割増賃金無しの働き方。導入される予定に。(Thu.20140612)


<成果賃金>「少なくとも年収1000万円以上」政府合意
http://mainichi.jp/select/news/20140612k0000m010092000c.html

 

 

政府は11日、働いた時間に関係なく成果に応じて賃金を払う新制度の対象者について、「職務が明確で高い能力を有する者」で「少なくとも年収1000万円以上」の従業員とすることを決めた。労働時間法制の見直しを巡り、関係4閣僚が合意した。対象者は全労働者の数%とみられる。厚生労働省は来年の通常国会に労働基準法改正案を提出し、2016年4月から適用する考えだ。

 新制度は第1次安倍政権時の07年、「残業代ゼロ法案」と批判され、撤回した「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間法制の適用除外)」と呼ばれる制度と類似している。民主党や労働組合は政府の決定に強く反発している。

 労働基準法は労働時間を「1日8時間、週40時間」と定めている。管理監督者を除き、これを超えて残業をした人には残業代を払うよう義務付けている。だが、菅義偉官房長官、田村憲久厚生労働相、甘利明経済再生担当相らは11日、「柔軟な働き方を広げる」として、成果のみに応じて賃金を払う制度の創設で一致した。一方で、対象者の職種や年収はあいまいな合意にとどめ、労使が参加する労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で詳細を詰めることにした。

 新制度を導入した企業では、労使が合意し、本人が同意すれば新たな賃金制度の対象となる。労働時間は自分で決められるものの、残業代は支払われない。労組などは「会社に都合のいい『成果』を求められ、達成するまで残業代なしで長時間労働を強いられる」と批判する。こうした声に配慮し、政府は休暇を強制的に取らせる制度なども検討する考えだ。

 

 残業代ゼロ法案、残業ゼロ制度など、皮肉な表現で揶揄されてきた新制度ですが、法案を作成し、実際に制度を実行に移す準備が完了したようです。内閣で合意し、厚生労働省が法案を作成し、提出するようですから、今回の新制度が成立する可能性はほぼ間違いなさそうです。

 

 対象者を限定することで、制度が成立するように話を運んだようです。対象者の条件は、「職務が明確」、「高い能力を有する」、「年収1,000万円以上」の3つで、この3つの条件を満たす人は新たに成立する制度の対象にできるというわけです。

 

 ホワイトカラーエグゼンプションを導入するかどうかで話し合った時は、ナンダカンダで見送りになりましたので、今回は対象者を限定することで受け入れられやすくしたのでしょう。

 

 「職務が明確」、「高い能力を有する」、「年収1,000万円以上」の3つが条件ですので、対象者はずいぶんと少なくなるはずです。今回は、新しいい仕組みが市場に受け入れられるかどうかを調査する目的もあるでしょうから、あえて対象者が少なくなるような条件を設定し、反応を見るのが狙いなのでしょう。

 

 経営者サイドは今回の内容で満足しているわけではないはずですから、新しい制度がうまく受け入れられれば、対象者を広げるようにまた動き出すでしょう。

 

 うまく受け入れられれば、徐々に対象者を広げる。うまくいかなければ、今回の新制度のみに限定して運用していく。このどちらかになると思います。

新しい法律を作るのではなく、労働基準法を改正して組み込むので、みなし労働時間制や裁量労働制の条文の後ろにでも追加するのだと思います。

 

 今回の変更をきっかけに、裁量労働制を廃止して、今回の新制度に集約するのも良い方法です。裁量労働制は便利なように思えるのですが、いざ導入しても、後から裁量労働を否定されて、残業代を支払うことになるケースもあります。「職務が明確」、「高い能力を有する」、「年収1,000万円以上」の3つを条件に設定するならば、現行の裁量労働制よりも対象者が分かりやすいので、後から「これは割増賃金が必要ですねぇ」とひっくり返されることもなさそうです。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所