚生年金に12年加入しています。

では、現時点で、内田さんは国民年金に何年加入しているでしょうか。さらに、厚生年金には何年加入しているでしょうか。





厚生年金の保険料には国民年金も含まれている。


国民年金に4年、厚生年金に12年加入したのですから、厚生年金には12年加入している。これは問題ないでしょう。さすがにこれは分かりますよね。

では、内田さんは国民年金には何年加入しているでしょうか。

4年ですか? 本当に?


実は、内田さんは、国民年金には16年間加入しているんですね。

「え!? 4年じゃないの?」と思ったアナタ、国民年金と厚生年金は別々の制度だと思い込んでいますね。


カラクリは簡単で、厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれているのです。つまり、厚生年金に加入しているということは、自動的に国民年金にも加入しているということ。

そのため、厚生年金に12年間加入しているということは、同時に、国民年金にも12年間加入しているのです。

2つの制度が全く別の制度だと思い込んでいると、上記のようなことでも知らない人が出てきても不思議ではないでしょうね。


国民年金と厚生年金は別々の制度ではなく連携している。このことは知っておくといいでしょう。



山口正博 社会保険労務士事務所
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